12.何でもない日記【雨上がりの朝はみんな夢の中】
屋根にパタパタと雨が当たる音が好き。
とても心地よくて、ずっと眠っていられる。
朝起きて、やけに気持ちよく眠れたなと思うと、空気が少し湿ってる。
まだ家族が眠る布団から抜け出して、そーっと外に出た。
空が白い雲で霞む。
ひんやりとした、風のない空気。
土埃は沈み、草と土の匂い。
私はここでコーヒーが飲みたくなった。
仕事はお休みなのに、毎日の習慣で起きてしまう。
目覚ましを切ってても、身体はいつも朝を覚えてるんだ。
コーヒーが飲みたい。
でも部屋に入って、ミルで豆を挽いているうちに、この瞬間が消えてしまう気がする。
日が登っていくのはあっという間だから。
いつも何かをしようとすると、準備にもたついて、一番いい時を逃すんだ。
優しい人たちに囲まれて暮らしても、どこかに空っぽな部分があった。
冷たい空気は、私を一人にしてくれる。
そういう時に、この空白が何なのかを考える時間が好きだ。
今は、誰にも会いたくない。
でも、もう少し日が登って、あったかくなってくると、どうせ寂しくなるに決まってる。
だからもう一度、家族が眠るベッドに潜り込んで、眠っている子供の髪の毛を撫でようと思った。
向こうでキジが声をあげる。
ヤマバトがリズムよく歌いはじめる。
やっぱり、コーヒーを淹れようかな。
みんなが起きてくると、そんな事する暇なんてないもんね。
どの時間も、愛しい。
何を選んでも朝は来るけど、本当は、同じ朝が二度と来ないことを、何となく私は知ってるんだ。
