僕とニャンゴスターが結んだ悪魔のトレード 第10話「僕の家に来るまでのニャンゴ君」【全10話】
🎧 サントラ小説
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【僕とニャンゴスターが結んだ悪魔のトレード】
最終話
僕の家に来るまでのニャンゴ君
ニャンゴスターは、初めてトレードした日のように、満月に向かって「ヴニャーン!」と太い声でうなった。
再びオレンジ色の火の玉が現れて、二つに分かれ、僕とニャンゴスターの中に入っていく。
次に、ニャンゴスターが青い火の玉を吐いて、僕の中から赤い火の玉が飛び出した。
二つの火の玉が並んだ。
「え? どういうこと? 前と真逆だよ?」
「心臓のトレードを始めるニャ」
ニャンゴスターが、先に赤い火の玉を飲み込んだ。
「ヤダよ! こんなの飲み込みたくないよ!」
「なんど言えば、わかるニャか? もう、ムリなんだニャロ。お前は俺に目を渡した。次は俺がお前に心臓を与える。これは契約。悪魔がトレード成立を待ってるニャ。契約違反は許されニャイ」
「ふたりとも生きる方法はないの?」
「そんなウマイ話はニャイ。プラスマイナスゼロがこの世の常ニャッ!」
「イヤだッ!」
「それにニャ、どうせ俺はもうすぐ死ぬニャロ」
「え? なんで」
「もう、十五年以上生きてる。野良生活で疲弊したカラダは治らないニャ。簡単に言うと、寿命ニャロ。だから、早く火の玉を飲めニャロッ!」
僕が拒否しつづけると、ニャンゴスターが青い火の玉に何か言った。
すると、青い火の玉がとつぜん僕の方へ向かってきて、無理矢理、口の中に入ってきた。
僕は「イヤダッ!」って叫んだ。
火の玉が痛みを伴って喉を通過する。
次の瞬間、ニャンゴスターは倒れた。
僕の心臓がドクンと波打つ。
僕もそのまま倒れた。

ーーそれは、ニャンゴスターが僕の家に来るまでの物語。
ニャンゴスターが、僕の脳みそに記憶の転送を始めた。
サラサラの長い黒髪のキレイなお姉さんが、ニャンゴ君をたくさん甘やかして育ててくれた。
お姉さんは一人暮らしで、毎日お仕事へ行く。
ニャンゴ君はマンションの西側の出窓までダッシュする。
お姉さんらしきシルエットがニャンゴ君の熱い視線に気がついて手を振ってくれる。
ニャンゴ君は毎日、変わらない窓からの景色を眺めながら、お姉さんの帰りを、同じ場所で待ち構えている。
真っ青だった空が黄昏時のグラデーションに傾き始める頃、お姉さんのシルエットがこちらへ向かってくる。
いよいよお姉さんの足音が近づいてきて、ニャンゴ君は玄関までダッシュでお出迎えをする。
嬉しすぎて、喉のゴロゴロ全開で待ち構えるニャンゴ君の猛攻撃に、お姉さんは満面の笑顔でニャンゴ君を優しく抱き上げる。
すると、ニャンゴ君がお姉さんの鼻をペロリと舐めて、お姉さんはニャンゴ君の鼻に鼻をカチンコして鼻キスをする。
それが、二人の「ただいま」「おかえり」の合図。
お休みの日になると、お姉さんはニャンゴ君を車に乗せて、色んなところに連れていってくれた。
ニャンゴ君はリードをつけて、お姉さんの隣にお行儀よくお座りをして、よく見えない景色を、お姉さんと一緒に眺めた。
ある時は、真っ青な大空の日に潮の香りがした。
砂が足の裏にくっついた。
冷たい風と波の音。
そして、お姉さんが「今日の海は寒いね」って言った。
ある時は、ニャンゴ君の茹でササミ弁当の中に、ピンク色の花びらが舞い込んだ。
お姉さんのお弁当の中も花びらだらけになって、風が吹くたびに、レジャーシートがピンク色に染まっていく。
暖かい風が穏やかに吹く、春のひととき。
空中にひらひらと小さなピンクの欠片が躍るように舞っている。
それを見たお姉さんが「桜吹雪だ」って言った。
お姉さんは毎年6月15日に、ニャンゴ君のお誕生日パーティーをしてくれた。
