東大医学部卒の医師が17年かけてわかった、本当にリターンが高い自己投資TOP10
自己啓発本200冊、セミナー、交流会、名刺交換100枚。全部やった。
辛口になっちゃうけど、だいたいイマイチだった。
今日は、自分が本当にROIが高かったと思う自己投資について書きたい。
自分は今40歳の医師で、振り返るとわりと色々やってきた。
東大の医学部に入って、 Nature姉妹誌にファーストで論文を載せて、 医療メディアの会社を共同創業して3000記事以上を監修して、 その会社を売却して、内科と呼吸器の専門医を取って、 今はある程度経済的に独立したので、興味がある事業を手伝ったり、 仲の良い経営者のパーソナルドクターをやったり、 趣味で外来をやったりしている。
患者さんやクライアントが自分のアドバイスで健康になるのを見るのがこの上なく幸せだ。
その傍ら17年間筋トレを続けてベンチプレス140kg挙げている。
ちなみにこの前、足の左右差を直そうと思って、ブルガリアンスクワットを片方だけ4セットやってしまった。やりすぎた。 翌日筋肉痛で歩き方がおかしくなって、外来の看護師に「先生、脳梗塞じゃないですよね?」とガチで聞かれた。
書いてて自分でも「何やってんだこのバカ」と思う。
でも今日書きたいのは自慢話じゃない。
これだけ色々やった結果、「リターンが高かった自己投資」と「完全に時間の無駄だった自己投資」がはっきり分かれたという話だ。
そしてその結果は、自分が20代のときに想像していたものとは全然違った。
頭に入れたものの大半は消えた。体に刻んだものだけが残った。
この話を、10位から順にしていく。
まずルールを決める
「リターン」の定義が曖昧だと意味がないので、自分なりの基準を決めた。
① 投下した時間・金に対して、人生の選択肢がどれだけ増えたか ② 10年以上経っても複利で効いているか ③ やめた後も残っているか
この3つで判断する。
「楽しかったか」は基準に入れていない。楽しいけどリターンゼロのものは山ほどあった。むしろ楽しかったものほどリターンが低い傾向すらある。これについては後で書く。
第10位 大学院(医学博士)
いきなり自分の学歴をディスるようだが、正直に言う。
大学院で博士号を取るのにかかった年数と労力に対して、正直リターンは低かった。
「博士号を持っています」が仕事に直結した場面は、思い返してもほとんどない。専門医のほうがよっぽど必要だし、個人的には今後臨床で生きていくなら専門医は必須になると思っている。
じゃあ大学院が無駄だったかというと、それも違う。
研究に没頭する中で身についた「ものの考え方」は、これだけで大学院に行った価値があったと思う。
仮説を立てる。検証する。反証を探す。 「なんとなくそう思う」ではなく「データがこう言っている」で判断する。
この思考の型は、臨床でも、起業でも、発信でも、今の仕事のすべてに効いている。
例えばSNSの発信一つとっても、「この投稿はバズるはずだ」ではなく「なぜバズったのか、変数は何か」で考える癖がついている。これは完全に研究で鍛えられた頭の使い方だ。
ただし問題は、この思考の型を身につけるのに「博士課程」というフォーマットが必要だったかどうかだ。
正直、もっと短い期間で身についた可能性はある。
大学院のリターンは「学位」ではなく「考え方の型」だった。 でもその型を身につけるのに、ちょっと時間がかかりすぎた。だから10位。
第9位 読書(量)
年間200冊以上読んでいた時期がある。
読書は「量」にはほぼリターンがない。
100冊読んで人生を変えた本は2〜3冊だった。 残りの97冊の内容は、もうほとんど覚えていない。
しかもタチが悪いことに、100冊読むと「自分は賢くなった」と錯覚する。
実際には何も変わっていない。本棚が増えて、Amazonの購入履歴が長くなって、読書記録アプリの数字が伸びて、それだけだ。
