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ただ低くするだけじゃない。160cmの私が考えたZ900RSの足つきカスタム【納車前・計画編】

前回の記事では、これから相棒になるZ900RS、通称「グリさん」のカスタムコンセプトについて書いた。

長距離を快適に走れて、旅の荷物も積める。足つきや停車時の安心感を高めながら、Z900RS本来の軽快さとスタイリングはできるだけ残したい。

そこから考えたのが、「ネオクラシック・クロスオーバーツアラー」というコンセプトだ。

今回は、その中でも一番大きなテーマである「足つき」について書いてみたい。

※この記事は納車前の計画編です。現時点で確認できているのは、加工後シートの跨りやすさと静止時のクッション性まで。前後サスペンションはメーカー設定のセットではなく、ショートサイドスタンドも今回の組み合わせ専用品ではありません。取り付け後は、完成状態の足つき、前後の沈み量や車体姿勢、乗り心地、ハンドルまわりの安全性、サイドスタンドの傾きなどを確認しながら調整していく予定です。
※すべての部品の取り付けと初期セッティングは、カワサキプラザへ依頼しています。


目指したのは、ただ車高を下げることではない。

足を自然に下ろし、停車時に無理なく車体を支えられること。そして、Z900RSらしい走りをできるだけ残すこと。

そのために、シート高の数字だけでなく、サスペンション、シートの形状、ステップやハンドルの位置まで含めて考えた。

160cmだから、そのままでは乗れないわけではない

私の身長は160cm。

だからといって、Z900RSにそのままでは乗れないわけではない。同じくらいの身長でもノーマルのまま乗っている人はいるし、足つきの感じ方は、股下の長さや体格、身体の使い方、乗車経験によっても変わる。

片足がしっかり着けば問題ない人もいれば、両足がある程度着くほうが安心できる人もいる。

私が最初からローダウンを考えたのは、ただ乗れるかどうかではなく、グリさんを長距離ツーリングに使いたかったから。

旅先では、いつも平らで舗装された場所に停まれるとは限らない。傾斜のある道、少し荒れた駐車場、荷物を積んだ状態での取り回し。長く走った一日の終わりには、疲れた状態で停車することもある。

私が欲しかったのは、両足の踵まで完全に着くことではない。そんな場面でも足を自然に下ろし、少し余裕を持って車体を支えられる状態だった。

足つきは、シート高の数字だけでは決まらない

足つきを考えるとき、最初に目に入るのはシート高の数字だと思う。

もちろん高さは重要だけれど、同じシート高でも、足つきがよく感じるバイクとそうでないバイクがある。

シートの幅が広ければ脚は外側へ広がり、そのぶん地面までの距離は遠くなる。乗車時にサスペンションがどれくらい沈むのか、足を下ろすときにステップが脚へ当たらないか、無理なくハンドルへ手が届くか。そうした要素も停車時の安心感に影響する。

そこで今回は、一つの部品だけで低くするのではなく、身体と車体の関係を一体として考えることにした。

リアはNITRONのローダウン仕様

足つきカスタムの土台として選んだのが、NITRON NTR R1のローダウン仕様。メーカー表記のローダウン量は約25mmだ。

純正サスペンションにローダウンリンクを組み合わせる方法も検討した。比較的手軽な方法だが、リンク機構の作動位置やレバー比が純正状態から変わり、乗り心地やストロークの使い方に影響する可能性がある。

今回は、スプリングと減衰特性を含めてローダウン用に設定されたリアショックを選びたかったため、NITRONのローダウン仕様を選択した。

もちろん、ショックを交換する方法でも車体姿勢や最低地上高への影響がなくなるわけではない。完成後の確認と調整が前提になる。

私が大切にしたかったのは、「足つきを改善しながら、走りへの影響をできるだけ小さくすること」だった。

NITRONなら、足つきだけでなく、乗り心地や車体の動きも自分の使い方に合わせて調整していける。ローダウン仕様が通常仕様と同じ価格だったことも決め手になった。

スプリングは、Z900RSの雰囲気になじむ黒を選択。

ソロ時と積載時、それぞれに合うプリロードと減衰設定を作っていきたいと思っている。

フロントはローダウンスプリングを基本に

リアだけを約25mm下げるのではなく、フロントには、メーカー表記で「ローダウン約20mm」のHYPERPRO製スプリングを入れる予定だ。

実際の車高変化や沈み量は、ライダーの体重やプリロード、フォークオイルの油面などによって変わるため、完成車で確認する必要がある。

フロントフォークの突き出し量を増やす方法もあるが、今回はまず、単に位置を下げるだけでなく、スプリングの特性にも目を向けた。

HYPERPROのスプリングには、ストロークに応じてバネレートが変化する「コンスタントライジングレート」が採用されている。細かな路面のギャップではしなやかに動き、大きな負荷がかかったときには踏ん張ることを狙った特性だという。

