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還暦の母、Snow Manに落ちる


「ファンクラブ、入ろうかな」


母がそう言葉にしたとき、
私は心の中で静かにガッツポーズをした。



2025年、我が母は60歳となる。

出かけるときは絶対に身だしなみを整え、
月1回のネイルと美容室は欠かさず、
毎日ZOZOTOWNを徘徊しては
流行の最先端を楽しんでいる母。

そんなオシャレが大好きな我が母、
世間で一般的にいわれる「趣味」というものを持ってこなかった。


「いやいや、そんだけオシャレ大好きなら、外交的で色々活発的なんでしょう?」

と思う方もいるだろうが、
本当に内向的なのだ。
完全インドア派だ。


実家にいた頃、
私がリビングでご飯を食べて、自室で過ごし、またリビングに行った数時間の間、
母はソファーで、ずーーーーっとスマホのパズルゲームをしていた。
それも1つのゲームだけじゃなく、5つくらいのローテーションでやり続けていたことがある。


「それ、さっきもやってなかった……?」と聞くと、

「いや、ハートなくなったら違うゲームやって、その間に回復するから、ずっとやれるのよ」
と、よくわからん理論を言われた。


TVではYouTubeを流し、
合間で家事をし、
ちょっとした買い物に行き……。


娘の立場としても、
「私が実家出たら、この人ずっとこうやって過ごすんかな〜……。」
と少し心配になっていた。



そんな中、転機が訪れた。


Snow Manにハマったのだ。





私が。



正直、私は小中高とアイドルにハマったことがない。
アイドルのライブにも行ったことがないし、本当に興味がなかったのだ。

一時期、SixTONESとSnow Manの区別がつかなくて、後輩に「SixTONESは石で、Snow Manは雪男です!!」と説明されたくらい。

それくらい私には一生関係ない世界だと思っていた。

そう思っていた私が、
Snow Manにハマった。


ハマってしまったら、もう崖を転がり落ちていくかのように一瞬だった。

年末年始の休み中にYouTubeを観まくり、
ダンスはよくわからなくて、なんとなく毛嫌いしてたのに「こんなかっこいいのか!」と気づき、
SNSで情報を追うようになった。


最初はメンバーの顔と名前が一致しなくて、
メンバーそれぞれのキャラを理解することにも時間がかかった。

でも、今では9人全員の名前を言えるし、メンバーの関係性やエピソードも語れるくらい覚えている。

Snow Manの何が良いって、
9人という大所帯であるにも関わらず、
みんなが同じ方向を向いて、
グループのために努力をしているところ。

みんな仕事に対して全力で、
いつ見ても「私も頑張ろう!」と思える。


推しがきっと今日も頑張っているはず。
それなら私も頑張らなくては。

「あぁ、推すってこういうことなのか!」
と人生で初めて理解した。




さて、そんな私の話を聞いてくれていた我が母。

娘がどんどん沼にハマっている姿を見て、どう思っていたのか。




そりゃ、生まれてから一度も「アイドルにハマる」ことがなかった娘から、
毎日のようにSnow Manの話をされたら、そう思って当たり前だよな……。


起きてきたと思えば、
朝出ているSnow Manのニュースを話され。

夜ご飯の際は、
面白かったYouTubeの動画を見せられ。

ことあるごとにメンバーの話をされ。

そんなふうに、
娘の熱狂的な語りを浴びてきた母がどうなったかというと、



「この子たち、頑張ってるよね〜」

と母親目線へ進化した。


ここはまだ第一段階。
これからの布教が最重要だ。


私の推し活が速度を上げていく中で、
Snow Man最初のドームツアーが始まった。


私も自分の名義で応募したが、当たり前に落選した。
しかし、アイドルオタクの後輩のおかげで、
私は人生初、アイドルのライブに参戦することになった。


事前にグッズを購入し、
手作りうちわも用意し、
ライブ本番では、推しが動いて生きていることに感動し、
アイドルのライブが華やかでパフォーマンスに溢れていて。

アイドルオタクをしていた友達があれだけ熱狂していたことが、少しわかった気がした。


心も身体も夢のような気持ちのまま帰宅し、
Snow Manから受け取った熱意を母親に語りまくっていた私。

実は、
ライブを見ていた時、私の心には一つの夢が思い浮かんでいた。



「母をSnow Manのライブに連れて行きたい」



母も少しずつSnow Manのことを知ってきているし、なんなら名前も覚えてきている。

母親目線で応援し始めていることを、
節々で感じていたからだ。


ただ、Snow Manのライブなんて当たることも難しい。
本当に運でしかないのだ。


「来年、うちが当たったら母も一緒に行こうよ!」と誘ったが、


「ライブ〜??母、ライブは興味ないよ〜」と返された。



くっ、まだ布教が足りない!
まだ沼落ちしていない!!