じゃあ読書が無駄かというと、そうではない。
その2〜3冊に出会うためには、ある程度の量が必要だった。 だから「量を読むこと」自体は否定しない。
ただし「年間100冊読んでます」に自己投資のリターンを感じているなら、それは幻想だ。
読書のリターンは「何冊読んだか」ではなく「1冊をどれだけ行動に変えたか」で決まる。
自分の人生を変えた数冊は、読んだ翌日に行動を変えた本だった。
読んで「いい本だったな」で終わった本は、どんな名著でもリターンゼロだ。厳しいけど、これが現実だと思う。
Naval Ravikantも言っていたが、新しい本を100冊読むより、良い本を100回読み返したほうがいい。
これは本当にそうだと思う。人生を変えるような本は、1回読んだだけじゃ全然吸収しきれない。読み返すたびに、刺さる場所が変わる。
だから今は、新しい本を追いかけるのはやめた。人生を変えてくれた数冊を、何度も読み返している。
ちなみにこのナヴァルの「レバレッジ」という考え方、健康にもそのまま効く。筋肉を“一度つけたら寝ている間も働く資産”として捉え直した話は、筋肉をデプロイしろ|ナヴァル・ラヴィカントに学ぶ健康投資に書いた。
第8位 英語
TOEICの点数を上げるための勉強は、ほぼリターンゼロだった。
一方で、英語を「自由に話して書ける」レベルにしたことのリターンはデカかった。
まず臨床の話をすると、今はインバウンドの患者さんがものすごく多い。英語が話せないと正直やっていけない時代になっている。
そして「英語を話せる医師」というだけで、外国人の患者さんが口コミでどんどん来る。特別なマーケティングなんかいらない。英語が話せる、それだけで選ばれる。
そして正直に言うと、健康や長寿についての最先端の研究成果は、ほとんど日本語では出ていない。
日本語で読める情報は、英語圏で発表された研究の「数年遅れの翻訳」か「誰かの解釈」だ。AIの情報はニュアンスが間違ってることも多いので危ない。
自分がクライアントに先週出たばかりのホヤホヤの論文に基づいたアドバイスができているのは、英語で一次情報を取りに行っているからにすぎない。
これは医師に限った話じゃない。
どの業界でも、最前線の情報は英語で出る。日本語に訳された時点で、もう最前線じゃない。「英語ができない」というのは、2〜3年遅れの情報で戦っているということだ。
つまり英語は「試験のための英語」と「実戦で使う英語」でリターンが天と地ほど違う。
ただし自分が今20歳に戻ったら、TOEIC対策には1秒も使わない。最初から外国人とアプリ使いながら話す。
第7位 起業
会社を作って売却した経験は、リターンが高かった。
ただし、リターンの種類が想像と違った。
金銭的なリターンはもちろんあった。でもそれ以上に大きかったのは、困難な時期が来ても信頼できる仲間とやり抜く力を学んだことだ。
会社は一人では回らない。人間関係のトラブルもある。
資金がショートしかける夜、方向性で意見がぶつかる瞬間。
正直、辞めたくなったことは何度もある。医師免許があるから、辞めてもいつでも臨床に戻れる。その「逃げ道」があることが逆にしんどかった。
いつでも辞められるのに辞めない理由は、一つしかなかった。 「この人たちと一緒に最後まで見たい」と思える仲間がいたからだ。
そういう場面で「この人とならやれる」と思える仲間がいるかどうかで、全部が決まった。
そして「仲間とやり抜いた」という経験は、一度手に入れると消えない。
今、興味のある事業を手伝ったり、趣味で外来をやったりできているのも、あのとき一緒にやり抜いてくれた仲間がいたからだ。
ただし起業が第7位なのは、再現性が低いからだ。自分が成功したのは、タイミングと運、領域がたまたま良かった部分が大きい。
「起業しろ」とは簡単には言えない。
