【うらがみむらかみ往復書簡】13通目 | むらかみ
うらがみさんへ
こんにちは。
やっと暑さが和らいできましたね。涼しい風が吹くと、ほっとひと息つく心地がします。
1週間ほど前から朝の情報番組(関西ローカルの「おはよう朝日です」がイチオシです)のアナウンサーの服装が長袖になっていて、秋がすぐそこまで来ているのだと実感しました。
今は早く涼しくならないかなと思っていても、冬が来るとその寒さに震えあがって、夏の太陽が恋しくなるんだろうな、と今朝、ぼんやり考えていたところです。
うらがみさんからのお手紙を読むと、書きたいことばがぶわっと湧き出てきます。
早く書きたい、いやでももっと時間をかけてあたためたい、葛藤を抱きながら、今もお返事を書いています。
ゆっくりと時間をかけて紡いでくださったうらがみさんの言葉が本当に好きで。
読んでいると、じわーっと心に沁み渡るし、うらがみさんの考えに一つひとつ思いが浮かんできます。
お手紙なんだけれど、読みながら対話しているような気持ちになります。
今回のうらがみさんのお手紙は、照明を落とした喫茶店でコーヒーを飲みながら向かい合って、少し小さな声でおしゃべりしているような光景を頭に描きました。
軽やかな蝶々を思い浮かべてくださったこと、嬉しかったです。
蝶々は留まる花がなければ生きられない。
その花が、私にとっては本だと思います。
生きものとして、人も動物も虫も栄養をとるわけで、食べることも大好きなので食にも貪欲ではありますが、それ以上に私が執着するのは読むことです。
今後何か一つしかできないでも生きていけるのであれば、読むことを選びたい。
さて、「自分を表現することへの恐れ」の話をしたいと思います。
まず、表現したものを世に出すことについて。
いいと思って出した文章、絵、写真などに望んだような反応がなかったとき、恐怖とも不安ともつかない感情がじわじわとお腹のほうから湧きあがってきます。
しばらくは気にしてしまう。
けれど、それで表現をやめたくはないですし、うらがみさんの言葉ではっと気づかされました。
人からの評価を気にしすぎていたなと。
人から見られること、評価されることを前提として表現をしてしまう。
それは今後も完全には拭えないだろうけれど、うらがみさんの経験を通して、評価ばかりに目を向けず、自分が何を表現したくて、何がいいと感じていて、どんな自分でいたいのかを大事にしようと思えました。
(これは仕事でも感じることです)
自分の「いい」「好き」の理由を言語化すること、私も意識してみます。
おもしろい形の影、撮りたくなりますよね。影が地面に長く伸びる様子も好きです。
雲の形から何に見えるか想像するのも好きで、よく写真に撮ります。
自分自身を出すことについては、わたし自身、まだ模索しているような気がしています。
一番素直に自分を出せるのは絵だと思う。
絵はどんなにとり繕おうとしても、隠せない。
心がのびやかでないときは、のびのびした絵は描けない。
文章、音声、動画ではある程度編集ができるし、評価を気にして体裁よくしてしまうところがある。
それでもにじみ出る自分感はあるのですが、私の好きなことば、「のびのび」にはまだ遠いかもしれません。
人付き合いもそうですが、わたしは結構な内弁慶で(笑)、家族にはありのままでいられるのに、他の人にはよく見られたいが勝って、自分をさらけ出せないところはあります。
そう思うと、うらがみさんの表現は「自分を出す怖さ」を含んでいたとしても、うらがみさんらしさがあらわれているのかもしれません。
わたしはうらがみさんのエッセイが好きで、実際に会ったことがなくても、文章から伝わる雰囲気、空気感が好きです。
書くことを自分と切り離すというのも、自分と文章が密接だからこそ、考えることなのかもしれないですね。
逆に私は書くことを自分とくっつけたいのかも。妙に自分じゃない気がする文章に対して、自分だと思えるらしさがほしい。
そしていまふと思いましたが、うらがみさんとの往復書簡での文章はリラックスしていて、自分っぽさが出ていると気づきました。
文章を書くのが楽しいと思えるようになったのも、この往復書簡のおかげもあるなぁと思っているので、うらがみさんには感謝してもしきれません。ありがとうございます。
うらがみさんが書いた小説っぽいもの、読みたいです。
今でもいいですし、これから作りたいものや空間をよりはっきりとさせて、磨いたものでも。
世に出す前に感想を聞いてみたいなどもあれば、いつでも喜んで読みます。
小説を書いてみようと思ったことは何度もあるのですが、これも私の克服したいところかも。
自分の表現の前に、これがスタンダードでしょ、と凝り固めてしまう。ここでも、とり繕おうとしてしまう。
そんなことを続けていたら、自分が書きたいものではなくなってしまって、筆が進まなくなりました。
