谷戸用語辞典

こちらに谷戸に関する用語や個人的に使用している造語を残しておきます。


イリ

谷戸類似地名(谷戸関連地名)
古語
「三ツ入」「横沢入」など。

入谷(いりや)

定義・古語
谷戸の入口付近を指す地名。

上谷戸(うえやと)

定義
→上谷戸(かさやと)

丘谷戸(おかやと)

定義・造語
谷戸の内、丘陵の内部を虫食いのように浸食しながら形成される谷戸のこと。
多くの谷戸地名が確認され、谷戸地名の密集性の根拠のひとつ。
→密集性、川谷戸

開析谷(かいせきこく)

地形
河岸段丘や崖線と言った高低差のある崖状の地形の上部が湧水などを基点に浸食され形成される谷状の地形。

崖線(がいせん)

地形
河川や海の浸食作用によって形成される長く連続した崖。

カイト

谷戸確認地名(谷戸関連地名)
古語
「桜貝戸」「恋戒戸」など。
地形特性を持たない集落・部落を指す単語。地域によっては斜面に形成されることが多い。西日本から伝わったとされる。

河岸段丘(かがんだんきゅう)

地形
土地の隆起や氷河期・間氷期などの海水準面変動によって形成された河川の左右に発生する階段状の地形。
→段丘崖、段丘面

上谷戸(かさやと)

定義
谷戸の内側を分割した時、その上流部分のこと。
谷戸池(やといけ)、谷頭(こくとう)部などがある。
→上谷戸(うえやと)、谷戸池、谷頭

川谷戸(かわやと)

定義・造語
主に河岸段丘に形成される谷戸のこと。
河岸段丘沿いに複数の谷戸が並ぶため、谷戸の密集性の根拠となっている。
→密集性、丘谷戸

境界性

定義・造語
谷戸の構造限界を指す用語。
開析谷に形成される集落は三方が壁面で区切られているため発展しても拡張性に乏しく、また湧水に限りがあるため開析谷を出た先に平野部を開拓することもできず、ある程度以上増えた人口を抱えきれなくなってしまう。
この谷戸の構造限界を『境界性』と呼ぶ。

クボ

谷戸類似地名(谷戸関連地名)
古語
「大久保」「古窪」など。
谷戸型の谷戸、つまり「開析谷によって形成された棚田」とほぼ同等の性質を持つ。

現代農地型(農地型谷戸)

定義・造語
農地型谷戸のうち、かつての谷戸がそのまま現代農業の耕地として利用されているもの。
→農地型谷戸

合成地名

定義・造語
「久保+谷」や「谷+沢」のように2つ以上の谷戸地名や谷戸関連地名が1つの地名に含まれているもの。
最後の単語が意味の主体となる。

谷頭(こくとう)

地形
開析谷の最奥の部分。湧水により解析され続けている場所。

作(サク)

谷戸類似地名(谷戸関連地名)

由来が2種類ある。
1つは西日本のサク・サコなどが東日本に伝わり定着したもの。開析谷の水源を利用しており、地名としては谷戸とほぼ同様と考えてよい。古語であり、訓読みの「さく」。
2つ目は台地の上の山林や原野などを開拓し畑地としたもの。耕作のサクであり小作人のサクである。つまり音読みのサク。くわしくはこちら。

下谷戸(しもやと)

定義
谷戸の内側を分割した差、その下流部分。
多くを棚田が占めるが高低差が少ないことから谷戸に住む者の集落が形成されることが多い。
→上谷戸、中谷戸

支谷(しや)

地形
谷戸型の谷戸の内、ハケやママといった壁面に直接生成された開析谷の、その内側の壁面に対して生成された開析谷の事。
→本谷(ほんや)

斜面林(しゃめんりん)

地形
谷戸の谷壁部に生えている林。根に蓄えた水が湧水源となると同時に壁面の崩落を防ぎ、谷戸の内側への過剰な浸水を防ぐ役目を果たしていたと考えられる。
単なる自然林ではなく谷戸に住む者達によって管理されていた。
→谷壁部

集落型(宅地型谷戸)

定義・造語
宅地型谷戸の内、元々谷戸に住んでいた者達がそのまま棚田を潰して家屋に移り住んだもの。比較的小規模で谷頭部や谷壁部がそのまま残されている事が多い。
→宅地型谷戸

集落性

定義・造語
その地名が人が住み暮らす集落としての特性を有しているかを表す言葉。「その地名には集落性がある」ということは、その地名が付けられた時点において必ず人が住み暮らしていた、ということを示している。
谷戸地名には集落性があると考えられる。