でも「信頼できる仲間と修羅場をくぐれ」とは言える。 それは起業じゃなくても手に入る。
第6位 論文執筆(研究)
Nature姉妹誌にファーストオーサーで論文を出した経験は、思った以上にずっと効いている。
論文そのものの内容は、正直もう臨床でほとんど使っていない。
でも「Nature姉妹誌に載せた医師」という看板は、10年以上経った今でもずっと複利で効いている。
経営者と仕事をしていると、「この先生は本物か?」という目で見られる。
そのとき「Natureに論文出してます」が効く。
中身の話じゃない。「そこに到達した人間である」という事実が信頼を作る。
そしてもう一つ、研究時代に得た財産がある。
恩師に教わった「いい研究者の資質」だ。
「新しいことを発見するということに、極度な不安をもたずに楽しみをもって挑戦できる人」 「得られたデータに一喜一憂せず、淡々と着実に進められる人」 「運がいい人。正確には、運が訪れたことに気づける人」
当時は「研究者の心構え」として聞いていた。
でも今、40歳になってこの言葉を読み返すと、「人生」の話をしていたことに気づく。
新しい挑戦を楽しめるか。結果に振り回されず淡々と続けられるか。 チャンスが来たときに気づけるか。
起業も、発信も、筋トレも、全部これだった。
恩師は研究の話をしていたつもりだったかもしれない。 でも自分にとっては、生き方を教わっていた。
研究のリターンは知識でも信頼の証明でもなく、「ものの見方を根っこから変えてくれたこと」だったのかもしれない。
第5位 発信(SNS・メディア)
3000記事以上の医療記事を監修した経験と、今やっているSNS発信。
これは第5位だが、今一番リターンが伸びているのはこれかもしれない。
理由は単純で、発信は「複利」が最も強く効く自己投資だからだ。
1記事書けばそれは永遠にネット上に残る。1投稿がバズれば、自分が寝ている間にフォロワーが増える。
労働は「1時間働いたら1時間分の対価」で終わる。発信は「1時間かけたものが、1年後にもリターンを生む」可能性がある。
ちなみにこの前クレアチンの投稿がバズったけど、自分には1円も入っていないからね。なんなら妻に垢バレしそうになって損失すら出ている。
でもそれでいい。
発信の本当のリターンは「お金」じゃなく「信頼の蓄積」と「人との繋がり」だ。
1円にもならない投稿がきっかけで、面白い仕事の話が来たり、尊敬する人と繋がれたりする。
そういうのは時給じゃ測れない。
もっと言うと、発信を続けていると「自分は結局何が得意で、何を伝えたいのか」が嫌でも見えてくる。
自分は医療メディアで3000記事以上を監修する中で、それを嫌でも棚卸しさせられた。
これが後からめちゃくちゃ効いた。パーソナルドクターの仕事も、SNSの発信も、全部「自分の得意を自分の言葉で説明できる」からこそ成り立っている。
ただし注意点がある。
発信のリターンが出るまでには、絶望的に長い「無風期間」がある。
ここで9割の人が脱落する。「発信はリターンが高い」と言えるのは、PDCAサイクルを回して続けた人だけだ。
第4位 食事管理
意外に思うかもしれないが、食事管理は第4位だ。
自分は17年間、筋トレと並行してそれなりに食事を管理してきた。
よく誤解されるんだけど、「食事管理」と「食事制限」は全然違う。
自分はささみとブロッコリーだけ食べてるわけじゃない。ラーメンも食うし酒も飲む。
ただ「何を食べるか」じゃなく「何をベースにしておくか」を決めている。ベースが整っていれば、たまにジャンクを食っても体は壊れない。
ストイックに見られがちだけど、実態は逆だ。
ベースを決めてるからこそ、好きなものを罪悪感なく食える。
制限している人のほうがよっぽどしんどそうだ。
元Navy SEALsのJocko Willinkが「Discipline Equals Freedom(規律こそが自由をつくる)」と言っていたが、食事管理はまさにこれだと思う。