そう感じた私は、
とにかく次のツアーまでに、母を沼落ちさせる……!!!と決意を固めた。




ライブツアーも終わり、私の推し活はさらに熱を増していた。

過去のCD、ライブDVDを集め始めたのだ。


もうここまでくるとオタクでしかないよな、と自覚し始めたのがこの時期。
(確か2023年秋頃)


ライブDVDは母と一緒に鑑賞して、少しずつ沼に引き摺り込もうとしていた。

そういう作戦だった。



ライブDVDを観て、少し経ったある日。

母がぽつりと話しかけてきた。



「あのね、ライブDVDで観た向井康二くんの目が忘れられない……」




とうとう来た。

母の推しが確定した。


もうこのとき、私の心の中は「Party! Party! Party!」並みに盛り上がっていたと思う。


もちろん私は平然と
「へぇ!とうとう推しですね!!」
と返した。


「じゃあ次のライブ当たったら行く??」
と話したが、


「いや〜、そこまででは……」
とまだ壁は厚かった。


やはり、人生約60年、
アイドルの推しが存在しなかった母親にとっては、未知の世界すぎるのだろう。


まだ決定打にはならないのかー、と様子見することにした。




そこから月日は経ち、
年末年始の年越しライブでは大笑いで楽しみ、
毎週金曜日にそれスノを観て、
何故か少しずつ父親もSnow Manの名前を覚えていた。


母と私の日々の中にSnow Manが組み込まれてきた。

そんな2024年2月のこと。




「ファンクラブ、入ろうかな」



母からそう言われた。



本当に長かった……。
沼に引き摺り込むまで、完全に浸かり切るまで、約1年半かかった……。


「入りなよ!!」
と、私は全力で応援し、
我が母は人生初アイドルのファンクラブに入ることになった。



それから母の勢いは増して行った。


推しが出演するドラマや番組は絶対に観るようになり、
YouTubeではSnow Manのチャンネルを流し、
家事をするときに流す音楽はSnow Manだけになった。


今まで見たことないくらい生き生きと過ごす我が母。

娘としては少し嬉しかった。



母がファンクラブに入ってから半年ほど経ち、とうとうSnow Man2回目のドームツアーが発表された。

5大ドームツアーという、Snow Manにとっても大事なライブ。

会場は、
札幌、東京、愛知、大阪、福岡。


実は、この頃に父の転勤が決まっていて、会場に札幌があったら行くしかない!と母と予想していた。


ということで、私は発表と同時に札幌行きの飛行機を取った。



ただ、先ほども書いたように、
Snow Manのライブチケットはほぼ当たらない。


ほとんどの人は、ツテでチケットを譲ってもらったり、多名義だったり……。
1名義で当たることなど、確率が低すぎる。


しかし、私は母とライブに行きたい!!という夢を持っていた。

絶対当ててやる。

当てるために仕事もプライベートも頑張って、
徳を積んで、当ててやる!!

そう願うしかなかった。




ツアーの当落前、
実は私の推しである岩本照さんの舞台「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」の大阪公演を母と一緒に観に行っていた。


母娘二人で旅行をするのは初めてで、
ある意味、Snow Manきっかけで行けたようなものだ。


舞台を見終わった後、
ホテルに戻った母が第一声

「あ〜、たのしかったぁ〜」

と嬉しそうに言っていたのが忘れられない。


その一言を聞いて、
私はもっと願ってしまった。


「母を推しに会わせてあげたい!」


「生の向井康二を見せたい!!」


そうしたら、もっと母はSnow Manにハマる!!


これはちょっと自分本位だけども。




そんな大阪旅行から数日後、
とうとう運命の日がきた。



リモート勤務だった私は、当落が出たタイミングで母に電話をかけた。


どうやら、母は先に自分の分を見てしまったようで、
「ダメだったぁ……」とかなり落ち込んでいた。


これはもう、私が当たらなきゃいけない。


でも、当たるのか??


そう不安な気持ちをかき消しながら、
「まずは、北海道公演1日目から見ます!!」とボタンを押した。





落選






そりゃそうだよなぁ……
と軽く落ち込む。


「いや、でもまだ2日目があるから!!」





「押します!!!」



いっぱい願いながら。

私の夢が叶うことを想いながら。


ボタンを押した。








当選








「エッ?????」




「えっ、母、2日目当たったよ」




「「え、えええぇええええええ!?!?!?」」




二人で叫びまくった。
母娘ではなく、ただ二人のSnow Manオタクとして。




母を連れて行ける!!!

親孝行できる!!!!