ただ、絵と連動させて書きたい文章が今はあって。それをカタチにできたらいいなと、ほわっとですが考えています。
幼い頃だからこそ抱く、なんとも言えない恐怖ってありますよね。
息子にも自分のうちにだけ秘めた怖さがあるのかな。
今じゃなくて、息子が大人になったら話してみたいような。
東日本のおすすめ、教えてくださってありがとうございます。
読みながらワクワクしました。ああ、行きたい…。
関東となると、東京か横浜になりがちで。観光よりも誰かに会いに行く目的が多く、だからこそその人が住んでいる場所になってしまっています。
宇都宮の餃子は関西で食べる餃子とどう違うのかや、草津、伊香保温泉と有馬温泉の違いを味わいたい。
宮城県の松島も、うらがみさんの描写からとても気になっています。
自然が作り出すすばらしい光景、それは自然側が見せてやろうとしてこうなっているわけではなくて(当たり前ですが)、勝手に人間が美しさを見出してるわけですが、そこに神秘を感じずにはいられない。
そんな景色を見て、咀嚼して、表現できたらと思いました。
時間もお金もかかる、だけど絶対に行けないわけではない。お金を貯めて、時間をつくって、わざわざ訪れる場所へ行きたい。
今年はあと2つ、旅行の予定があるので、来年こそは。
旅行の計画が上手な友人を見習って、来年は北関東か、東北、どちらかには行けるといいな…。
せっかく日本に住んでいるので、47都道府県制覇をいつかしてみたい。
少し立ち寄っただけの県もカウントすると、行ったことがあったのは30都道府県でした。未踏の17県は東北、北関東、九州に含まれていました。やはり距離か…。
北海道と沖縄は北と南の観光地大臣みたいなところがあるので、行ったことがありますが。
(そして、来月も北海道に行きます)
最近、住んでいる場所である奈良県の魅力を伝える、地域活性のようなものを始めたこともあって、その土地ならでは、に着目しています。
それぞれの歴史の上に、その場所のイチオシができていると思うので、今と昔を知りながら、ここならではを感じたいです。
遠くから来たお友達との時間、楽しそうで読みながら笑みがこぼれました。
共通の趣味で盛り上がれること、また会おうねと言い合えることも、また会いたいと思えることもすてき。
長めの小説!いいですね、読書好きの血が騒いでいます。
読み終わってからでいいので、本のタイトルと感想をもしよければ教えてほしいです。
村上春樹さんの小説ってのめりこみたくなりますよね。わかります。
「街とその不確かな壁」もその世界にすっぽり入り込んだ記憶があります。
わたしは何冊も並行して読むタイプで、今も通勤時に読む本、寝る前に読む本、(なかなかその時間は取れないのですが)お出かけの電車やカフェで読む本と読みかけの本があります。
寝る前は私も小説を読むことが多くて、ベッドの隣の小さな棚兼テーブルに何冊も積んでいます。
自分の中で小説の世界が形作られて、登場人物が身近に感じる気持ちもそうですし、読みたい本が山のようにある状態にも、共感がとまりません。幸せですよね。
タイパと言われる世の中だけど、読書に浸る時間はその言葉では語れないと思う。
未来への不安、見えないからこそ不安になりますよね。
うらがみさんと10歳の歳の差があっても、いつか不安がなくなるよとは言えなくて、そんな自分が言えることは25歳から35歳までの10年間は早く過ぎていったようで、中身の濃い10年でした。
35歳から45歳の10年も濃くはなるんだろうけれど、20代から30代前半ほどはエネルギッシュに動けないように思っています。気持ち的にも体力的にも。
エネルギッシュよりも、自分のペースを大切に、焦り過ぎないがテーマになっています。
体力も気力もある20代こそ、やりたいことに飛びこみやすかったと今振り返ると思うので、どうか自由にチャレンジしてみてほしいです。
こういう発言をする自分こそが、あぁ歳を重ねたなぁとしみじみしますが、歳を重ねることへの愉しさも感じていて、悲観はしていません。
あと、順風満帆に思っている、自信にあふれているときこそ、自分には見えていない部分があって、足元をすくわれることがありました。
だから、不安なくらいが結果的に望む未来への近道なのかもしれません。そう思いたい。
偉そうなことばだったらすみません…。
10歳年下の人は職場にもいて、世代が違うな、とか、考えていることがわからないな、なんて思ったりもします。
うらがみさんがその子たちと同い年と考えたら、若い!まぶしい!と目を細めたくなりますが、関係性が違うし、その子たちとは交わさない会話をたくさんしているので、やっぱり職場の子たちとは別な気持ちだし、親しく感じています。
きっと、過去最長だったお手紙。
読みごたえたっぷりで、本当に嬉しかった。
思えばこんなふうに長いお手紙をもらったことはなかったように思います。
大事にします。
今日もうらがみさんの周りがあかるく灯っていますように。
むらかみより