ベースの規律があるから、たまのラーメンが「自由」になる。 規律がない人のラーメンは「罪悪感」になる。同じラーメンなのに。
以前noteで鶏むね肉の話を書いたけど、自分は食事管理をやりすぎた時期がある。むね肉とブロッコリーだけで生きてた頃は、正直しんどかったし、栄養バランスとしてもむしろ偏っていた。
あの経験から学んだのは、8割をちゃんとしていれば、2割は適当でいいということだ。
100点の食事を毎日続けようとすると、3ヶ月で心が折れる。 80点を10年続けるほうが、圧倒的にリターンが高い。
鶏むね肉ばっかり食って妻にバチクソキレられてる俺みたいになるな。
体感として、食事管理のリターンは「パフォーマンスの底上げ」に出る。
頭の回転、睡眠の質、日中の集中力、体調を崩す頻度。すべてが地味に、でも確実に良くなる。
ただし「劇的に変わる瞬間」はない。これが食事管理の厄介なところだ。
筋トレはベンチが5kg伸びたという分かりやすい成果がある。 でも食事管理の成果は「なんとなく調子がいい」という、地味すぎて気づきにくいものだ。
だから多くの人が途中でやめる。「効果がない」と思って。
違う。効果がないんじゃなく、効果が見えにくいだけだ。
経営者を診ていて断言できるのは、トップを走り続ける人は例外なく「食べるもの」に投資しているということだ。
年収が高い人ほどコンビニ飯で済ませている、なんてことは絶対にない。
逆に、体調不良を繰り返す経営者の食事を聞くと、だいたい同じパターンだ。朝は食べない、昼はコンビニか外食、夜は接待で酒と脂っこいもの。
「先生、最近パフォーマンス落ちてるんですけど」
食事聞いたら一発で原因が分かる。本人だけが気づいていない。
17年続けた自分から言わせてもらうと、40歳で20代と同じかそれ以上のパフォーマンスが出ているのは、間違いなく食事のおかげだ。
第3位 睡眠
食事よりさらに上。
自分は研修医時代、睡眠を完全に軽視していた。当直明けでそのまま外来をやり、夜は論文を書いていた。
あの頃は「寝る時間がもったいない」と本気で思っていた。寝ている時間は生産性ゼロだと。
むしろ4時間睡眠で「いや〜昨日実質3.5時間しか寝てないわ〜」って自慢げに言ってた。
転機は飲み会だった。隣で話してた東大のえらい教授が酔った勢いで「ショートスリーパーはまじで全員バカw」と言い放った。
隣で黙って聞いていたけど、その日から密かに睡眠時間を増やし始めた。
あの頃の自分に一つだけ伝えられるなら「寝ろ」と言う。
研修医時代、睡眠不足で判断力が鈍っていたことに、当時の自分は気づいていなかった。これが一番怖い。睡眠不足の人間は、自分が睡眠不足であることに気づけない。
酔っ払いが「俺は酔ってない」と言うのと同じ構造だ。
なぜ睡眠がこんなに上位なのか。理由は単純で、他のすべての自己投資の効きが良くなるからだ。
筋トレの効果も、食事管理の効果も、勉強の効率も、すべて睡眠の上に乗っている。
睡眠が乱れると、他のすべての投資のリターンが下がる。
自分は今、最低でも7時間は寝る。これは17年かけてたどり着いた、揺るがないルールだ。
ただし、このルールを守るには犠牲がいる。
「22時から飲みに行こうよ」を断る。終わらない仕事を翌朝に回す。 面白そうな飲み会を「明日のパフォーマンス」と天秤にかけて、毎回パフォーマンスを取る。
正直、つまらない人間だと思われていると思う。
でもいいんだ。7時間寝た翌日の自分のほうが、飲み会で盛り上がった翌日の自分より圧倒的に使える。これは何百回も検証した事実だ。
ちなみにこの「飲み会を断る」が積み重なった結果が、第2位の「人間関係の整理」に繋がっている。睡眠を守ると、勝手に人間関係が整理される。
経営者のクライアントにも、最初に改善してもらうのは睡眠だ。
