見出し画像

ショートショート_ 城垣

思い出のことについて言うと。私は、あまり記憶力が良いほうではないので、どんなものでも断片的なのである。

しかし、はっきりと覚えている。その断片については、異常なくらいにはっきりと残っているのである。

高校の時、学年でずっとトップに立つ男が友人のひとりであった。彼は常に言葉少なで。かなり冷徹な感じには見えるようだったが、実際には冷たい男ではなかった。

全くタイプも成績も違ったが、お互いになぜか妙な信頼関係があった。

その彼が言うのである。

「コジ、その鮮明な記憶力。そんな無駄な記憶に使わない方が幸せになれるぞ」

私は、大きなお世話だと、ヤツの腕を叩いた。


そんな記憶さえ、今や彼は恐らく忘れ去っていて。もはや無駄な記憶なのである。


そんな日曜日の午後に、またもや、荒技をやってしまった。



さて、小牧幸助さんの、シロクマ文芸部の最新お題は、毎週木曜日に出る。

そして、今回のお題は、「思い出の」から始まる小説・詩歌・エッセイなどを自由に書いてみませんか?いうことで。


そして、たらはかにさんからのお題は…。

表のお題が【誤解陸上】で。裏のお題が【和解劇場】|д゚)チラッ ということだ。


また、山根あきらさんの、青ブラ文学部のお題は、少し早めに出る。

今週のお題は、「失敗の旅」という言葉をタイトルまたは本文中で使ってくださいということで。


今回は、文中に入れることにしよう。



心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、つぶやいた。

コジ、「荒技師あらわざし」だなんて、あんまりおおっぴらに言わないほうがいいよ。


うむ……。そうだな。



3人の企画は両方とも、膨大な数のファンの方、参加希望者を抱えていらっしゃって。お題を出すだけでも、大変だと思うのである。それでもお題を出してくれる。毎週。ほんとうに、ありがたい限りだ。ほんとうに励みになる。

また、今回は、ABC共創ラボ|語りとAIの未来設計所さんのシロクマ文芸部作品を読んでみた。ちょっとその感想を、シロクマ感想文として書いてみる。

今週も、「シロクマ文芸部・透明な」で検索して飛んで行き、「シロクマ感想文」をほんの少し、コメントを残した。

思い出はいつも美しく。或いは悲しく切なく。はっきりと鮮明でもあり、断片的でもあり。

しかし、曖昧で儚いものであることも事実ですね。

人は、忘れるからこそ生きていられて。ただ、思い出があるからこそ生きていられるのも確かだと思います。

嬉しくも苦しく。懐かしくも苦々しく。そんな思い出が、またひとつ、残っていく。

それが、生きているってことなのでしょうね。


今、生きていられることに感謝して。今宵も、月に祈ろう。



心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、つぶやいた。

せっかく出していただいたお題を、小牧幸助さんの始まりの言葉(シロクマ文芸部)と、たらはかにさんの裏表のお題(毎週ショートショートnote)、そして山根あきらさんの青ブラ文学部のお題。4ついっぺんに書く荒技。まして、シロクマ感想文と、全部で5重の荒技。あまりにもやりすぎじゃないかな。