整備型谷戸

定義・造語
谷戸の跡地を農地以外に整備し活用しているもの。自然公園や庭園、緑道、谷戸が自然に戻った林や沼地を保全しているケースもある。

堰谷(せきや)

定義・地形
千葉県特有の、上谷戸がダム状に堰き止められた形状の谷戸のこと。谷戸の内側に大量の水を確保する事で谷戸の外側の耕地に導水することを可能としている。谷戸の一部を指す呼称だが、谷戸そのものに堰谷と付いている場合も、「~ヶ谷堰」のように呼ぶこともある。
また千葉に於いては『関谷』の文字を使用する事もある。
詳しくは以下。
谷戸の収斂進化~谷津沼と堰谷~|Myah Nyah
→谷津沼

造成型(宅地型谷戸)

定義・造語
宅地型谷戸の内、再開発などによって谷戸がまるごと住宅街などに造成されたもの。谷壁部や谷戸根などもすべて造成され宅地が立ち並ぶことが多く、高低差の非常に大きな住宅街が現出する。特に神奈川に多い。
→宅地型谷戸

その他(跡地利用型)谷戸

定義・造語
谷戸が農地でも宅地でもなく整備保全されることなく、かといって放棄されるでもない状態となっていること。多くの場合谷戸本来の意義とは無関係の跡地利用されている事が多い。
道路、線路、小学校、墓地、ごみ処理施設、採石場、資材置き場、ダムの底などがある。
ソーラーパネルやゴルフ場に利用されるケースが多い。

宅地型谷戸

定義・造語
現代の残っている谷戸の内、その構成要素がほぼ家屋となってしまったもの。
さらに集落型と造成型に分類される。
→集落型、造成型

溜池(ためいけ)

地形
水を溜める池のこと。谷戸の溜池の事をここでは谷戸池と呼んでいる。
→谷戸池

段丘崖(だんきゅうがい)

地形
河岸段丘に於ける段差を形成している崖の部分。
→河岸段丘、段丘面

段丘面(だんきゅうめん)

地形
河岸段丘に於ける段差の上にある平らな部分。
→河岸段丘、段丘崖

地形拘束

用語
丘陵や河川、沼などの自然地形によって道路や宅地が歪んでしまうこと。谷戸型の谷戸は開析谷を利用して集落を形成するためこの地形拘束が強い。

中谷戸(なかやと)

定義
谷戸の内側を分割した際、その中ほどの部分。
ほとんどの谷戸の場合棚田が占めている。
谷壁部が緩やかな地域の場合、谷壁部のふもとに集落が形成されることもある。
→谷壁部、上谷戸、下谷戸

ネゴヤ

谷戸確認地名(谷戸関連地名)
古語
「根古屋」「根古谷」など。
山城に付随する家臣団集落のこと。谷戸であるケースがある。

農地型谷戸

定義・造語
現代に残っている谷戸の形式のひとつ。その中で農地としての機能を有しているもの。
現代農地型と保全農地型がある。
→現代農地型、保全農地型

ハケ

古語
河岸段丘や崖線などの崖、もしくはその上の集落を指す言葉。

放棄型谷戸

定義・造語
人がいなくなり放棄されてしまった谷戸、あるいは人は住んでいるが棚田の維持管理が放棄されてしまっている谷戸のこと。どういう状態になっているかは地域の地勢によって異なり、草原になっていたり荒れ地になっている場合もあるが、樹林や竹林などに浸食され森となってしまう場合もある。

保全農地型(農地型谷戸)

定義・造語
農地型谷戸のうち、かつての谷戸のような農法を保全しているもの。里山の保全や管理している町や団体などによってボランティアなどを活用し保全活動が行われている。
→農地型谷戸

本谷(ほんや)

地形
谷戸型の谷戸の内、ハケやママといった壁面に直接生成された開析谷の事。
→支谷(しや)

街谷戸

用語
→宅地型谷戸

ママ

古語
ハケ同様崖を指す古い言葉。崩れた地形を指す場合もある。

密集性

定義・造語
その地名がひとつの場所に固まって存在しているかを表す単語。
「その地名には密集性がある」と言った場合、対象の地名が一か所に固まって大量に見つかる可能性が高いことを示している。
谷戸地名には密集性があると考えている。

古語
・ヤトの呼称の一種。詳しくはヤト参照。
・谷戸地名のひとつ。谷と記される事が多いが、八・屋・矢・家などに転字することもある。
・関東各地に大量に存在しているが、特に埼玉中央~北部、栃木南部、群馬南部などの関東平野の平坦部に大量に存在している。

