ショートショート_ 刻印
夜に釣りに行くというよりも、超早朝に出て釣りに行くというパターンがほとんどだった。
社宅にいたとき、釣りが好きなメンバーが結構いて。よく行っていた時期がある。
だがよく考えれば、夜釣りはしたことが無く。
いつか、夜釣りをしてみたいものだなとも思う。
釣り好きの友人は。金曜日の夜残業をほどほどしながら帰宅してきて。直ぐに準備して出て。夜釣りを楽しんで夜明けに帰ってくるようなことをしていた。
たいしたものだ。
その頃私などは、夜通し飲むことはあっても、わざわざ釣りのために疲れた身体に鞭を打ちつつ、ひとり車で出かけるなんてことは、恐らくは出来なかっただろう。
考えてみれば私は、それほど釣りが好きだったわけではないということか。
曇り空を眺めながら、ふと、そんなことを思い出した。
そんな日曜日の午後に、またもや、荒技をやってしまった。
さて、小牧幸助さんの、シロクマ文芸部の最新お題は、木曜日に出る。
そして、今回のお題は、「夜に釣り」から始まる小説・詩歌・エッセイなどを自由に書いてみませんか?ということで。
そして、たらはかにさんからのお題は…。
表のお題が【骨折祈願】で。裏のお題が【抹殺みかん】д゚)チラッということだ。
また、山根あきらさんの、青ブラ文学部のお題は、少し早めに出る。
今週は、いつもの「青ブラ文学部」のお題が出ている。
「我逢人」(がほうじん)というお題で、作品を投稿してみませんか?ということで。
この「我逢人」と聞くと、私は、ひとりの人を思い出す。それは、近鉄バファローズの西本監督である。彼の座右の銘が、それである。
しかしそれ以外に、思い出すことができない。
よし。近鉄バファローズに纏わり、何か書いてみようと思う。
心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟いた。
コジ、「荒技師」だなんて、あんまりおおっぴらに言わないほうがいいよ。
うむ……。そうだな。
3人の企画は両方とも、膨大な数のファンの方、参加希望者を抱えていらっしゃって。お題を出すだけでも、大変だと思うのである。それでもお題を出してくれる。毎週。ほんとうに、ありがたい限りだ。ほんとうに励みになる。
また、今回は、はらとけいさんのシロクマ文芸部作品を読んでみた。ちょっとその感想を、シロクマ感想文として書いてみる。
今週も、「シロクマ文芸部・夜に釣り」で検索して飛んで行き、「シロクマ感想文」を少し、コメントにて残した。
世の中、何よりも悪意を持った人が一番怖い。
迷信を真に受け、釣り場で人身御供を密かに呼び寄せ、膿にスベり落とすための苔トラップ。まるで現代のSNSに蔓延る陰謀説やフェイクニュースを思い起こさせる。
人は、善にもなれば、悪にもなる。まさに人の業というのは、深いと改めて思い至らざるを得ない。
そういう意味で、完成度の高いホラーが、ここに成立していると思うのである。
面白く、そして怖かった。
今、生きていられることに感謝して。今宵も、月に祈ろう。
心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟いた。
せっかく出していただいたお題を、小牧幸助さんの始まりの言葉(シロクマ文芸部)と、たらはかにさんの裏表のお題(毎週ショートショートnote)、そして山根あきらさんのお題(青ブラ四字熟語のあきらさんの凡例)、4ついっぺんに書く荒技。まして、シロクマ感想文まで、5重の荒技。あまりにもやりすぎじゃないかな。
今週は5重の荒技だ。
うむ。
これで何週間だろうか。
まあ、続けられるだけ、続けるさ。
心の中の、リトルkojuroが、また、ボソリと、呟いた。
まるで、悪ガキそのものだな。
まあな。
なんのはなしですか。

さて。それでは、本編にまいりましょう。今週の荒技、「ショートショート_ 刻印」約410字を、どうぞ。

夜に釣りに出かけた涼は、思い出した。財前がかつて野球少年だったことを。
しかも、かなりのスラッガーでもあり豪腕投手でもあって。小学3年生でデビューしてすぐに所属するヤンチャーズは敵無しになった。
隣町の常勝チームだったゴンターズは町内から急に勝ち抜けなくなり。手練手管で財前の出場妨害をするようになった。
ある時は下剤入りの毒みかんを、町で一番可愛いと呼び声の高い女の子を使って差し入れてきたし。
ある時の相撲大会では優勝候補筆頭の中学生が蟹挟みなどというあり得ない荒技を繰り出して足を狙ってきたりした。
しかし財前はすべて正面から受け止め、正面から跳ね返した。
不思議に財前は好きなチームが無く。昔の近鉄が好きだった。何度もリーグ優勝しながら日本一になれない不遇のチーム、近鉄。
実に判官贔屓な財前らしい。
そう思いながら涼は、財前に借りてきた釣り竿を伸ばした。
グリップに「我逢人」と刻まれていた。
涼は思わず月を見上げ、平和を祈った。

さっちゃん(注2)に、今日の荒技が終わったとソファーを振り返って話しかけると、さっちゃんは笑って言った。
そんな時間があるなら、もっとマッサー(注3)に使ってもらっていいのよ。今日は日曜日だし、また倍返ししてもらおうかな。
……。
マッサーをすると家内は上機嫌になる。
家内が上機嫌だと、我が家は平和である。
だから。
これで、いいのだ。

(注1)さっちゃんとは、家内のことである。我が家の実質の最高権力者なので、別名、女王陛下という呼び名もある。
(注2)マッサーとは、マッサージのことである。家内のさっちゃんがそうやって、略して言うのである。さっちゃんへのマッサーは私の最重要の日課である。

