「英語ができる」の、その先へ――学会後の夜に考えた「どんな人を育てたいのか」🌙
8月9日に京都での全国大会の学会発表が終わりました。
……と思ったら、まだ終わっていませんでした。😄
8月11日の夜、その学会に参加したある先生の呼びかけで、英語授業研究学会の参加者による「アウトプットミーティング」に参加しました。
学会で得た学びを持ち寄り、
「自分は何を考えたのか?」
「授業にどう生かせるのか?」
そして、
「そもそも、私たちは英語教育で何を目指しているのか?」
を語り合う時間でした。
夜遅くからの開催にもかかわらず、話は尽きませんでした。(実際、盛り上がりすぎて延長戦になりました!)
むしろ、話せば話すほど、新しい問いが生まれていきました。
✍️ ルーブリックは「採点表」ではなく「学びを見るメガネ」
ある先生から、英検2級レベルの英作文指導について、興味深い実践を伺いました。
ケンブリッジのルーブリックを使い、
・内容
・構成
・言語
の観点から、生徒自身が自分の文章を評価します。
教師が一人ひとりを細かく添削するのではなく、全体へのフィードバックを行います。
継続して同じルーブリックを使うことで、生徒と教師の評価のずれも少しずつ小さくなっていったそうです。
「論理性」「一貫性」といった抽象的な概念も、自分の文章を評価することで「自分ごと」になっていきます。
評価とは、教師が生徒を評価するだけではありません。
生徒自身が自分の成長を見るためのものでもあるのだな。
そんなことを改めて考えました。
🎬 CM、トライアウト、映画制作――「予定どおり」から一歩外へ
私(土屋)からは、地産地消をテーマにしたPBL型英語授業や、大学でのショート動画制作について紹介しました。
プレゼンテーション活動を重ねた後、
「今度はCMを作ってみよう」
と活動を発展させると、生徒たちの学びがさらに動き始めます。
中には、自分たちの活動を教員向けセミナーで発表することまで企画・実現した生徒もいました。
教師の想定を超えて、生徒自身が動き始める。
こういう瞬間に、PBLの面白さがあります。
一方、ある先生からは、映画制作を英語授業に取り入れる際には、
「制作活動と教科としての目標をどう両立させるのか?」
という重要な問いも投げかけられました。
楽しい活動を入れれば、それだけで主体的な学びになるわけではありません。
「なぜ、この活動をするのか?」
を教師自身が問い続ける必要があります。
🎤 「トライアウト」に学ぶ、教師の「待つ力」
別の先生から紹介されたのが、生徒が教科書の話題やその場の出来事をもとに自由に表現する「トライアウト」という実践でした。
特徴的なのは、ALTとの事前打ち合わせをあえて行わないことです。
つまり、すべてを台本どおりに進めません。
その場で何が起こるかわからないからこそ、リアルなコミュニケーションが生まれます。
ここで重要になるのが、
「余白」
でした。
生徒が考える時間。
言葉を探す時間。
言い直す時間。
そして、教師がすぐに助け舟を出さずに待つ時間です。
教師は良かれと思って、つい先回りしてしまいます。
でも、
「待つ」ことも教師の重要な仕事なのではないか。
そんなことを考えさせられました。
🌱 「Can-Do」から「Can-Be」へ
今回、一番心に残った言葉があります。
それが、
「Can-DoからCan-Beへ」
という考え方です。
英語教育では、
「何ができるようになったか」
が重視されます。
Can-Doリスト、英検、スピーキングテスト、ライティング評価……。
もちろん、これらは大切です。
でも、その先には、
「どんな人になってほしいのか?」
という問いがあります。
このことを、あるベテランの先生が、具体的な言語活動の例を挙げながらお話しされていました。
例えば、仮定法の活動。
定番の、
“If you had one million yen, what would you do?”
というタスクもあります。
もちろん、これは仮定法を使うための言語活動として成立します。
しかし、例えば、
“If you were a hero, what would you like to do?”
と問いかけてみたらどうでしょうか。
「自分がヒーローだったら、何をしたいか。」
そこには、その人の価値観や願いが表れます。
さらに、
「なぜ、そのヒーローになりたいのか?」
「そのヒーローは、誰を助けるのか?」
と考えていけば、自己理解だけでなく、他者理解や人間理解にもつながっていきます。
つまり、文法を使うための活動から、人間について考えるための言語活動へ。
これこそが、
「Can-Do」の先にある「Can-Be」
なのかもしれません。
👤 子どもを「過小評価しない」
そして、そのベテランの先生がまとめとして語られたことの中で、特に印象に残ったのが、
「子どもたちを過小評価しないこと」
でした。
子どもたちの可能性を信じること。
これは、先ほどの「余白」ともつながっています。
教師が、
「この子には難しいかな」
「まだ中学生だから……」
「この学力では無理かな」
と先回りしてしまえば、生徒が挑戦する機会そのものを奪ってしまうかもしれません。
でも、任せてみると、教師の想像を超えるものを作ることがあります。
CMを作る。
映画を作る。
英語で発表する。
自分たちで新しい活動を企画する。
もちろん、丸投げするわけではありません。
教師は必要な足場を用意します。
でも、全部の道を舗装してしまわない。
少し迷えるようにする。
少し失敗できるようにする。
そして、
「どうする?」
と待つ。
そこに、生徒自身の学びが生まれるのだと思います。
🌏 「英語を教える」その先へ
今回、改めて感じました。
ルーブリック。
PBL。
トライアウト。
映画・動画制作。
一見すると、まったく違う実践に見えます。
でも、その根っこには共通するものがあります。
それは、
「生徒には、自分で考え、表現し、学びをつくり出す力がある」
という、教師の信頼です。
だからこそ、
「教える」だけではなく、
「任せる」
ことが必要になります。
そして、
「待つ」
ことも必要になります。
学会は、発表が終われば終わりではありません。
むしろ、誰かの実践を聞き、自分の実践を語り、問いをぶつけ合うことで、新しい学びが始まります。
今回のアウトプットミーティングは、そんなことを実感する時間でした。
そして、最後に残ったのは、この問いです。
「私は、英語を教えているのでしょうか。」
それとも、
「英語を通して、人を育てているのでしょうか。」🌱
Can-Doの先に、Can-Beを見据える。
この視点を忘れず、これからの授業と研究に向き合っていきたいと思います。
🌻 学びは、こうして広がっていく
熱心な先生方が、夏休みに学会に集います。
そして、そこにいた一人の先生の呼びかけから、現場に集まった教員同士がオンラインでつながり、学会での学びを振り返り、語り合う時間が生まれました。
一人の学びが、対話によって広がり、また新たな学びにつながっていく。
こうして、英語教育の輪が少しずつ広がっていく。
本当に素敵なことだと思いました!😊
#英語教育 #英語授業 #英語教育研究 #授業研究 #探究学習 #PBL #アクティブラーニング #教師の学び #教育実践 #CanDo #CanBe #主体的な学び #学習者主体 #教育 #note #大学教員 #高校英語 #中学英語 #言葉の力 #人を育てる
