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脇役から主役のおかずへ。市場を8倍に広げた「食べるラー油」の逆転劇

こんにちは。合同会社マルセロ 代表の駒瀬です。経営者、事業責任者に対する事業及びマーケティングの伴走コンサルティング、壁打ち、月額制顧問等のサービスを提供しています。

BtoBビジネスの最前線を走る田岡凌さん(suswork代表)と富家翔平さん(ビジネスMC)が、国内外のグロース事例を徹底解剖。明日から使える「成長の勝ち筋」を紐解くポッドキャスト番組「グロースの裏側」。

今回ご紹介するのは「食べるラー油は、なぜ主役になれたのか?」

本商品発売当初、私は食品会社で商品企画を担当していました。当時の気持ちとしては、「この発想はなかった。同じ商品企画者として悔しい」というものでした。

こちらのCMも、商品名、用途、おいしさがシンプルに無駄なく伝わる素晴らしい出来栄えです。

米国駐在時にもお世話になっていて、これを調理油代わりにフライパンに注ぎ、野菜や肉の炒め物をつくる。ハズレなく美味しいおかずが出来上がる秘密兵器として重宝しました。

「カテゴリー戦略」の第一人者である田岡さんは、「カテゴリー創出の成功事例」として、至る所で鉄板ネタとして「食べるラー油」の話をされています。

本番組のもうひとつの聴きどころは、富家さんのMC力。普通にPIVOTのMCできるのでは?というプロ級の腕前。

それでは、配信をお聴きください。
#3 食べるラー油は、なぜ主役になれたのか

国内外のグロース事例を徹底解剖する「グロースの裏側」。今回のテーマは、2009年に一大ブームを巻き起こし、今や食卓の定番となった「食べるラー油」です。

一過性のブームに終わらず、なぜこれほどまでに市場に定着したのか?当時、約18億円だったラー油市場を一時121億円(約8倍)まで爆発させた背景には、緻密なカテゴリー戦略と顧客理解がありました。田岡凌と富家翔平が、その成長の裏側を紐解きます。

1. 「調味料」から「おかず」へ:カテゴリーの再定義

最大のグロース要因は、ラー油の役割を「数滴垂らす脇役」から「スプーンで食べる主役」に変えたことにあります。

  • 消費量の劇的変化: 従来のラー油は、餃子のタレに数滴使う程度。一瓶使い切るのに数ヶ月かかることも珍しくありませんでした。しかし「食べるラー油」は、ご飯にたっぷりかける「おかず」として定義されました。この用途変更により、一回あたりの消費量が飛躍的に向上したのです。

  • 「売り場」の獲得: かつては調味料売り場の隅にあったラー油が、ザーサイやふりかけと並ぶ「お惣菜・おかずコーナー」に進出しました。消費者の日常的な買い物動線(ルーティン)に組み込まれたことが、定着の鍵となりました。

2. 絶妙なネーミング:「辛そうで辛くない少し辛いラー油」

桃屋が放ったこのネーミングは、一見長すぎてタブーに近いものでしたが、実は高度なコミュニケーション機能を果たしていました。

  • 社長の「直感」を言語化: 試食時の素直な感想をそのまま名前にしたことで、消費者の「どんな味だろう?」という好奇心を強く刺激しました。

  • 心理的ハードルの払拭: 「辛そう」という期待感を持たせつつ、「辛くない」という安心感を与える。辛いものが苦手な層も含め、ターゲットを最大化することに成功したのです。

3. 時代背景を捉えた「プチ贅沢」と「時短」の両立

ブームが起きた2009年前後は、リーマンショック後の「内食(家で食べる)」トレンドの真っ只中でした。

  • 内食の救世主: 外食を控える中、せめて家では美味しいものを食べたい。数百円で食卓に華を添える「食べるラー油」は、安価で手軽な「プチ贅沢」として主婦や独身サラリーマンの心を掴みました。

  • ご飯があれば完成する体験: 忙しい共働き世代にとって、「これをご飯に乗せるだけでごちそうになる」という究極の時短と満足感の掛け合わせが、強力なベネフィットとなりました。

4. 「食べるラー油のルネサンス」:さらなる進化と浸透

現在、食べるラー油は「地ビール」ならぬ「地ラー油」や、他カテゴリーへの進出など、第二の全盛期(ルネサンス)を迎えています。

  • プラットフォーム化: 食べるラー油という形式が一般化したことで、沖縄の島らっきょうや各地のニンニクを活かした「ご当地ラー油」が次々と誕生。地域名産品を花開かせるプラットフォームへと進化しました。

  • 用途の無限拡大: おにぎりの具、ポテトチップスとのコラボ、麺類のトッピングなど、白米以外の「カテゴリー・エントリー・ポイント(CEP)」を増やし続けています。

おわりに:成熟市場にこそ「イノベーション」の種がある

ラー油という、かつてはコモディティ化しきった成熟市場であっても、「ユースケース(使い道)」を見つけ出し、顧客の視点で再定義することで、これほどの爆発的成長が可能になります。

海外のアイデアをそのまま持ち込むのではなく、日本の消費者の「今の気分」や食習慣にアジャストさせる。このフィットのプロセスこそが、一過性のブームを文化に変える唯一の方法なのかもしれません。


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駒瀬元洋 | ひとりで決めている人の、思考の伴走者 いつもお読み頂きありがとうございます。サポート励みになります。皆さまとの交流をどんどん広げていければと思います。