「忙しくて寝る時間がない」と言う人には、「寝ないから忙しいんです」と返す。
第2位 人間関係の整理
これは「自己投資」というカテゴリに入れるか迷った。
でも振り返ると、人生で最もリターンが高かった「やめたこと」がこれだった。
30代前半で、自分は意識的に付き合う人間を絞った。
「なんとなくの飲み会」「義理の付き合い」「惰性の人間関係」を全部やめた。
最初はものすごく怖かった。
「あいつ付き合い悪くなったな」と思われるのが怖かった。仕事に影響するんじゃないかと思った。「人間関係を切る」という行為自体に罪悪感があった。
でも実際に切ってみて分かったのは、怖かったのは最初の3ヶ月だけだったということだ。
3ヶ月を過ぎると、空いた時間とエネルギーの大きさに驚く。
「あの飲み会に使っていた3時間で、こんなに本が読めるのか」 「あの付き合いに使っていたエネルギーで、こんなに集中できるのか」
そして何より、最愛の子どもたちとの時間が圧倒的に増えた。
これだけでもう、整理した価値がある。
本当に大事な人との関係が、明らかに深くなった。
今の仕事も、筋トレ仲間も、SNSでの繋がりも、全部「整理した後」にできた関係だ。
面白いのは、人間関係を整理しても、本当に大事な人は残るということだ。こちらが切ろうとしても、向こうから連絡が来る。そういう人だけが残る。
人間関係の整理は「投資」ではなく「損切り」に近い。
ナシーム・タレブが言う「via negativa」、つまり「足すのではなく引くことで人生を良くする」という考え方がある。
これはまさに人間関係の話だと思う。
良い人間関係を「足す」のは難しい。でも悪い人間関係を「引く」のは今日からできる。そしてそっちのほうがリターンがデカい。
第1位 筋トレ
17年間やってきて、40歳の今、確信を持って言える。
人生で最もリターンが高かった自己投資は、筋トレだ。
「また筋トレかよ」と思うかもしれない。
でも聞いてほしい。
自分は大学に入るまで、ただのキモいガリ勉だった。
運動経験なし。体力もない。自分に自信もない。受験の点数だけで東大医学部に入った、典型的な「頭でっかち」の人間だった。
正直に言うと、大学に入った直後が人生で一番自信がなかった。
周りは帰国子女、スポーツ万能、コミュ力おばけみたいなやつばかり。 高1で理3A判定でした!秋までラグビーしてから勉強して理3受かりました! みたいなのまでいる。
自分は「勉強ができる」以外に何も持っていなかった。
そしてその「勉強ができる」すら、東大医学部では何の差別化にもならない。全員勉強ができる。
要するに、自分には何もなかった。
それを変えてくれたのが、入学直後にアメフト部に勧誘してくれた先輩だ。
「運動未経験でも大丈夫。努力して体重を増やしたら報われるポジションがあるんだよ」 「僕たちと一緒に夢をみませんか」
とても魅力的だった。
体重は182cm 65kgから、4年の時には105kgまで増えて、大学5,6年次はリーグのオールスターにも選ばれた。
あの先輩には今でも感謝している。
筋トレを始めて、最初に変わったのは体じゃない。メンタルだ。
「自分の体は、やれば変わる」という経験を初めてした。
勉強は頭の中の話だから、変化が見えにくい。でも筋トレは鏡を見れば変化が分かる。バーベルの重さが先月より5kg増えれば、それが証拠だ。
この「やったら変わる」の成功体験が、その後のすべてに効いた。
研修医時代の激務を倒れずに乗り切れたのは、筋トレで作った基礎体力があったからだ。
急変続きで72時間連続で働き続けても壊れなかったのは、筋トレが「壊れない体」を作ってくれていたからだ。
40歳で趣味で外来をやりながら複数の事業に関われているのは、筋トレのおかげだ。
そして何より。
トレーニングは「自分との約束を守る練習」だ。
週に何回、何時に、何をやるか。それを17年間、守り続けた。
