三題噺ショートショート_パーフェクト
落語家もすなる三題噺といふものを、コジも、してみむとてするなり。
企画もの、大の苦手なのである。
どんな親しい人の企画ものでも、なかなか素直には乗れない。
私は、「ルール」とか「決まり事」とか「期限」とか「締め切り」とかという制限事項が世の中で一番嫌いなのだ。
いくつになろうが、きかん坊の悪ガキ。それが、私、kojuroだからである。
え?落語?三題噺?ヤスさん?

心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟いた。
コジ、別名、天の邪鬼四朗だろ。「もし書けなかったとしても、それはそれでOK。でも、やってみなきゃ、もったいない!」なんてこと言われたら、逆に書きたくなるんじゃないの?
なんのはなしですか。

わかったよ、書くよ。書く書く。書けば良いんでしょ、リトル。それで、気が済むのよね?
ブラックホールよりも重い重い腰を上げて、半ば自暴自棄に筆を執る。
さて。では、三題噺ショートショート「パーフェクト」まいりましょうか。

ピーナッツを力の限り高く放り投げて、マウンド上で口でキャッチして食べることができたら、超一流のピッチャーになれる。
そんな話が、俺の中学にはあった。
武蔵は不器用なヤツだった。
打撃のチームで。打棒が振るわず。チーム唯一の左投げのヤツを、監督はピッチャーにコンバートした。
ヤツはだが、努力の天才だった。
誰よりも早く来て、誰よりも遅くまで練習し。ノートには隙間なく工夫と足跡が詰まっていた。
監督がいつも言っていた。
「正解は10年後にわかる」
卒業式の日、遊びでやったんだ。
で、ヤツが一人、成功した。
去年の日本シリーズ最終戦。全員3球3振。81球の完全試合をやってのけたヤツはお立ち台で言った。
「ウチの売りは守備。次は27球の完全試合を成し遂げる」
そして今。
日本一を決めるこの試合。9回裏ツーアウト。
ヤツは渾身の27球目を投げた。
超スローボール!
泳いだバットはイージーフライを上げ、ゲームセット。
都市伝説?
いやいや。
宇宙伝説でしょ。

ヤスさんの三題噺企画の、そんなこんなを家内と語らおうとしてソファーに目をやると、家内が脚を指さしてニッコリと笑って言った。
そうなの?三題噺?落語の?ショートショートの?ヤスさんの?書いたの?また、下手くその?みんなに迷惑じゃん!じゃ、それにちなんで、マッサー(注1)三倍返しと参りましょうか。ぺぺペン、ペンッ!
……。
マッサージをすると、家内は上機嫌になる。
家内が上機嫌だと、我が家は平和である。
だから。
これで、いいのだ。

(注1)マッサーとは、マッサージのことである。家内のさっちゃんがそうやって、略して言うのである。さっちゃんへのマッサーは私の最重要の日課である。