ニャンゴ君、一歳のお誕生日には、大好きな高級猫缶に一本のロウソクが刺してあった。
二歳のお誕生日にも、猫缶に二本のロウソクが刺してあった。
三歳のお誕生日は、数字の3の形をした赤いロウソクが、お姉さん特製の茹でたササミに刺してあった。
茹でたての温かいササミがびっくりするくらい美味しくて、喉を鳴らしながら食べたら、お姉さんがすごく楽しそうに声をあげて笑った。
それが、ニャンゴ君がお姉さんと過ごした最後のお誕生日だった。
ある日、お姉さんは一晩帰って来なかった。
ニャンゴ君と暮らし始めて、初めての外泊だった。
それから、お姉さんはみるみると痩せていって、くずかごの中は薬の空き容器でいっぱいになっていく。
お姉さんはベッドから起き上がれない日が増えていって、お仕事に行ったり行かなかったり、まちまちになっていった。
でも、お姉さんが毎日お家にいるから、ニャンゴ君は嬉しかった。
ある日、お姉さんはたくさんの荷物を持って家を出ると、しばらく帰って来なかった。
代わりに、毎日、お姉さんの妹さんか、お姉さんのお母さんがやってきて、ニャンゴ君のお世話をしてくれた。
ニャンゴ君の心は、日を追うごとに不安でいっぱいになっていった。
ニャンゴ君は毎晩、いつもの場所でお姉さんの帰りを待ち続けた。
お姉さんの帰宅する足音を、何日も何日も待ち続けた。
ある日、お姉さんがお母さんと一緒に、車椅子に乗って帰ってきた。
ニャンゴ君は、喉がつぶれるくらいギャンギャン鳴きながら喜んだ。
泣きながら、心から喜んだ。
胸が張り裂けそうだった。
でも、帰ってきたお姉さんは、ベッドから起き上がれなかった。
その日から、お姉さんの妹さんとお母さんが交代でやってきて、泊まり込みでお姉さんを看病する。
何もできないニャンゴ君は、お姉さんのお布団に入って、喉を鳴らした。
ゴロゴロをめいっぱい鳴らすと、お姉さんも嬉しそうだった。
だから、ニャンゴ君はお姉さんのそばを一時も離れなかった。
それから数日後、お姉さんは眠ったまま冷たくなって、もう二度と目覚めなかった。
冷たくなったお姉さんに、お母さんが泣きながら言った。
「最後に大好きな猫ちゃんと過ごせて良かったわね」って。
そのあと、ニャンゴ君はお姉さんのお母さんのところに引き取られた。
お姉さんのお母さんも、ニャンゴ君をたくさん可愛がってくれた。
でも、仏壇に置かれたお姉さんの写真を見るたびに、何かを思い出して、ニャンゴ君の心が期待と不安で揺れた。
何年か経ったある日、ニャンゴ君は家出をした。
トラックの荷台に乗り込んで、遠くまで移動した。
何かを探しに。
それからの野良猫生活は、ひどいものだった。
冷たい大雨が三日間降り続けた日は、何も食べられずに、震えながら泥水を飲んで、雨が上がるのを待った。
晴れた日の午後、日向ぼっこをしていたら、悪ガキに石をぶつけられた。
痛かった。
喉がかわいて、知らないお家のバケツの綺麗なお水を飲んでいたら家主に見つかって水をかけられて怒鳴られた。
びしょ濡れになって、すごく怖かった。
ご飯をくれる一人暮らしの優しいお婆さんのところに、何年か居座っていたこともあった。
お婆さんの家のテレビでは、毎日決まって黄門様が印籠をかざしていた。
ニャンゴ君は黄門様に夢中になった。
でも、ニャンゴ君はずっと探し物をしていた。
しばらくして、安定したご飯がもらえるお婆さんの家も旅立つことにした。
ニャンゴ君が野良生活でひもじい思いをするたびに、何度も振り返る思い出の一ページがあった。
それは、お姉さんがニャンゴ君に、
「コタロウがいてくれるから、私は幸せだよ。ずっと一緒にいようね。ありがとうね」
って、それはとてもとても幸せそうに、目いっぱいの笑顔で語りかけて、ニャンゴ君をそっとなでてくれる、幸せの一ページ。
僕は驚いた。
え?