私の心の中は、当選を見ただけで嬉しさでいっぱいだった。

連れて行ける、ということだけで夢が一つ叶ったのだ。




そこからはライブから逆算して、計画を立てまくった。


お互い美容室にいつ行くやら、
メイク道具を新調するやら、
ライブの時は何を着て行くやら。


今までの人生、
こんなにお互い熱意を持って楽しめることは初めてだった。



ライブ当日。

お互いメイクも万端、

母はうちわも作り、

娘は高級双眼鏡をレンタルした。


準備は完璧だ。



会場である札幌ドームには、父が送迎してくれた。

「終わったら、連絡ちょうだいね」

と、父は近くのパチスロで時間を潰すという。
(いつもありがとうね。)


会場に近づくにつれ、
どんどん周りがSnow Manファンになっていく。


会場の周囲で飾られているポスターなどを撮影しつつ、
入場列に並び始めたとき、


あれ、電波繋がらなくね……?


と気づいた。


電波が繋がらないと、チケットも開くことができない。

=入場ができない。



私は冷静を装いつつ、
全力でチケットの画面が開くことを祈った。

モバイル通信やWi-Fi、
機内モードなどもON/OFFにしまくった。


何も変わらん。


終わった。



もう入場ゲートが目の前のとき、
ささっと横にズレて、私はチケット表示に格闘していた。


どうやら、同じような状況の人も近くに集まってきていた。



私たちと同じ、母娘で来ている方とも
「開かないですよね……」とお話しつつ、
なんとか方法はないか……と探していた。



そんなとき、
横から一人のお姉様が声をかけてきた。


「札幌のフリーWi-Fiあるので、それにメールアドレス入れたら繋がりますよ!!!」


と、その人はすぐにいなくなってしまった。


これが札幌ドームの女神だった。


私はすぐにメールアドレスでWi-Fi接続し、
自分がチケットを開けることを確認した。


そこからは怒涛のフリーWi-Fi接続係となった。

近くで繋がらない方に手順を教え、
10組くらいを対応した頃には20分以上経っていた。


そろそろ入場するか!と、
少し良いことをした気持ちで入場ゲートを通った。


チケットが発券され、
自分たちの席がそこで渡された。

基本的に裏側で渡されるため、
落ち着く場所で確認しようとしたとき、


「あの!さっきはありがとうございました!!!」と、
最初にフリーWi-Fiを教えた娘さんが話しかけてきた。


私たちよりも先に入場していたのに、
私たちが入ってくるのを待っていてくれたのだ。


なんて良い人たちなんだろう……。
Snow Manファンって優しすぎるだろう……。


と、なおさらほくほくとした気持ちでチケットの座席を見た。


これは後から撮影したやつ



スタンドだが、めちゃくちゃ番号が若い気がする。
え、めっちゃ良い席なのでは??と話しつつ、
座席に向かった。



ゲートを通って、階段を降りていく。

まだまだ先だ。

え、まだ先?



え、もうアリーナほぼ目の前じゃない……??

そんな神席だった。


フリーWi-Fi接続係をやってて、徳積んだ〜〜〜!!!と思うくらい、
私の手は外の寒さで冷え切っていた。



ここからは、もう詳しく書くとライブレポになってしまうので、割愛させていただく。


肉眼で見れる範囲に、母の推しである向井康二さんは来たし、
私は高級双眼鏡のスゴさを感じていた。


本当に夢のように一瞬だった。




終わった後、母と「夢かな」とずっと話していた。


自分たちが、ついさっきまで見ていた景色が信じられなかった。



母は、次の日も「楽しかったぁ」と言っていた。

また行きたいなぁ、とも言っていた。


「ちゃんと親孝行できたかな?」と聞くと、


「もう、あなた産んでよかったわー」と言われた。


母にとって、子供を産んでよかったこと第1位に「Snow Manのライブに行く」がランクインしたらしい。



そんな母娘の姿を見ている父。

父が嬉しそうに言っていた。

「最近、母は本当に楽しそうだよ。そうやって二人で楽しめるものあるのは、良いことだな」



Snow Manは、確実に私たち家族3人を繋げてくれている存在だ。

毎日、Snow Man関連のニュースが出てくる。

そのたび、母にLINEをする。


ある意味、お互いの生存確認になってる



Snow Manのベストアルバムが出た時、
父がわざわざ全員分の写真を撮ってくれた。



この後、メンバー9人分の写真が送られてきた


元々興味がなかった父親も協力してくれるくらい、Snow Manはもう国民的アイドルになっているのだと感じる。




今年のスタジアムツアー。
4月の公演は落選してしまった。


でも、6月の公演で当たる。
そう願っている。


また母と二人でライブに行きたい!

母の楽しむ姿を見たい。



Snow Manは、
きっと日本中、

いや、
世界中の人を楽しませようとしている。


今年1年、
9人は楽しみながら、駆け抜けていくだろう。


私たちオタクは、それを近くで応援し、
生きる糧とさせてもらうだけなのだ。


ありがとう、Snow Man!!!!!!!!!


オレたちとみんなが、

Snow Man!!!!!!!!!



#ハマった沼を語らせて


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