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ルーツ旅【京都・山城地域⑦】まさかの、亡き曽祖父との出会い

私は子どもの頃、京都の祖母の家に泊まるのが好きでした。
小学3年生になる頃には、週末ひとりで電車に乗り、祖母の家を訪ねたものです。家は坂の上にあったので、駅の改札口を出たら、あとはひたすら坂道を上っていくだけです

数十年ぶりに降りた駅のそばには、ビルが立ち並び、すっかり様変わりしていました。
でも、大通りから一本入ったところにある細い道は、昔の記憶のまま。アスファルトや家の塀の黒ずみだけが、時の経過を感じさせました。

▼神秘的な「神様の部屋」

一戸建ての祖母の家も、昔と変わらないように見えました。ただ、壁はきれいに塗り替えられています。

私は道路に面した門のチャイムを鳴らし、石段を上がりました。私があの夜、白い人影をみた玄関ドアはリフォームされて、木製の格子が金属製に変わっています。

おじが私たちを出迎えて、2階の「神様の部屋」に案内してくれました。壁面に大きな神棚が作りつけられ、右側にA教の神様、左側に先祖の霊がまつられています。

子供の頃、私はこの部屋が好きでした。朝晩、お水やお米など神様へのお供え物を用意して、おばあちゃん(あの山形から家出してきた祖母)が祝詞のりとをあげるのにあわせ、私も後ろで一生懸命、経典を見ながら祝詞を唱えたり、歌を歌ったりしました。

A教の神様がどんな神様かよく知りませんでしたが(噂によると、とても怖い神様だとか)、私には神様をまつる一連の行為がとても神秘的に感じられ、興味津々でした。

前にもいいましたが、私は特定の神様は信じないものの、宗教的な雰囲気が大好きな子どもだったのです。

おばあちゃんは、神棚のそばでよく火打石を打っていました。左手に持った硬い石に、右手に持った金属の板を勢いよく打ち付けると、パッと火花が飛び散ります。おそらく魔を払うとか、身を清めるためでしょう。

私もおばあちゃんの真似をして石を打ちましたが、火花が出たためしがありませんでした(あれは結構難しい)。

▼叔父がテーブルに並べた本の中身とは

私と娘がテーブルの前に正座していると、おじが部屋に入ってきました。挨拶をして、とりとめのない会話をしたあと、おじは本棚から本を数冊取り出して、テーブルに並べ始めました

机の上

N助さん(私の曽祖父)は、家系図のほかに、たくさん本を書いていたんだよ」と、おじはいいました。

「僕が、Bの家から家系図を持ち出すときに全部持ってきたから、椿ちゃんも何冊か持っていきなさい

初耳でした。ひいおじいちゃんは、本を作るのが好きだったんだ

目の前に並べられた本は、どれも古い感じで、大きさも材質もバラバラでした。墨書きのタイトルは達筆すぎて、何と書いてあるのかわかりません。中身をみると、どうやら自作の短歌を集めた歌集のようです。

1冊だけ、市販の本が混じっていました。タイトルは「筒井一族」。大和の戦国大名である筒井順慶の一族の系譜のようです。
「昭和49年12月発行」という奥付のそばに、「昭和50年1月6日」と手書きのメモがあったから、たぶん出版されてすぐに買い求めたのでしょう。

▼はじめてみる曽祖父の顔

これを持っていって

おじは私に、緑色の小さな冊子を渡しました。表紙をめくると、写真が1枚貼り付けてあります。

曽祖父
曽祖父(拡大)

たくさんの花が咲いている木をバックに、着物姿の男性が、両手を前に組んで立っています。髪の毛は白く、口はへの字に曲がっています。

「……ひいおじいちゃん??

話に聞いたことはあっても、曽祖父の顔をみるのは初めてでした

「うちの先祖は筒井順慶」という古い言い伝えを信じ、あちこち旅をして家系図を作った曽祖父。その家系図が奇妙な経緯で私に届いたことは、以前書いた通りです。

うちの江戸時代のご先祖と筒井順慶の系譜をつなげたいという曽祖父の悲願。私はその曽祖父の遺志を引き継いで、ルーツ探しの旅に出ることになりました。
その張本人が、いま目の前にいます。

悪いな。あとは頼んだぞ

曽祖父が、私にそう言っているような気がしました。

▼曽祖父は自由な人だった

テーブルには、本だけでなく、N助の名刺も置いてありました。肩書は、「A教支部長・信教宣伝使」。曽祖父は本当に、A教に心酔していたようです。電話番号は「Q村7番」とあるから、まだ村に電話が数台しかない時代だったのでしょう。

私はおじに尋ねました。
N助さんって、どんな人だったんですか?

「そうねえ、気難しい人だったなあ。50歳ぐらいで隠居して、旅行したり本を書いたり、好きなことをやっていたよ。易占いもできたから、近所の人がよく見てもらいに来ていたっけ」

曽祖父の家は、江戸時代からお茶の製造販売をし、昭和に入ってからは味噌や醤油の醸造をしていました。おばによると、当時お手伝いさんが20人ぐらいいたそうです。家計に余裕があったので、曽祖父は早めに隠居して、好きなことをすることができたのでしょう(もっともその後、戦争でほぼ全てを失ってしまいました)。

この本の中に、なにか先祖につながるヒントがあるかもしれない。私はおじにお礼を言い、すべて持ち帰ることにしました。

(⑧へ続く)

>>>前回の話:ルーツ旅【京都・山城地域⑥】南山城村のディープな世界


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もののふ椿🌺ルーツ旅であなたもドラマの主人公に✨ サポートありがとうございます! 近々、家系図のよくわからない部分を業者さんに現代語訳してもらおうと考えているので、サポートはその費用にあてさせていただきます。現代語訳はこのnoteで公開しますので、どうぞご期待ください。