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子どもの頃の方が、自分のことをよくわかっていたのかもしれない

おおきくなったら みんなのにんきものになりたいな

引き出しの奥底から、前歯の抜けたまんまる顔をニカっとさせた、わたしの写真付きカードが発掘されて。

そのカードに、まだヘロヘロな字で書かれていたのが、これ。幼稚園を卒園するときに作ったものでした。

レイアウトがんばっててかわいい(自分だけど)


ほーーーぅ、そんなことを…

大人になったわたしは、それを見て感心しちゃいました。具体的な職業名を書いていなかったのにも驚いたし、めちゃくちゃ本質的なことを言ってる気がしたんです。


Q. 将来の夢は? A. 漫画家

「大きくなったら、何になりたい?」とか「将来の夢は?」とか、子どもの頃はあらゆる大人から聞かれたり、みんなで交換するプロフィール帳にもそんな項目があったりして。

あまりにテンプレで聞かれるものだから、いつの間にか回答もテンプレになっていた気がします。それこそ、「漫画家」という職業名で。

友達の影響もあったと思うし、実際、絵を描くのは好きでした。小学生の頃はノートに漫画を描いて、友達や先生に見せていたし。漫画クラブにも入っていたし!

だから「わたしは漫画家になるんだろうな〜」って思ってたんです。いやー、単純…


それを後押しするかのように、中学生の時に「あ、本当に漫画家になりたいかもしれない…」と思う出来事がありました。

それは、当時わたしがどハマりしていた漫画の作者のサイン会。

新刊の発売に合わせての開催だったので、待機列は、最新巻に早速かじりついている人ばかりという不思議な光景。

同じ漫画が大好きな人が、こんなにたくさん集まってるなんて、すごいな〜と。

読者たちと会話を楽しみながら、リクエストされたキャラクターをサラサラっと魔法のように描くホンモノの漫画家を目の当たりにして、「ああ、こんなふうになりたい…」と思ったんです。


夢って、なんだろう?

その後、わたしは部活が楽しくなって、楽器を演奏することに夢中になりました。

漫画家になりたいという思いは次第に薄れ…気づけば大学生活も、10年の会社員生活も駆け抜けていました。もう、目の前のことで精一杯。

自分の夢とはいったい何なのか、真剣に向き合わないまま、タテマエの「やりたいこと」ばかり取り繕って、過ごしてきてしまった。

そんなふうに取り繕った自分でいるのは、本意じゃない…!

そう思って、新しい人生に踏み出すぞ!と、挑戦したかった楽器インストラクターを始めてはみたけれど。友達に「好きなことを仕事にできて、すごいじゃん!」って言われると、どこか違和感…

正直、「これがあなたの夢ですか?夢を叶えましたか?」って聞かれたら、「ハイそうです!」とは即答できないなーと

「ただ挑戦したかったこと」ができたのであって、「夢」かと言われると、そうなのかな…?って感じ。なんか違う気がする。

じゃあ、わたしの夢って、なんなんでしたっけ?

っていうか、夢って、なんだろう?


みんなのにんきものになりたいな

わたしの夢は、「漫画家」とか「楽器インストラクター」とか、何らかの職業になることではないのかも。

きっと、そういうのは夢を叶える手段であって、その先で得られそうな「何か」だったのかもしれない。


おおきくなったら みんなのにんきものになりたいな

あの時のサイン会で「こんなふうになりたい」と感じたのは、漫画家さんがファンを喜ばせて、そのファン達に囲まれて楽しそうにしている様子そのものだったんじゃないかと。

前歯が抜けた小もなかのメッセージを見て、なんだか腑に落ちたというか。そうか、みんなの人気者になりたかったんだね。


ふと思い出したんです。入社して3年間ぐらい深夜帰りの日々が続いて、大好きだった楽器にも触ることができない時期があって。その頃たまたま見た、あるバンドのライブ映像にえらく感動して、やっぱり音楽やりたい!と、演奏を再開したのを。

このライブ映像、ファンの歓声に応えるバンドメンバー達の笑顔が眩しかったんです。当時、本気で「あーっ、羨ましい!!!」って思った。

バンドのパフォーマンスと、それを楽しむ人とで良い空気が循環している感じ。その空間がものすごくハッピーで満たされている。決して、一方通行では作ることができない空気。映像でも十分伝わってきました。


わたしは、子どもの頃から、そういうハッピーな空気が流れる瞬間が好きだったんだと思います。

実際、インストラクターをしていて「たまら〜ん!」って瞬間もこれ。生徒さんにちょっとしたコツを伝えて、「できた〜〜!」という時の、教室の雰囲気が明るくなるような感じが、大好物です。

そうそう。なんか、こういうのが、いいんだよ。

今はこう思うんです。わたしの夢は、ハッピーな空間を作り出して、その場の空気を味わうことなのかなって。その結果、 ”みんなのにんきもの" になれたら、嬉しいなって。


最後に…例の卒園カードに書いてあった先生からのメッセージにも、自分のことを上手に表現してくれていた一文があったので引用します。

もなかちゃんの たのしい うた や、おどり、そして ゆかいな え が せんせいは だいすきでした

たぶん、わたしは小さい頃からずっと、本質的な部分は変わっていない。自分から働きかけて、ハッピーな空間を作るのが大好きなまま、大人になってるんだなって。

でも先生、ひとつだけ聞かせて。 "かわいい" とかじゃなくて、"ゆかいな" 絵って、なんですか…


▼実は、「漫画家」になる夢は結構こじらせていて…

▼憧れの肩書を手に入れても、苦しかった話


#みんなで書く部
「あなたの夢を聞かせて!」

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