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言わなきゃよかった一言を、布団の中で何十回も再生してしまう夜。内向型の私の反芻を止めたのは反省よりもスクワットだった。

考えることで解決しようとしていた

ベッドに入ってから、友人や上司への失言を思い出していた。
飲み会で場を和ませようとして発した一言が、相手を不快にしていたかもしれない。

あの時、思い返すと、相手の表情に一瞬の翳りが見えたような気がしなくもない。

なぜあんな言い方をしたんだろう。もう少しうまくやれたはずだ。相手はいまどう思っているのだろう。でも今から謝ったらまた相手にその発言を思い出させてしまう……という感じで、結論の出ない問いがぐるぐる回り続ける。

止めようとすると、余計に止まらなくなる。

私はこれを、考えすぎているのだと解釈した。だから、ノートに書き出して整理しようとしたり、「なぜそう感じたのか」を分析したり、認知行動療法の本を読んで自分に応用しようとしたりしてきた。

全部、頭の中で解決しようとしていた。

でも意外と効いたのは、スクワットだった。


反省と反芻は、まったく違うもの

まず整理しておきたいのは、「反省」と「反芻思考」は別物だということ。

反省 は、起きた出来事を振り返り、次に活かすために考えること。ある程度考えたら、区切りがつく。

反芻思考 は、同じ場面を何度も再生し続けること。答えが出ないのに、ループが止まらない状態。

「ちゃんと考えたら解決するはず」と思いながら、実際には何も変わらないまま消耗している、あの感覚。

反芻思考は問題解決の手段ではなく、脳の同じ回路を繰り返し活性化しているだけの状態に近い。

うつや不安の維持因子として研究されていて、「考え続けること」が状態を改善するどころか、悪化につながる可能性が指摘されているらしい。

知識として知っていても、夜になると始まってしまう。それがまた辛い。


内向型は、なぜ反芻に引き込まれやすいのか

これは個人差があるので断言はできないけれど、私自身の感覚として、内向型の気質と反芻には関係があると感じている。

内向型の特徴として、よく挙げられるのはこういった点。

  • 刺激に対して処理が深くなる傾向がある

  • 一人で過ごす時間が長く、思考と向き合う時間が多い

  • 外部に発散するより内部で処理しようとしやすい

ただ、脳が疲れているときや、解決策がそもそも存在しない問題に対しても、同じように「もっと考えれば答えが出るはず」と動いてしまう。

外向型の人が気晴らしにどこかへ出かけたり、誰かに話して発散したりする場面で、内向型はひとりで部屋にいてさらに考え続けることがある。

思考そのものが疲労の原因になっているのに、思考で解決しようとしてしまう。


なぜ筋トレが反芻に効くのか

「メンタルに悩んでいるなら運動しよう」という話は、うんざりするほど聞いてきた。

でも今回は少し違う角度から考えてみてほしい。

① 身体に注意が向く

スクワットをしているとき、脚の筋肉の張り、呼吸のリズム、姿勢のバランスに意識が向く。脳の「注意」のリソースが身体に割かれると、思考が割り込む余地が物理的に減る。

「考えるな」と命令するより、注意を別の場所に引っ張る、というアプローチである。

② 認知資源が運動に使われる

反芻思考は、認知資源(思考や注意を維持するためのエネルギー)をかなり消費している。運動はその資源を別の用途に使う。頭の中のリソースを「使い切る」感覚に近い。

③ デフォルトモードネットワーク(DNN)の活動変化

脳は何もしていないとき、DMNと呼ばれるネットワークが活性化する。これは自分についての思考、過去の回想、未来への心配などと関連していて、反芻とも深く結びついている。

近年の研究では、運動がDMNの活動に影響を与える可能性が示されている。「ぼんやりしているときに限って嫌なことを考える」のは、このネットワークの特性と関係しているかもしれない。

注意点として:「筋トレをすれば反芻が必ず改善する」と断言できる段階ではない。ただ、身体活動と反復的なネガティブ思考の軽減に関連する研究は複数あり、完全に根拠のない話でもない。


動いてみてわかったこと

動いたから問題が解決したわけではない。問題はそのままだ。

ただ、今夜この問題を解決する必要があるのか考えたとき、ほとんどの場合、答えはNoだった。

動くことで、「今考える時間ではない」というモードに切り替えやすくなった、という感覚が近い。


反芻が始まったときの応急処置

ほかにも似たような効果を得られる方法はある 。
私が応急措置として実際にやって効果を感じたのは以下だった。

  •  ジョギング ※ウォーキングにする場合は時間を伸ばすと同じような効果が得られると聞いたことがあります。

  •  ストレッチ

  •  皿を洗う、掃除をする(手を動かす系は意外と効く。が、これが効くのは軽度のものに限る。)

  •  テレビを観る、ラジオをかける

「考えるな」ではなく、「今は考える時間ではない」 と思わせる。


頭で生きている人ほど、身体を使ってほしい

内向型は、問題が起きるとまず頭を使う。

それ自体は能力だと思う。深く考えられるのは、本当に強みだから。

ただ、脳が疲れているときまで思考だけで突破しようとすると、反芻のループに入る。

反芻しているとき、必要なのは「もっといい答え」ではなく、「今夜の脳をいったん休ませること」かもしれない。


※ 本記事の内容は、筋トレや運動が反芻思考を必ず改善すると主張するものではありません。身体活動が反復的なネガティブ思考に関連する研究を参考にしていますが、効果には個人差があります。深刻な症状がある場合は、専門家への相談をおすすめします。


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