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クロスフィットやハイロックスが気になっている人へ|Q&A第15回

クロスフィットは自分もやったことがあって、最高に楽しかったです。ただ、負荷はかなり高いです。

前提として、健康寿命と強く関連しているのは、筋力と心肺機能(VO2max)の2本柱です。限られた時間をこの2つへどう振り分けるかは、こちらにまとめました。いただいた質問は、その2つの柱をクロスフィットで両取りできますか?という質問でもあると思います。

「中間がいちばん良い気がする」という感覚は、半分正解だと思います。

筋トレは筋力と筋肉量に効きます。HIITは心肺に効きます。ふつうは別々の日にやるしかありません。クロスフィットとハイロックスは、その両方を1回のセッションでまとめて鍛えます。時間あたりのリターンという意味では、たしかにいちばん良いです。

ただ、 1回で両方に効くというのは、どちらも中途半端になる可能性があるという意味でもあります。 ここは意識しておいたほうがいいです。

さきほどの2本柱は、鍛え方が違います。心肺を伸ばす主役は有酸素で、筋力を伸ばす主役は筋トレです。組み方も違います。

筋トレで筋力アップや筋肥大を狙うなら、種目ごとに重量とセット数を決めて、特に筋力を伸ばしたいのならセット間はしっかり休みます。クロスフィットは逆で、休まずに動き続けることで心肺機能に負荷をかけます。息が上がったまま次の種目に入るので、1セットごとの質はどうしても落ちます。

筋トレとHIITを別の日にやるのと、クロスフィットで1日にまとめるのは、 刺激としては少し別物です。理屈だけで言えば、筋トレとHIITは別々に分けたほうが、それぞれに最適なメニューで伸ばせます。理論上はそちらが有利です。

ただ、クロスフィットはその2つをまとめて鍛えられます。しかも楽しいです。良く言えばバランスよく、悪く言えば中途半端に、両方を伸びます。

理論上の最適より、実際に続く形のほうが勝つ場面はよくあります。やるべきかどうかを判断する基準は、「クロスフィットを始める土台があるかどうか」と、「続けやすいかどうか、何を目指しているか」だと思います。

クロスフィットとハイロックスは、何をやるのか

名前は聞いても、実際に何をやるのかは意外と知られていません。

クロスフィットは、3つの系統を混ぜます。バーベル(スナッチ、クリーン、スラスター、デッドリフト)、体操系(懸垂、マッスルアップ、バーピー)、有酸素(ラン、ローイング、縄跳びの二重跳び)です。この中から毎回メニューが組まれるので、内容は日ごとに変わります。クラスの全員で同じことをやって、終わればタイムが残ります。

有名なメニューには名前がついています。自分がいまでも好きなのは、フランとベア・コンプレックスです。

フランは、スラスター(フロントスクワットから頭上へ押し上げるまでを一息でつなぐ種目)と懸垂を21回、15回、9回ずつセットでやってタイムを計ります。種目は2つだけですけど、脚も肩も背中も一度に持っていかれます。クロスフィットの代表的な鬼メニューです。

ベア・コンプレックスは、パワークリーン、フロントスクワット、プッシュプレス、バックスクワット、プッシュプレスの5つを、バーを下ろさずにつなげます。これを7回続けて1ラウンド。5ラウンド。これもむちゃくちゃきついですけどお気に入りです。

他にも色々なメニューがあって、お気に入りのメニューを探すプロセスも楽しいですね。

ハイロックスは、逆に内容が固定されています。1kmのランと1種目を交互に、8セット繰り返します。種目はスキーエルゴ、そり押し、そり引き、バーピー、ローイング、ファーマーズキャリー、サンドバッグランジ、ウォールボールの8つです。押す、引く、担ぐ、漕ぐ、走るで全部です。

ハイロックスの8種目には、スナッチもマッスルアップも入っていません。 ここが2つのいちばん大きな違いです。

なぜ、基礎が先なのか

クロスフィットの種目は、そのほとんどが基本のウエイトの動きの組み合わせです。スラスターはフロントスクワットとプレス。ベア・コンプレックスもクリーンとスクワットとプレスです。

とくにクリーンとスナッチは、バーベルを一息で肩や頭上まで持ち上げる種目で、求められる技術がかなり高いです。 基礎的な筋力と、柔軟性(股関節や胸椎や手首)、体の使い方ができていないと、そもそも正しい動きができません。 それを疲れた状態で、時間に追われながら速く回します。ここで多くの人がケガをします。

実際、ケガの内訳もそうなっています。25本の研究、およそ1万2千人分をまとめたレビューでは、クロスフィットの怪我で多い部位が肩26%、背骨まわり24%、膝18%でした¹⁾。頭上に挙げる種目、デッドリフト、スクワットで負荷がかかる場所とほぼ同じです。ただし発生率そのものはウエイトリフティングやパワーリフティングと同じくらいで、クロスフィットが特別に危ない競技というわけではありません。

おすすめは、4種目で土台を作ってから

自分のおすすめは、フルスクワット、デッドリフト、懸垂、ベンチプレス。 この4つで筋力と筋量を最低限つけてから始めることです。

特に大切なのがフルスクワットだと思います。浅いスクワットで重さを扱えても、クロスフィットではあまり役に立ちません。フロントスクワットもオーバーヘッドスクワットも、フルスクワットまで深くしゃがまないとウエイトをキープできません。「スクワットの深さは人間性の深さ」という山田崇太郎さんの名著がありますが、スクワットの深さは怪我予防にも大切です。

なぜか2冊家にある。素晴らしい本です。

クロスフィットにはスケールという仕組みがあって、技術種目をやさしい種目に置き換えられます。
とはいえ、個人的には最低限の目安としては、

  • 自重の半分くらいのウエイトでフルスクワットが問題なくできる

  • 自重でデッドリフトができる

  • 懸垂が反動をつけずに数回できる

これくらいの筋力は流石にあったほうがいいんじゃないかなと思っています。もし不足している場合は、適切なウエイトトレーニングを数ヶ月から半年程度行って、土台を築いたほうがROI(投資対効果)が高いと思います。

そこさえ押さえられていれば、 クロスフィットへの挑戦はおすすめします。 ここは自信を持って言えます。楽しさは本物です。ひとりで黙々と重量を追う筋トレとは、楽しさの種類がまるで違います。

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