足つきに加えて、路面からの入力やブレーキング時の姿勢がどう変わるのかにも期待し、ローダウンスプリングへの交換を選んだ。

シートは、低さよりも細さを重視

シートは、座面を約10mm下げ、内股が当たる部分を左右それぞれ約10mmずつシェイプしてもらった。

座面を薄くするだけでは、クッション性が減り、長距離でお尻が痛くなる可能性がある。そのため、足つきだけでなく体圧分散も考慮して加工してもらった。

加工後のシートを車体に載せて跨ると、内股への干渉はかなり少なくなっていた。下げたのは約10mmでも、サイドが細くなったことで、脚は加工前より素直に下ろしやすい。

静止状態でのクッション性もよく、ただ薄くて硬いシートになった感じはなかった。

目標は、700km走った日にも快適なシートだ。

ステップとハンドルは、停車時の姿勢に関係する

足つきカスタムでは見落とされやすいけれど、ステップとハンドルの位置も停車時の安心感に関係すると思っている。

足を下ろしたときに、ふくらはぎや脛へステップが当たると、脚を自然な位置に置きにくい。ステップを避けて脚を前や外へ出せば、そのぶん地面が遠くなることもある。

そこで、純正ステップを約20mm後方、約10mm上方へ移動するKIJIMAのステップリロケーションブラケットを取り入れる。

2026年以降のZ900RSでは、ブラケットに加えて、対応する85mmのロングシフトロッドも使用する予定だ。

走行中のポジション調整だけでなく、停車時に脚を下ろしやすくする狙いもある。

取り付け後は、シフトペダルとブレーキペダルの高さ、ブレーキランプスイッチやKQS(カワサキクイックシフター)の作動、膝の曲がり方も確認したい。

ハンドルには、Hepco&Beckerの「ハンドルバー セットバックライザー(30mmアップ/21mmセットバック)」を使用する予定だ。身体を起こしたまま無理なく操作できる位置に近づけ、停車時や低速時に上半身へ余計な力が入るのを抑えたい。

取り付け時には、ブレーキ/クラッチラインの余裕、フルロック時の配線やタンクとの干渉を、カワサキプラザで現車確認してもらう。

ステップは足を下ろす経路を、ハンドルは上半身の姿勢を整えるもの。シート高の数字には表れない部分からも、停車時の安心感につなげたい。

ローダウンに合わせてショートスタンドも

車高を下げると、サイドスタンドをかけたときの車体の傾きも変わる。純正のままでは車体が起き気味になり、停める場所や積載状態によっては不安が出る可能性がある。

そこで、K-FACTORYのショートサイドスタンドを組み合わせる予定だ。

ただし、このスタンドは今回の前後サスペンションとの専用セットではない。

完成後に、ソロ時とツーリング積載時の両方で、車体の傾き、接地面の当たり方、スタンドの戻りやサイドスタンドスイッチの作動を確認したい。

何mm下がるかを足し算しても、実際の足つきにはならない

今回の仕様は、次の組み合わせになった。

* NITRON NTR R1で、メーカー表記約25mmのリアローダウン
* HYPERPROのスプリングで、メーカー表記約20mmのフロントローダウン
* シートの座面を約10mm下げ、内股部分を左右それぞれ約10mmずつシェイプ
* KIJIMAのステップリロケーションと、2026年以降用の85mmロングシフトロッド
* Hepco&Beckerのハンドルバー セットバックライザー(30mmアップ/21mmセットバック)
* K-FACTORYのショートサイドスタンド

2027年モデルのZ900RS STDは、メーカー公称のシート高が810mm。

そこから、NITRONのメーカー表記約25mmと、シート座面の加工量約10mmを機械的に引けば、机上では約775mmになる。

ただし、これは完成時の実測シート高ではなく、比較のための仮計算にすぎない。

NITRONとHYPERPROのローダウン量は別メーカーの表記で、測定条件も同じとは限らない。前後の数字だけで車体姿勢を判断することはできない。

さらに、サスペンションは乗車すれば沈む。シートのサイド加工や、ステップとハンドルの位置変更による効果も、シート高の数字には表れない。

確認したいのは、何mm下がったかだけではない。

実際にどれくらい自然に脚を下ろせるのか。停車時にどれくらい余裕を持って車体を支えられるのか。そして、その安心感と引き換えに、走りや乗り心地を大きく失っていないか。

最低地上高やバンク角、使えるサスペンションストロークの変化も含めて確認したい。

ただ低くするのではなく、自分の使い方に合わせる

今回のカスタムは、誰にでも必要な正解ではない。

私がグリさんに求めているのは、荷物を積み、知らない場所へ長距離を走った先でも、安心して停まり、また走り出せること。

そのために、前後サスペンション、シート、ステップ、ハンドルを一体として考えた。

この組み合わせで、Z900RSらしい走りをできるだけ残しながら、旅先での安心感を増やせるのか。

その答え合わせは、グリさんが納車されてから。

完成状態のシート高、実際の足の着き方、前後の沈み量、乗り心地や取り回しまで、同じ条件で確認し、あらためて書きたいと思う。

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