【映画】 love my job. “I” を消した肯定 (プラダを着た悪魔2)
20年のあいだに、世界は変わった。
足元の土台が揺れ、声を出せないほどの制約が敷かれる。
檻に入れられた女豹は、
牙を隠し、あえてギアを上げない。
それでも、進むべき道だけは見失わなかった。
終盤、ミランダが速度を上げた瞬間、
止まっていたスクリーンがようやく呼吸を始める。
ウエアを次々と自身のものにし、目に力が戻る。
彼女は静かに言う。
love my job.
その "I" は、ほとんど聞こえない。
悔いも、欠落も、母としての面影も。
全てを飲み込んで、仕事を愛していた。
私は、思いがけず20年を通過した。
ファーストクラスから、エコノミークラスへ。
その落差を、体で知った。
贅沢に慣れていた頃の自分を思い出すたび、
ミランダの横顔が、少しだけ遠ざかる。
ミランダは、"I"を消せた。
私は、まだ手放せない。
