完璧マニュアル思考の若手人材とアオアシ流「答えを教えない」教え方
先週のブログで完璧マニュアルを求める若手人材の話に触れました。個人的にはなんだかなぁと頭を抱えましたが、こういう若手人材は多いのではないでしょうか。
そんな中、最近読んだこの本が気づきをくれました。
答えを教えないとはどういうことなのか?
この本の一番のポイントは「自分で考えろ」と突き放すのではなく、いかに効果的に「お題」を設定し、教わる側の自律的な思考と成長を促すかということです。
お題設計アプローチとして、どのような意図をもって提示すれば相手が考え、行動し、学びを深めていけるか解説されています。
お題の出し方や「型」の提示のコツなどが書かれています。
特に印象的だったのは「型」についての記述です。
・たい焼きの型(複製の型)※いわゆる型通りというもの
・武道の型(生成の型)
これは動作に一定の視点や基準を与えるもので、視点や基準を抑えていれば個々人が「自分なりの回答」を出して良いというものです。正解ではなく回答というところがポイントのようです。
最初に指導する時に「型」を教えるということはあると思いますが、たい焼きの型で教えていると、相手は指導者がいなくなった時に成長が止まってしまうというところはドキッとしました。
もう一つ印象に残っているのは、
この型を使ってこのタスク(課題)をしてください。ただしこの条件を満たすこと
これがお題(問い)を相手に出すことです。
この中で「制約条件」をつける(この条件を満たすことの部分)という点です。制約条件は望ましい行動を引き出したり、望ましくない行動を選択肢から外すことが目的です。
学習する時にロープレをすることがあります。これは一つのパターンを繰り返し行うことで、できるようにはなりますが、条件が変わった場合には対応できなくなるということがあります。
その際、この制約条件を変化させることで、反復練習だけではなく、状況を変動させることでより深い学びを促すというところは目からウロコでした。
完璧なマニュアルを欲しがる若手に通用するのか?
成長意欲のある若手人材の育成には学びがあると感じる一方、先週実施した研修で、ある若手社員の言葉がひっかかっていました。
「大事にしたいのは自分のメンタルの安定。自分のやりたいことなどない。相手が望むようにすることが大切。そのために詳細で具体的な指示(完璧なマニュアル)がほしい」
いわゆる「静かな退職」とまでいかなくても、今の若手人材にこういう傾向が見られることは少なくありません。一見すると後ろ向きに見える彼らに、この「答えを教えない教え方」は通用するのだろうか・・・正直疑問に思いました。
答えを教えないは「放置」とは違う
最初にも書きましたが、答えを教えないは「自分で考えろ」と突き放して放置することではないということです。
教わる側の自律的な思考と成長を促すために、いかに効果的に「お題」を設定できるかということです。
上記のような若手は
・失敗したくない
・怒られたくない
・迷惑をかけたくない
という不安を抱えているのかもしれません。まずはこの不安を取り除いて、安全な環境だと思ってもらうことが最初のステップになるでしょう。
そこで重要なのは
・何を達成すればOKなのか
・どこまでが許容範囲なのか
という明確なゴールと基準を丁寧に伝えることです。
いきなり大きなお題を与えるのは、彼らを途方に暮れさせてしまう可能性があります。まずは安心感を持ってもらうために選択肢を限定した小さな選択から始めるのが良いでしょう。
例えば
「この資料のフォントはAとB、どちらが見やすいと思う?」といった、どちらを選んでも問題ないような簡単な問いから始めます。彼らが選んだ行動結果に対して「いいね!」とポジティブに返して小さな成功体験を積ませることが重要です。
言われたことだけをやるから、自分でみつける喜びを少しずつ味わってほしいものです。
時間はかかっても未来への投資
そう考えると「答えを教えない教え方」は目先の効率だけを見れば、時間と手間がかかると感じるかもしれません。
しかしこのアプローチは単に魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教えているのです。釣り方を自分のものにすれば、相手はこの先どんな状況になっても自分で魚を釣ることができます。
それは管理職のみなさんが目先の効率を重視するのではなく、未来への大事な投資を行っていると捉えることができるのではないかと思いました。自分で考えて行動し続けられる人材を育てることで、変化の激しい時代のどんな困難も乗り越えていける強固な力がつくのです。
「完璧なマニュアルなんて・・・」と突き放すのではなく、粘り強く、根気強く、そして何よりも「信頼」を持って若手と向き合うこと。それが、彼らの無限の可能性を開花させるための、管理職に求められる役割です。
