プリウス盗難とトヨタとの書簡 記録 6 ── 4通の声、3通の応答
第6回 企業理念への最後の問い──「カスタマーファースト推進本部」への正式抗議
トヨタ・プリウスの盗難被害に対して誠実な説明と補償を求めてきた私に、トヨタ自動車から返ってきたのは、「今後は一切ご返答いたしかねます」との冷淡な通告でした。2回目の要望書には一切返答せず、3回目の要望書に対しては一方的に対話の打ち切りを宣言──それが「お客様相談センター」の限界であることを痛感しました。
もはやこの窓口には、誠実な対話も、企業責任への真摯な対応も期待できない。そう判断した私は、トヨタ本社の中枢機関である「カスタマーファースト推進本部」へ、正式な再要望書(4通目)を提出する決意を固めました。
私がこの再要望書に込めたのは、ただ一つ──企業としての「誠実さ」を示してほしいという期待です。
ユーザーの安全を脅かす構造的なリスクが存在し、その被害が現実に発生している以上、企業には説明責任と再発防止への真摯な姿勢が求められます。過ちがあったのなら正し、足りない説明があったのなら補う。それはどんな製造業においても、最低限の責務ではないでしょうか。
今回の要望書が、形式的な処理で終わることなく、「カスタマーファースト」を名乗る部門として、本当の意味で顧客と向き合う契機となることを、私は心から願っていました。
トヨタ自動車株式会社
カスタマーファースト推進本部 御中
令和7年7月21日〇〇〇 〇
件名:プリウス盗難被害に関する不誠実な対応および誠実対応義務・
説明責任の欠如に対する正式抗議と要請
拝啓
猛暑の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
2024年3月、私は貴社正規販売店よりプリウス(型式:ZVW50)をクレジット契約にて購入いたしました。ところが2025年5月25日未明、自宅駐車場において当該車両が盗難被害に遭い、現在まで発見されておりません。
調査の結果、CANインベーダーと呼ばれる手口が用いられた可能性が極めて高く、貴社車両のCAN通信系統の設計上の脆弱性が盗難を容易にしている点が、今回の被害の根本原因と考えられます。このような構造的リスクの存在と、それに対する情報提供・説明が販売時に一切なされていなかったことは、重大な説明責任違反であり、消費者保護の観点から極めて看過できません。
お客様相談センターの対応について
私はこの問題について、2025年6月13日よりお客様相談センター宛に正式な要望書を複数回提出し、補償・再発防止策・情報開示に関するご回答を求めてまいりました。しかしながら、以下の通り、同センターの対応は誠実対応義務・説明責任・顧客保護意識を著しく欠いたものでした。
・再要望書(6月23日付)には返答すらされず、期日までに回答がないまま黙殺
・抗議書(7月10日付)に対しても、7月17日付の返書では「今後一切ご回答いたしかねる」と一方的に通告
・CANインベーダーによる盗難が社会問題化している事実に一切触れず、補償・対策・情報提供の必要性を否定
これらの対応は、「お客様相談」の名を冠する部門としての本質的責務を放棄していると受け取らざるを得ず、深い失望と憤りを禁じ得ません。
カスタマーファースト推進本部への正式な要請事項
貴部門は「カスタマーファースト」を理念に掲げる貴社内の統括組織であると認識しております。以下の点について、企業倫理・説明責任・顧客保護意識に則った誠実な再検討とご回答を文書にて求めます。
1. CANインベーダーに関する認識と情報開示義務について
特定の年式・型式のプリウスがCANインベーダーによる盗難被害に多発している事実について、メーカーとしてどのように認識しているのか、また販売時にそのリスクを顧客に説明していたかどうかを明確にご回答ください。
2. 再発防止策と顧客への情報提供体制について
「盗難手助けになるから情報提供できない」という一方的な説明では、ユーザーが自己防衛を講じることすらできません。アップデート可能な防犯装置の有無や、セキュリティ対策の推奨など、利用者が知るべき基本情報を明示する責任について改めてお答えください。
3. 被害者に対する補償・支援措置の再検討について
保険対応のみをもって責任を免れる姿勢は、企業としての倫理観を問われる問題です。少なくとも、残ローンの免除、セキュリティ機器の無償提供、買い替え支援などの措置について、被害実態に即した再検討を求めます。
今後の対応方針
貴部門からのご回答がない場合、または本質を避けた形式的な内容に終始した場合には、以下の手段に移行いたします。
・国民生活センターおよび所轄の消費生活センターへの正式な被害相談
・消費者庁への通報書提出(説明義務違反および設計上の欠陥に関する通報)
・弁護士を通じた民事上の対応(債務見直し・損害賠償等)
・SNS等による社会的共有および同様被害者との連携・報道協力
これは単なる一顧客の苦情ではなく、プリウスというブランドの信頼性・安全性に関わる社会的課題であり、貴社全体の顧客姿勢が問われる問題であると強く申し上げます。企業としての誠実さが、顧客からの信頼をつなぐ唯一の道です。
貴部門におかれましては、どうかこの問題を真正面から捉え、誠実な対応を再考いただけますよう、強くお願い申し上げます。
敬具
添付資料
・資料1:2025年6月13日付 要望書
・資料2:2025年6月20日付 トヨタからの回答書
・資料3:2025年6月23日付 再要望書
・資料4:2025年7月10日付 抗議書
・資料5:2025年7月17日付 トヨタからの通知文書
▻ 第7回 「最後の窓口」すら閉ざされた──トヨタからの“再回答”が意味するもの
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