この「自分との約束を守れる」という自信が、他の挑戦を支えている。
論文を書くのも、会社を作るのも、SNSを続けるのも、全部「やると決めたことをやり切る筋肉」が必要だ。
その筋肉は、バーベルを持ち上げることで鍛えられた。
もう一つだけ言わせてほしい。
このランキングの2位が「人間関係の整理」で、1位が「筋トレ」なのには理由がある。
人間関係を整理するには、孤独に耐える力がいる。孤独に耐えるには、自分で自分を満たす手段がいる。筋トレは、自分で自分を満たす最強の手段だ。
惰性の飲み会を断って空いた夜に、一人でジムに行く。誰にも褒められないし、誰にも見られていない。でもバーベルは嘘をつかない。やった分だけ挙がる。
その繰り返しが、他人の評価に依存しない自分を作る。
だから筋トレが1位なのだ。
他のすべてを支えているから。
ワースト:完全に時間の無駄だった自己投資
※個人の感想です
逆に、リターンがゼロだったものも正直に書く。
セミナーや勉強会への「参加」
口が悪くて申し訳ないんだけど、これはマジでいらなかった。
「参加した」という事実に満足して、翌日には何も変わっていない。あれは学びではなく、学んだ気になるためのイベントだ。
もっと言うと、勉強会やセミナーが好きな人には共通点がある。「みんなで一緒にやっている」という安心感を、学びと勘違いしている。
本当に学びたいなら、一人で本を読んで、翌日に1つ行動を変えたほうがいい。孤独だけど、そっちのほうが100倍身になる。
孤独を愛せないとだめだとおもう。
唯一リターンがあったとすれば、「勉強会はいらない」と確信できたことぐらいだ。
人脈作りのための交流会
名刺を100枚交換しても、1年後に連絡を取っている人はゼロだった。
人脈は「一緒に何かをやった人」としかできない。名刺を交換した人は、人脈じゃない。連絡先を知っている他人だ。
自己啓発本の乱読
20代で自己啓発本を200冊以上読んだ。内容は全部同じだった。「行動しろ」。
200冊読まなくても1冊で十分だった。
しかも皮肉なことに、自己啓発本を一番読んでいた時期が、一番行動していなかった時期だ。「読んでいる自分」に酔って、実際には何もしていなかった。
自己啓発本のリターンが低い本当の理由は、「読むこと自体が行動の代替になってしまう」からだと思う。
最後に
振り返って思うのは、本当にリターンが高い自己投資は、どれも地味だということだ。
筋トレ、睡眠、食事、人間関係の整理。
どれも「すごい!」と言われるようなものではない。インスタに載せても映えない。セミナーで語っても盛り上がらない。
でも10年、20年と積み上げたとき、これらが他のすべてを支える土台になっていた。
逆に、派手に見える自己投資ほどリターンが低かった。セミナー、交流会、自己啓発本。全部「やった感」は強いのにリターンは弱い。
ここに法則がある。
「やった感」とリターンは反比例する。
セミナーに行くと「今日は学んだな」と満足する。その満足感が曲者だ。満足した瞬間に、行動する動機が消える。
筋トレは逆だ。やった後に「満足感」なんかない。あるのは疲労と筋肉痛だけだ。でもそれが翌日の、来月の、10年後のリターンになる。
自己投資のリターンは「地味さ × 継続年数」で決まる。
これが、40年間生きて、東大医学部からNature論文から起業から筋トレ17年まで全部やった人間の、現時点での結論だ。
ここまで読んでくださって、ありがとうございました。
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※この記事の内容は筆者個人の経験に基づくものであり、すべての方に同じ結果を保証するものではありません。健康に関する判断は、必ず専門家にご相談ください。
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