14.私の日記【スミレは君との秘密】
毎日が風のように通り抜ける。
スイセンの花が枯れていく。
やがてタンポポが咲き誇る。
つくしはスギナに変わっていく。
向こうの庭は、枯れ草を押し除けてわらびが伸びつつあった。
私はわらびを少ししか摂らない。
食べきれなかったものは、やがて私の背丈を超えて伸び広がり、庭を埋め尽くす時が来るだろう。
娘達はムラサキケマンやヒメオドリコソウの花を摘み、何度も私に届けた。
そして私は、幼いわらびを踏み潰して歩いていく。
ふと視界の隅に、見慣れない姿が映り込む。
これはスミレだろうか。
倒れた枯れ草の隙間に隠れて、ひっそりとこちらを見つめているようだった。
紫の花は心細く、可憐だ。
辺りを見渡しても、他には誰もいない。
私たちは、何も話さなかった。
少し遠くから、私を呼ぶ娘の声が聞こえる。
私は近くの枯れ草を拾ってその花に被せ、娘の元へ歩いていった。
日々は慌ただしく、私の玄関にしおれた花束が積み重なる頃、私はもう一度、あの花に会いに行った。
でも、君はうつむいて、もう何も話してはくれなかった。
