[AI時代に生き残れますか?]は,心配のポイントがそもそも違う[仕事論]
先日、Tech某社が主催する、AI時代のビジネスに関する、パネルディスカッションに登壇した時に、会場の方から質問を受けました。
「私は、ヘッドハンター(今はエクゼクティブサーチと言いますが、通りいい言葉なのでこのまま使います)として、ビジネスエクゼクティブの転職サポートをする仕事をしています。このままAIが進化したら、AIを使って転職する人が増え、自分の仕事がなくなるのではないか、と不安になっています。どう思われますか?」と。
最近、この手の質問をよくされます。ほとんどが、「私ってAI時代に生き残れますか?」という質問です。
生成系AIの出現によって、自分の仕事は、いずれ奪われてしまうのではないかと危惧している人が急に増えてきた気がします。
やはり、大規模言語モデル、特にChat-GPTの出現インパクトが大きいのでしょうね。

なぜ、今になって「AI脅威論」がでてきたのか
ではなぜ、Chat-GPTの出現でAIがこのように騒がれだしたのでしょうか?
それは、Chat-GPTは、言語を操るゆえに、僕たちは、急に、自分がAIに負けるのでは?という「自分事」としてAIに「漠然とした恐怖」を感じるようになったのだと思います(これは非常に重要なポイントですので、いずれ記事として発信するつもりです)。

ちなみに、本稿に入れる予定だった補足の情報は下記の2記事として切り出しました。すぐ読める分量なので、よければ目を通してみてください。
「そもそも、心配するポイントが違いませんか?」
さて、「私ってAI時代に生き残れますか?」の続きです。
僕は言いました。「そもそも、心配するポイントが違いませんか?」
「え?」という顔をして、質問者は僕の方を見ました。不思議そうな顔をしている人が会場で多く見受けられたので、なぜ僕がそのような回答をしたのかをお話ししました。
質問者は、どんなことで「負ける」と思っているのでしょうか?
その恐れは、転職希望者に最適な会社と仕事を見つける能力において、大量なデータを分析判断する能力が高いAIの方が、自分より優れている、だからAIに仕事を取られてしまう、と考えるところからきています。
AIの方が学習量は多いはずです。どんな人がどのような仕事についているかのマッチングデータも、質問者の情報量より多くなってくるでしょう。
そうなると、転職希望者にマッチした会社と仕事を見つけてくる能力はAIの方が優れるようになる可能性は高いと思います。
そして質問者は、「転職希望者と会社のマッチングを最適にする」戦いをAIに挑んで、負ける気がしているわけですよね。
僕も、正直、いつか、負けると思います。
AIはある部分では優秀です。それは認めます。「弱いAI」といえども、特定の分野ではすごい能力を既に持ち始めています。
でも、ここで考えてみます。こうした能力だけで勝負が決まるのでしょうか? 僕はそうは思いません。

ヘッドハンターの価値は情報量だけではない
僕も転職経験者です。転職する際に、色々な方とお会いして、色々な会社や仕事を紹介されました。
では、どのようにして、転職する会社を決めたのか?
僕が転職を決めたのは、入社しようと思う会社をどう選ぶかの能力だけではなく、むしろ、自分の信じられる人が自分の立場に立って一緒に考え、背中を押してくれたこと、なんですよね。
その会社を、その人が探したのか、AIが探したのか、なんて、僕にはどうでもいいことです。
大切なのは、「誰」が勧めてくれた、かどうかなんです。
AIになくて人にあるモノ
AIがどれだけ優れていても、AIが人間にそう簡単に勝てない分野はたくさんあります。
転職でいえば、ヘッドハンターは転職者との間に「信頼関係」を作ることができるからです。そのヘッドハンターは、僕のことをすごく知ってくれている、僕のやりたいことを、僕の性格をよく知っている、何よりも、この人の人柄は素晴らしい、そう思うからこそ、その人の言うことを信じられるのです。
だから、間違ったところでAIと勝負して、負けそうだと感じて、恐怖を覚えている必要はない、と、僕は指摘したのです。
質問者が勝負するのは、マッチング能力ではなく、人ゆえにもちえる「信用力」です。そこでAIに勝てばいいし、勝てるのではないでしょうか?

そのために何をすればいいのか?
そう考えれば、すべきことは明白です。
それには転職候補者と日ごろ付き合い、その人が何を考えているか理解し共感する、だとか、その人のやりたいことや近況を定期的に把握するだとか、その人にとって有益な情報を提供するだとか…。
AIにはない人としての能力、人ゆえの能力を磨く術はたくさんあるし、そこを日ごろ鍛えておきさえすれば、AI時代が本格的に到来しても、AIに仕事は奪われないでしょう。
とにかく「AIを使ってみる」ことが大切
「AI脅威論」を漠然ととらえ、自分の仕事がAIに奪われるのでは?と恐れている時間があるのなら、どこでAIと自分が差別化できるかを、自分のしている仕事の中に見出すべきです。
そのためには、「AIとは何か」、「AIとはどのように動いているのか」、の本質を理解する必要があります。ですので、AIの仕組みを理解することは大切であり、AIが何ができて、何が苦手なのか?を考えるために、とにかく「AIを使ってみる」のが大切。
僕が「AI中山」を作り続けているのも、それが理由です。
