【MBTI】職場ではISTJ、家ではINFP――「どの自分で答えればいいかわからない」と思っている人へ
「昔はINFPだったのに、今診断したらINTJだった」
このような経験をした人は、少なくないと思う。
転職したらISTJ。
恋愛中はENFP。
疲れているときはINTP。
SNSを見ると「タイプが変わった」という投稿が溢れている。
でも、本当に自分の本質的な性格が変わったのだろうか?
「MBTIが変わった」とはどういうことか
まず前提として、ひとつ整理しておきたい。
SNSで「MBTIが変わった」と話題になるとき、多くの場合それは16Personalitiesという無料のウェブサービスの結果を指している。世界中に広まっていて、手軽に受けられる。MBTIに着想を得て作られたツールではあるが、日本MBTI協会が扱う公式MBTIとは別のものだ。
この記事では、この2つをきちんと区別して話したい。
公式MBTI:有資格者のもとで受け、フィードバックセッションを通じて自分でタイプを確認・納得していくプロセスがある。
16Personalities:無料で受けられるウェブサービス。公式MBTIとは異なるが、「MBTI」として広く認知されている。
で、本題である。
「結果がブレる」という現象が起きているのは、主に16Personalitiesの話だ。でも面白いのは、公式MBTIの理論から考えると、この現象にちゃんと説明がつくということである。
診断を前に「どの自分で答えればいいかわからない」
16Personalitiesを受けたことがある人なら、一度はこう思ったことがあるのではないだろうか。
「どの自分で答えればいいのか、わからない」
職場の自分で答えるべき?
家にいるときの自分で答えるべき?
なんとなく、理想の自分を選んでいる気がする…
この迷いが生じる時点で、すでに「自分の中に複数のモードがある」ことには気づいている。
転職直後に受けると「今の職場モード」が回答に滲み出る。恋愛中に受けると感情面が強く出る。ひどく疲れているときと、元気なときで答えが変わることもある。
それはあなたがブレているのではなく、その瞬間の自分が正直に反応した結果だと思う。
公式MBTIの理論では「タイプは変わらない」
では、公式MBTIはこの「ブレ」をどう説明するのか。
日本MBTI協会の見解によると、タイプは生まれつき備わっており、基本的には変わらない。ただし「タイプは成熟していく」という考え方がある。
よく使われる例えが「利き手と非利き手」だ。
右利きの人でも、練習すれば左手である程度のことができるようになる。でも「利き手が変わった」とは言わない。
MBTIも同じ考え方で、経験を積むことで苦手だった機能を使えるようになることはある。でもそれはタイプが変わったのではなく、非利き手が鍛えられた結果だ。
仕事でISTJ的な働き方を10年続けたとして、だからといってISTJになったわけじゃない。行動が板についても、本来の認知パターンが変わったわけではないという考え方だ。
そもそも「ペルソナ」とは何か
心理学に「ペルソナ」という概念がある。もとはユングが使った言葉で、「社会と向き合うための仮面」を指す。難しく聞こえるかもしれないけど、実感としてはとてもシンプルだ。
たとえば、
職場での自分(テキパキ、論理的、報連相重視)
家族の前での自分(長女キャラ、気を使う、感情的になりやすい)
恋人の前での自分(甘えたい、少し幼くなる)
一人でいるときの自分(ぼんやり、好きなことだけする)
どれも「自分」なのに、全部微妙に違う。人はこの複数のペルソナを、意識せずに使い分けて生きている。社会からの期待に敏感な人ほど、このスイッチが速くて精度が高い。
だから診断を前に「どの自分で答えればいいかわからない」と迷うのは、当然の感覚だ。自分の中に複数のモードが存在しているから、迷う。
職場と家で「別人」になる現象
内向型の人に特有の話をしたい。
内向型と外向型の違いは、単純に「社交的かどうか」ではない。エネルギーの回復源が「一人の時間か、人といる時間か」という違いが、心理学的には根拠のある区分として知られている。
この前提で考えると、内向型の人が職場で「外向的な振る舞い」を求められたとき、何が起きるか。
消耗する。それでも対応する。家に帰ると別人みたいに静かになる。
これは演技でも二重人格でもなく、適応コストを払いながら生きているということ。そして、その「職場モード」で診断を受けると、本来の自分とは少し違う結果が出ることがある。
会社では計画的で締め切りを守る
でも家ではぐだぐだしていて締め切りなんて気にしない
どちらが嘘かというと、どちらも嘘じゃない。ただ、使っているモードが違う。
加えて、HSP傾向や発達障害傾向がある人は、環境の影響をより強く受けやすいと言われている。状況によって発揮される特性が大きく変わるため、診断結果がブレやすい。
本来のタイプを探すための3つの問い
もし「自分の本来のタイプが知りたい」と思うなら、診断を何度も受けるより、こっちの方が手がかりになると思う。
問い1:誰も見ていない休日、何をしていますか?
予定も義務もない、純粋に自由な時間。そこで自然と選ぶ行動に、本来の傾向が出やすい。外向型なら誰かに連絡したくなったり、出かけたくなったりする。内向型なら、一人でいることで「やっと息ができる」感覚になることが多い。
問い2:疲れ果てたとき、どうやって回復しますか?
ストレス状態のときこそ、本来の傾向が浮き出てくることがある。一人になりたくなるか、誰かに話を聞いてほしくなるか。ぼんやりしたいか、動いていたいか。
問い3:子どもの頃から変わらない「癖」は何ですか?
環境適応の影響を受ける前の自分。「ずっとそうだったな」という特徴の中に、本来の認知パターンが隠れていることが多い。
診断を受けるとしたら、このあたりを意識してから臨んでみると、結果の見え方が変わってくるかもしれない。
MBTIは「なりたい自分」ではなく「自然に戻る場所」を探すツール
最後に、一番言いたいことを書く。
MBTIは「理想の自分」を測るツールではない。「演じていないとき、自然に使っている思考の癖」を確認するためのものだと思う。
公式MBTIの理論では、タイプは行動そのものではなく、心の働きの好みを扱うものとされている。だから、職場で頑張ってISTJ的に動けていても、それで「私はISTJです」とはならない。行動が変わっても、本来のタイプが変わったとは言えない。
本来のタイプは、頑張っているときよりも、力が抜けたときに現れる。
おわりに
MBTIセッションでINFPの私も、昔、16Personaltiesで1度だけINTPになったことがあり「タイプが変わった」と思っていたことがあった。
でも振り返ると、変わったのはタイプじゃなくて、置かれた環境と、そこで求められた役割だった。
「どの自分で答えればいいかわからない」という迷いは、自分の中に複数のモードがあるという証拠でもある。それは器用さでもあるけれど、「本来の自分がわからなくなる」という疲れにもつながる。
だからこそ、今の診断結果を分析するだけじゃなくて、「一番自然だった頃の自分」を思い出してみることに意味があると思う。
このnoteでは、内向型・繊細な気質を持つ人が消耗しすぎずに生き延びるための情報を、当事者目線で発信しています。 社労士(有資格者)・キャリアコンサルタントとしての知見も交えながら書いています。
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