ヤチ

古語
・ヤトの呼称の一種。詳しくはヤト参照。
・谷戸地名のひとつ。基本的に谷地と記載される。
・関東にも若干存在しているが、東北、北陸、および北海道に大量に存在している。

谷地型(やちがた)

造語
谷戸地名の内、平野部の低湿地(あるいは、かつてそうだった場所)を指し示すものを便宜上こう呼ぶ。あくまで定義上の呼び方であり、「~谷地」という地名が常に谷地型とは限らない。

ヤツ

古語
・ヤトの呼称の一種。詳しくはヤト参照。
・谷戸地名のひとつ、谷津と記されることが多いが、谷(ヤツ)となっている事も多い。また谷ツ、八津、八ツ、などと記されることもある。
・関東各地に見受けられるが特に千葉と茨城に多い。またヤト地名が多い神奈川だが鎌倉~金沢八景あたりにはヤツ地名が多い。

谷津沼(やつぬま)

定義・地形
埼玉県滑川地方特有の上谷戸がダム状に堰き止められた形状の谷戸のこと。日本農業遺産となっている。
詳しくは以下。
谷戸の収斂進化~谷津沼と堰谷~|Myah Nyah
→堰谷(せきや)

谷底部(やていぶ)

地形
谷戸の底面。基本的に棚田となっている。未整地の場合ゆるやかな斜面となり下谷戸部分が沼地や湿地帯となっている事が多い。
谷戸用語なので「やれいぶ」と言っているが、本来は「たにぞこぶ」が正しい。

ヤト

古語
・主に関東において開析谷に形成される棚田、およびそれらに付随する集落。
・谷戸地名のひとつ。谷戸と記されている事が多いが、谷(ヤト)となっている事も多い。また多くはないが谷塔、谷当、屋戸などと記されることもある。
・関東各地にあるが特に東京と神奈川に多い。埼玉にもそこそこ多い。栃木・群馬には少ない。

谷戸池(やといけ)

造語
谷戸の上谷戸(かさやと)部分にある溜池のこと。
中谷戸以降の棚田の水量調節をしたり地下から湧いた冷たい水を暖めたりするために利用される。
→上谷戸、中谷戸、溜池

ヤトカイト地名

谷戸確認地名(谷戸関連地名)
造語
「五味谷戸(ゴミカイト)」「油谷戸(アブラガイト)」など。
カイト地名の内、特に『谷戸』の字を使用したカイト地名の事を特にそう呼んでいる。

谷戸型(やとがた)

造語
谷戸地名の内、開析谷の棚田(あるいは、かつてそうであった場所)を指し示すものを便宜上こう呼ぶ。あくまで便宜上の呼び方であり、谷津や谷が谷戸型のこともある。

谷戸地名

定義・造語
広義では谷を「ヤ」と読む地名の総称だが、ここではその中でも「その地名の元になった谷戸型、あるいは谷地型の地形と紐づく地名」の事を特にそう読び、それ以外の谷戸地名は谷戸関連地名として扱っている。

谷戸関連地名

定義・造語
谷戸に関連する地名の総称であり、私が現地に見に行く地名の範囲でもある。
谷戸関連地名には大きく分けて以下の三つある。
1.谷戸類似地名
2.谷戸周辺地名
3.谷戸確認地名
詳しくはこちら↓にて。
谷戸関連地名とは|Myah Nyah

谷戸根(やとね)

定義・地形・地名
谷戸の左右の谷壁部の上の尾根部分。
→谷根、谷壁部

谷根(やね)

定義・地形・地名
→谷戸根

谷戸用水

造語
谷戸の谷頭(こくとう)部や谷壁(やへき)部から湧き出した湧水を谷戸内部で人為的にまとめて用水路としたもの。
谷壁沿いの片側、または両側に配置されることが多く、河川として扱われることも。
谷戸の生命線。

谷壁部(やへきぶ)

定義・地形
開析谷に於いて左右の斜面を指す。
谷頭部から見て左側を左谷壁部、右側を右谷壁部と呼ぶ。
→谷頭、斜面林

連鎖性

定義・用語
谷戸の密集性の根拠のひとつ。
谷戸は『集落性』があるゆえに発展し、『境界性』があるゆえに抱えられる人口に限りがあって、開析谷が構造上近い場所に複数に大量に形成されるため次々と近くの開析谷に移住してゆくことで連鎖的に谷戸と谷戸地名がふえてゆくと推測される。その現象を現した用語。

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