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【梅園魚品図正】(64) 白魚(みごい)

出典:国立国会図書館デジタルコレクション『梅園魚品図正 巻2

白魚ハクギョ ミゴイ

『本草綱目』第四十四巻 河魚類  白魚ハクギヨ
ミゴイ 『和名抄』 彦根
ニゴイ  彦根湖中
一名   マジカ 同上
ウミスゝキ   魚商の呼所

『釋名』鱎魚 音奇
一名  楚鮮  『水■加恩薄』(■は方+矣)
    銀刀  『事物洱珠』
    時裏白 『食物本草』

『魚鑑』曰  サイ  俗に似鯉。鯉に似ると云義なり。
イダ  薩州、又、西土   漢名 白魚

※ 『本草綱目』第四十四巻 河魚類 白魚ハクギヨ

白魚 鱎
出典:国立国会図書館デジタルコレクション『本草綱目

※ 「音奇」は、誤読しているかもしれません。
※ 「水■加恩薄(■は方+矣)」は、水族加恩薄。宋の時代の書。
※ 「薩州」は、薩摩国さつまのくに


乙未八月八日行徳魚商
善某持来求之 真寫

白魚は、冬より春三月中に稀にあり。夏至の候より多くと、近江湖中にはかくなるべし。東武、白魚を得して、今を始とす。此魚、全躰肉肥ゑたり。故に「ミゴミ」と云。音轉じて「ミゴイ」と呼。鯉魚に似たる形狀を以て「似ゴイ」と云ふ

※ 「東武」は、武蔵国むさしのくにのこと。または、江戸の別名。
※ 「轉じて」は、転じて。

亦、集解時珍の説に「『武王白魚  ル  ニ』は即此れ也」と。貝原先生曰、「一統志曰、白魚如 鯉の面色白し。或曰、ミゴイは白魚也。武王の舩に入る者也」とす。

蘭山先生曰、「白魚はミゴイに充れども、武王の舟中に入りし事を言はず」。彦藩重啓曰、「愈考る所なし。故に此説を脱す」。

又、此に皇都 中尾猷祖が著『薬性解』に「武王の舟に入しは白魚ならず、シイラ也」と云ふ。杜撰の妄言とるに足らず。抱腹するに堪たり。園曰、「似鯉、其肉味鯉に異なることなし、美隹也。似鯉の名、最宜し」。

天畔 □ 山狐草亭  江中風浪雨冥々
一雙白魚不受釣  三寸黄柑猶自青
             杜子美


※ 「集解時珍」は、明の時珍が著した『本草綱目』を指していると思われます。「集解しゅうげ」は多くの解釈をひとつに集めること
※ 「貝原先生」は、江戸時代の百科事典『和漢三才図会』の著者、貝原かいばら益軒えきけん
※ 「蘭山先生」は、江戸時代中期の本草学者、小野おの蘭山らんざん。時珍の『本草綱目』の講義録『本草綱目啓蒙』を著しています。
※ 「彦藩重啓」は、彦根藩士 藤居重啓。『湖中魚図証』を著しています。参考:『湖中産物図証4巻【全号まとめ】』(国立国会図書館デジタルコレクション)『湖中魚図証』(国立公文書館デジタルアーカイブ)
※ 「薬性解」は、中尾猷祖が著した『雷公薬性解撰』。
※ 「園曰」は、この本の著者、毛利梅園曰く、という意味と思われます。
※ 「天畔 □ 山狐草亭」は、天畔群山狐草亭。参考:『作詩秘訣』(国立国会図書館デジタルコレクション)
※ 「杜子美」は、唐の詩人、杜甫。子美はあざな



筆者注 『梅園魚品図正』は、江戸時代後期の博物家、毛利梅園による魚図鑑です。説明文書は漢文体が中心でのためパソコンで表示できない漢字が多く、漢文の返り点と送りがあります。読みやすさを考え、パソコンで表示できない漢字は □ とし、名称の場合はできるだけ [■は〇+〇] の形で示すようにしました。

また、漢文の返り点と送りはカタカナと漢数字、振り仮名と送り仮名はひらがなで記載しています。
この作品に引用されている文献については、こちらの note を参照してください。 → 【梅園魚品図正】文献まとめ

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