ウソでしょう?
ニャンゴ君の昔の名前は、コタロウだった。
それは、僕の名前だ。
それから、お姉さんとの記憶は時代を行ったり来たりしながら、不規則によみがえった。
ある日、まだ元気だった頃のお姉さんが、こんなことを言った。
「中学の修学旅行でね、初めて枯山水を見たの。あの空間はまるで宇宙だった。宇宙人が空から京都の街へ降りてきて、宇宙を描いたんじゃないかって思ったの。そのお庭はね。一般的に自然を表現しているって言われてるんだけど、私にだけは違って見えたの。お庭に色んな宇宙があった。ちょっと遠いけど、いつかコタロウにも見せてあげたいな」
そっか。
だから、枯山水だったんだね。
ある日、動けなくなったベッドの上で、お姉さんはニャンゴ君にこんなことを言った。
「ねぇ、コタロウ。次、生まれ変わってもまたコタロウに会いたいな。どうしたら出会えるかな? そうだ! こんな約束をしない? 私は次、生まれ変わったらコタロウって名前で、コタロウのこと待ってる。そしたら、コタロウも私のこと見つけられるでしょ?
約束だよ。絶対に私を探して。
次はコタロウとおしゃべりしたり、ケンカしたり、笑い合ったり、お友達みたいにできたら、きっと楽しいね」
そして最後に、
「ねぇ、コタロウ。
無事にもう一度出会えたらさ、また、海を見に行こうよ!
それから、満開の桜吹雪の下で、一緒にお弁当を食べようね」
あぁ、そうだ。いま全てが繋がった。
あの日、人生の終わりを悟って
飼い猫のコタロウにそう言い残したのは、僕だった。
僕の前世は、お姉さんだった。
お姉さんは、僕だった。
ニャンゴ君は、僕の望みを叶えてくれた。
涙が、涙が止まらない。
でも、涙の意味がわからない。
悲しいのか、悔しいのか、嬉しいのか、どれもちがう。
色んな思い出が交差する。
知らないはずの記憶が、僕のなかで蘇る。
僕は命が尽きかけるニャンゴ君に、さいごに尋ねた。
「どうして……? どうしてだよッ! 苦しい野良生活を続けるよりも、生まれ変わって僕の元へ現れれば良かったじゃないか? どうしてそこまでして、ずっと僕を探し続けたんだよ?」
「お前、やっぱりニャニも分かってないニャロ。
俺が生まれ変わってしまったら、
お姉さんの記憶が消えるニャロ。
そしたら俺は、お姉さんを探せなくなる。
俺と悪魔の取り引きをしなければ
お前は美人薄命の運命から逃れられなかったニャロ。
ずっとずっと、探していたんだニャ。お前を」
おわり
ーエピローグ🐾ー
ねぇ、聴いてよニャンゴスター。
今日、ブカブカの制服が届いたよ。
来週は中学校の入学式。
僕はいま、一人でピンク色の桜並木を歩いてる。
ニャンゴスターと共に走り抜けたこの街を、僕はどこまでも歩けてる。
ねぇ、聴いてよニャンゴスター。
あのあと、お母さんもお父さんも主治医の先生も、僕の心臓がすっかり良くなってしまったことを、なかなか信じてくれなかったよ。
ニャンゴスターが残してくれたこの命を、僕は精いっぱい生きようと思う。
ねぇ、聴いてよニャンゴスター。
僕は決めたんだ。
この命が尽きるまで、僕は君を探し続ける。
きっとまた出会えるって信じてるから。
なんど生まれ変わっても、僕とニャンゴスターは永遠の友達。
そしてまた、僕はこう呼ぶんだ。
君は世界で一番の人気者。
ニャンゴスター。
僕とニャンゴスターが結んだ悪魔のトレードⅡへ……つづく🐾
(ΦωΦ)フフフ……
ーモフモフ🐾余談ー
最後までお読みくださりありがとうございました。
読者の皆様に、心から感謝申し上げます。m(__)m
にゃにゃ、ニャンと!!!
