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仕事のミスを引きずる人へ。内向型の脳が抱える未処理情報の話。

はじめに

お風呂に入っているとき、急に思い出す。

「あの言い方、まずかったかな」

シャワーを浴びながら、さっき、まで忘れていたはずの午前中の出来事がよみがえってくる。

布団に入ると今度は、送ったメールの文面が気になり始める。読み返せばよかった。

あの一文、余計だったかもしれない。

翌朝、目が覚めた瞬間、昨日のことを思い出す。

仕事は終わっている。謝罪も済んだ。
でも、頭は終わっていない。

「気にしすぎ」「もう終わったことだよ」——そう言われるたびに、胸が痛くなった。


引きずっているとき、脳内で何を処理しているのか

「ミスを引きずっている」という表現をよく使うけれど、実態はもう少し複雑だ。

引きずっているとき、処理しているのはミスの内容そのものではないと思っている。

  • あのとき上司の表情がこわばった

  • 同僚が少し黙った

  • 「大丈夫ですよ」と言われたけど、本当に大丈夫だったのか

  • 明日、空気が変わっていたらどうしよう

  • また同じことをやらかすんじゃないか

上記を同時に、ずっと処理し続けている。

ミスが引き金になって、人間関係・空気・将来の不安・自己評価、この全部が一斉に動き始める。

「仕事のミスを引きずっている」のではなく、ミスをきっかけに発生した大量の未処理情報を抱えている、という方が正確だと思う。


なぜ家に帰っても終わらないのか

内向型は「閉じる」のに時間がかかる

外向型の人は、出来事を外で消化していく傾向がある。話しながら、動きながら処理する。職場を出た時点で、ある程度整理がついている。

内向型は逆だ。内側で、深く処理する。

一つの出来事に対して複数の角度から考える。相手の立場、自分の言い方、場の空気、次への影響。それが全部「納得」にたどり着かないと、頭が完了にならない。

終業のベルが鳴っても、脳の中ではまだ勤務中——という状態が起きる。

「忘れろ」が機能しない理由

「そんなの忘れろよ」と言える人は、切り替えのスイッチを持っている。

でも内向型の処理は、スイッチ式じゃない。

ある程度まで考えて、納得が来て、やっと閉じる。その納得が来ないまま無理やりふたをしても、夜になるとまた開く。

「忘れろ」なんて、処理が終わった人にしか機能しない言葉だ。


引きずる人がやりがちなこと

当てはまるものはありますか?

●送ったメールやチャットを何回も見返す
確認しても変わらないとわかっていても、見てしまう。

●相手の表情を記憶から何度も引っ張り出す
「あのとき怒っていたのか、呆れていたのか」と、頭の中で映像を何度も再生する。

●「次こそ完璧にしよう」と詰め込み始める
反省のつもりが、不安の先読みになっていく。

●スマホで似た失敗例を検索する
「自分と同じ人がいないか」を探す。Yahoo知恵袋とかついつい見てしまう。けど、見つかっても、あまり楽にならない。

●一人反省会が止まらなくなる
改善を考えているのか、自分を責めているのか、途中でわからなくなる。

どれも「早く楽になりたい」からやっていること。でも大体、逆効果になる。


「考えるな」より「終わらせる」

「考えるな」はといわれても難しい。考えるなと思うほど考える。だから方向を変えて、未完了感を減らすことを目標にする。

頭の外に出す

脳内にある情報を、一度メモに吐き出す。感想や反省じゃなくて、今日起きた事実だけ。「〇〇の件でミスをした。上司に報告して、謝罪した。」それだけでいい。

書くと、脳は少し手放せる。記憶しておかなくていい、という信号になる。

反省する時間を決める

「今日15分だけ反省する。それ以降は考えない」と決める。決めた時間内は思い切り反省する。時間が来たら、「今考えても変わらない」と声に出す。

「考えない」ではなく、「ここで終わり」という区切りを作ることがポイントだ。

帰宅後の「切り替え儀式」を作る

着替える、シャワーを浴びる、好きな音楽をかける——何でもいい。「この行動をしたら仕事終わり」という儀式を作る。気休めに見えるけれど、習慣化すると意外と機能する。


それでも続くなら、環境との相性の話

対処法を試してもしんどい状態が続くなら、本人だけの問題じゃないかもしれない。

引きずりを長引かせる職場の特徴

●ミスへの反応が過剰な環境
小さなミスでも大げさに指摘される職場では、処理が終わる前に次のインプットが来る。脳が追いつかない。

●常時監視・即レス文化
チャットがリアルタイムで飛び交い、常に「見られている感覚」が続く環境。その緊張がミス後の処理をさらに長引かせる。

●感情が読みにくい人が多い職場
「大丈夫ですよ」と言っているのに、本当に大丈夫なのかわからない。表情と言葉が一致していないと感じると、確認作業が終わらなくなる。

引きずってしまうのは、自分の性格の問題だけではなく、環境との相性という側面もある。同じ人が別の職場に移って、急に楽になるケースは珍しくない。


おわりに

「もう終わったことじゃん」というひと言で終われる人と、脳の処理が長引く人がいる。

社会には「気にしない力」が強い人向けの働き方論が多い。

でも大事なのは「引きずらない自分になること」より、引きずっている自分への対処を知っておくことだと思っている。


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