【梅園魚品図正】(76) 柔魚(ながするめ)

柔魚
ナガスルメ コモソウイカ
壽曰
柔魚、風乾するを『閩書』に「明府」と云。又、螟■(■は虫+府)に作る。本朝式文に、鯣の孚を用。『延喜』の神祇に、民部主計等の式に、若狭・丹後・隠岐・豊後より烏賊を貢すと云者、則スルメなり。
今、肥前五嶌より出すを最上とす。伊豆の國、及び、丹後、但馬、伊豫より出すを次とす。長門より出すもの其大さ尺に至る。肉厚く美隹也。古より賀悦の席に用ゆ。
河豚にあたりたる者は、スルメを炙とも、煎じるとも、早く是を食しむ。河豚の毒、制伏なすはこれに過るはなし。故に、河豚の振舞には必、向附にスルメの鱠、茄子の塩漬を用ること良方也。
※ 「鯣」という漢字の訓読みは、するめ。
※ 「鯣の孚」の「孚」は、『広文庫』によると「字」であるようです。参考:『広文庫 第2冊』(国立国会図書館デジタルコレクション)
※ 「伊豫」は、伊予。
※ 「向附」は、向付。饗応料理の献立のひとつ。懐石では刺身や酢の物などが向付に供されます。
※ 「鱠」は、なます。酢の物のこと。

出典:国立国会図書館デジタルコレクション『梅園魚品図正 巻2』
※ 「圖」は、図。
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筆者注 『梅園魚品図正』は、江戸時代後期の博物家、毛利梅園による魚図鑑です。説明文書は漢文体が中心でのためパソコンで表示できない漢字が多く、漢文の返り点と送りがあります。読みやすさを考え、パソコンで表示できない漢字は □ とし、名称の場合はできるだけ [■は〇+〇] の形で示すようにしました。
また、漢文の返り点と送りはカタカナと漢数字、振り仮名と送り仮名はひらがなで記載しています。
この作品に引用されている文献については、こちらの note を参照してください。 → 【梅園魚品図正】文献まとめ
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