次回予告…(ΦωΦ)フフフ…
来たる6月15日はニャンゴスターの
7歳のお誕生日🎂なのです(=´∀`)人(´∀`=)わぁい㊗️
皆様にはもう少しだけ、
ニャンゴスターの世界を楽しんでいただきたく…
ニャンゴスターグッツ🧸と
ニャンゴスターテーマソング🎧を
現在制作中です(=゚ω゚)ノ
来週、月曜日にニャンゴスターのお誕生日会をゆる〜く開催しまぁす♬

そして、爆弾情報‼️
実はこの物語…私の脳内では
Ⅱがあります(*ノωノ)きゃー♡(*ノωノ)きゃー♡♬

本編では語りきれなかった (公募の枚数制限w) 冬の旅⛄
ニャンゴスターの憧れ、水戸黄門様の聖地
茨城県水戸市にある偕楽園🏯に
梅林🌸を見に行きます。
ニャンゴスター🏯黄門様聖地巡礼旅…🌸
この印籠が目にはいらニャか!!🪪
ニャッシュレス決算で次にゲットするものとは果たして…!?
トラブル続き、冬の梅林ニャンゴ旅🐈⬛
――という場面からの…(ΦωΦ)フフフ…
病気を克服し成長した少年コタロウ君がひとり
思い出の地、水戸梅林へ。
そこで、少年はニャンゴスターと同じ柄の子猫と出会います。
子猫をリュックに忍ばせて自宅に連れて帰るのですが…
拾った子猫が満月の夜に…ふっふっふ(ΦωΦ)
私はいつも思います。
小説のすごいところは、自由なところです。
未来も過去も、どんな形にも変えられる可能性を秘めている。
究極に自由なこの世界♾️
私はこの世界の魔物に取り憑かれ
物語の自由にどこまでも病みつきなのです🐾
僕と🐾ニャンゴスターが結んだ👿悪魔のトレードⅡ
まだ構想のみで、いつ出すかは分かりましぇん🐢お楽しみに✨
親愛なる相互フォローさんたちが作詞作曲してくれまして
ニャンゴスターソングが続々と出来上がっております(ΦωΦ)フフフ…
ー飯泉ひろみ♾️作品のお知らせ🐾ー
私、飯泉ひろみ Hiromi Iizumi With Picoai♾️の連載小説
名前のない悪魔(かのじょ)最終話
↓↓↓ 更新しましたぁ♡(*ノωノ)きゃー!!!はずい💦
新規フォロワーの方は知らないかな?とおもいます(*^^*)
よかったら覗いてみてくださいm(__)m
ジャンルはニャンゴスター児童文学とは真逆🤣
【エロティシズム恋愛文学】です。
恋愛激しめ描写もありますのでご注意を。。。💦
記念すべき第1章はこちら↓↓↓
え?なんで静月さんのページで!?と思われた方はこちらを読んでね♡
賛否両論、𠮟咤激励はコメントにて受け付けております♬(ΦωΦ)キラーン✨
それでは、また来週(=゚ω゚)ノ
adiós♡