そうだ、今週は5重の荒技だ。


うむ。


これで何週間だろうか。もう、2年をとうとう超えて3年目2ヶ月に突入している。


まあ、続けられるだけ、続けるさ。



心の中の、リトルkojuroが、また、ボソリと、つぶやいた。

まるで、悪ガキそのものだな。


まあな。


なんのはなしですか。

いや、あのぅ、荒技は、また来週もやりますっ


さて。それでは、本編にまいりましょう。今週の荒技、「ショートショート_ 城垣」約410字を、どうぞ。


思い出の話だ。



涼は確か、姿を消す直前の兄から着信を受けていたのである。

受けたのがたまたま会議中で出ることはできず。折り返したときには、電源が切れていた。




激務の合間に調査を手がけ。その兄の発信が兵庫県の生まれ故郷だったということに辿り着いた。

休暇にひとり帰省し。母校を訪れたのだが。グラウンドには部員の姿は無く強かった頃の駅伝部の面影はなかった。





が、教頭は山を指さし。部員は山中走行の訓練中で、今年は県大会突破を期待できると教えてくれた。

講堂では、文化祭に向けて演劇部が仕上げの真っ最中だった。

演目はシェークスピアの「冬物語」。ちょうど最終幕で彫像が再生するシーンの稽古だった。


涼は陸上部だったが、最後の文化祭ではリア王を演じた。高校はかなり変わっていて。ネットも穴だらけ、雑草だらけで野球部に昔の面影はなかった。




兄に繋がるような記憶や情報は何ら得られず、列車から城垣に目をやりつつ、涼の束の間の失敗の旅は終わりを告げた。



《余滴》
さて。「毎週ショートショートnote」のお題の解説です。

ショートショートnoteカードゲームでは、お題の言葉そのものを入れ込まないで匂わせるのを流儀としています。

小牧幸助さんの書き出しのお題や、山根あきらさんの青ブラ文学部のお題、水曜日の「三題噺」の三つのお題は、その言葉そのものをストレートに文章に入れ込むのですが、たらはかにさんのお題は、表も裏も、なるべく言葉そのものは入れ込まない方が良い、“匂わせる”のだという流儀に沿い、なるべくそうしていっている“つもり”なんです。

しかし、方や、私のこの「荒技」にお題の言葉を探し続ける人もいらっしゃいまして。

たらはかにさんのお題については、今日も、ここに、お節介な解説を入れてみようと思います。

ですが。

この解説ついての一切の苦情は受け付けません。なぜならば、これこそが、「荒技」だからです。笑



①表のお題が【誤解陸上】→駅伝部=陸上部となぞらえ、トラックを走っていないので大したことはないのかと思ったところ、山中訓練という過酷な走りをし、しかも全国大会出場の期待とのことで、涼は少し誤解をしていたようです。涼の頃は、かなりの強豪で。その頃思い出したことでしょう。

②裏のお題【和解劇場】|д゚)チラッ→シェークスピアの作の中で「冬物語」を知っている人がどれくらいいるでしょうか。誤解の嫉妬から妃に罰を与えと娘を追放した王のもとに娘が偶然にも戻り、妃も魔法が解けて家族が和解するというあらすじです。それが、この秋の文化祭の演目とのことで。涼は在学当時、人数の足りない演劇部の助っ人で演じたことがあるようです。



今回の荒技は、淡々と書きました。ストーリー性は薄く。お題も淡々と入れ込みました。

ストーリー性が薄くなるのは本意ではありませんが、まあ、たまには、こういうこともあります。



ちなみに今回のカバー画像は、「駅伝」で検索して選びました。


城垣は、丹波篠山市を涼と財前の故郷のモデルで。兵庫県の男子駅伝代表を決定する舞台でもあります。田畑も広がり、山もあり、静かな街です。


私の「荒技」は、ショートショートと言いつつ2年以上前からの続きものです。設定、筋書きなどがわからない方もいらっしゃるかも知れませんが。なんのはなしですかと、どうぞ、笑ってください。



それにしても荒技。とても難しいです。時間もかかりますし。なにせ、頭がついてきません。荒技師への道は、まだまだ遠く彼方にあり。欠片も見えてきません。


そんなこんなを家内と語らおうとしてソファーに目をやると、家内が脚を指さしてニッコリと笑っていた。


今日もさぁ、朝から夜まで休日出勤で疲れたからさぁ、コジくん、マッサー(注2)頼んまっさ-。



マッサージをすると、家内は上機嫌になる。


家内が上機嫌だと、我が家は、平和である。


だから。


これで、いいのだ。

荒技、また、来週チャレンジしようか


荒技って、とっても難しいって、話

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集