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お金はないけど、かっこいいMVを作りたくてAfter Effectsを始めた話

とにかく、お金が足りないんだよォーッ!

びんよよ

まずは、この切実な叫びから始めさせてください。
VTuber、特に音楽活動って、何を作るにも本当にお金がかかる!
作品にこだわろうとすればするほど、制作費という現実がダッシュでお迎えに来ます。でもさ~~~良いコンテンツは出したい!諦めたくないじゃん!

自分の伝えたいことは、自分だけの表現で届けたい。それはカバー曲をただ歌うだけでは、どうしても手が届かない領域だったりします。
反面、お金でなんとかできる力をつけるまで待つ、ということはできなくて。その間に一番やりたいことができないなんて続けられないし。

そうやって必死にもがいて、この数年でなんとか曲は作れるようになりました。ただ、自分で作れるようになったからといって、ランニングコストがゼロで~す!ともいかなくて。

そりゃあ、曲に写真と歌詞を載せるだけでも、最低限「動画」としてリリースはできるかもしれないけど。音楽と歌詞だけで、そこに乗せた熱量やメッセージをすべて伝えきるのは、本当に、本当に難しい。
リッチな表現が溢れかえっている今のインターネットで、音楽単体で届けたい人にまで届けるのは、至難の業です。

私には、もっと「音楽を伝えるための映像」をつくる力が必要でした。


そしてついに……いや、また?わたしは決心しました。
「他に手立てがないなら、自分自身が最強になればいいんだ!」
After Effects、ちゃんとやってみよう。

もちろん、最初からプロみたいにできるわけじゃない。でも、完全な未経験でもないんだから、本気で向き合ってみたら、ある程度なんとかなるかもしれないじゃん!

これは、映像のプロでもない、予算からっぽの個人VTuber・mokzが、After Effectsに正面から向き合ってみた記録です。
「やりたいことはあるのに、手が届かない」と悩んでいる誰かに、この格闘記が届きますように。


スタート地点の状態

動画編集といえば、普段は Premiere Pro でシンプルなカットやテロップ入れをするくらい。After Effects も一応触ったことはあるけど、正直記憶はほとんどありません。プラグインも何も入れていない、まっさらからのスタートでした。

絵が描けるわけではないけれど、自分には自慢の3Dモデルがある。Unityでのセットアップやアニメーションならできる。素材サイトのサブスクも契約しているし、今の自分にある手札をどう組み合わせれば、最高のものが作れるだろう?そんな状態で始まりました。

Premiere Proの過去作例がこちら。背景などは、素材ゴリ押し。


今回の目標とリソース

✒️目標…こんなものを作ろう!

① 今まで自作した中で、一番動きのある動画をつくる!
②リリックモーションや細部に流行を取り入れてみる!
③ 曲の持つストーリーと、自分に重ねられる部分を表現してみる!
④ 本家MVのまるまる再現をしない!表現方法の共通点を持つのはOK

✒️リソース(縛りプレイ!?)

予算:10000円 
今回はプラグイン代だけ確保。一度買えばまた使えるし。
ただし、既に持っているものや、普段から払っているAdobe CCや素材サイトのサブスク代は一旦見なかったことにします。

イラストの代わりに3Dモデルがあるし、Mixも自分でする。だから、一度この流れを作っちゃえば、次からはアップグレードや3Dお衣装以外の追加費用ゼロで動画が作れるはず……!

制作期間:約1か月
本格的に勉強をはじめてから、曲を決めて、投稿まで約1か月です。音源自体の制作も期間内に含みます!
正直、他の仕事やイベント準備で時間はギリギリだったけど、「この日に投稿するんだ!」という気合だけで走り抜けました!

✒️課題(?)曲

瞬間、シンフォニー。 – 40mP / かぐや(cv.夏吉ゆうこ)

「超かぐや姫!」が本当に良すぎて、どの曲にするかめちゃくちゃ迷ったのですが……。一番自分にしっくりきて、等身大の気持ちを乗せられるのはこの曲だ!と、運命を感じて選びました。


①まずはインプット

MVをたくさん見てみる

制作の方向性を定めるために、膨大な数の映像を視聴しました……!
「映像を作る」という視点を持った途端、見方ががらっと変わりました。
「この動きはどう制御しているんだろう?」「このタイミング、すごく心地いい」「こういう演出、自分もやってみたい」なんて、新しい発見の連続でした。

今回の制作で、特にわたしの背中を押してくれた動画をご紹介します🫰

一見すると、1枚のLive2Dイラストにシンプルな歌詞が添えられているだけ。かと思いきや、サビで始まるリリックモーション!
よく見ると、ローマ字表記?のあしらいもあって、ただ普通の歌詞を出すより情報量を確保している(&単純に装飾としていい感じ)

それ以外の歌詞も、普通のフェードではなく、文字が入れ違いに消えていったり、ノイズがかかっていたり!
キャラクターの呼吸や髪の揺れといったような細部も、とても丁寧に作り込まれていて、それだけでリッチな表現に感じます。

最終成果のレベルはまだまだ全然遠く……なのは重々承知の上です。
ただ、素材が少ない中でインパクトを出すために、一枚絵ではなく髪や身体の動きをループでつけることを決めたきっかけになりました!

デザインを勉強してみる

これまでサムネイルなどのレイアウトは、体系的に学んだわけでなく、多くの作品を参考にしながらなんとなくの雰囲気で作っていました。
しかし、MV制作となると、サムネの何倍ものレイアウトを考えなければなりません。自分の引き出しの限界を感じ、改めてデザインを基礎から勉強し直してみることにしました!

これらの書籍を読んでいます!(アフィなしです)
なるほどデザイン
デザインを学ぶ グラフィックデザイン基礎 改訂版
ノンデザイナーズ・デザインブック

実は元々『ノンデザイナーズ・デザインブック』だけは持っていました。
ただ、右も左もわからない状態で読み始めた当時は、個人的にあまり内容がしっくりこなかった記憶があります。
わかる、よくわかるし、面白いけど、ぎゃ~!みたいな。急に8000年分の記憶を叩き込まれたみたいな。
書籍のセレクトは、その旨をデザイン有識者の友人に話してみたところ、薦めてもらったものです!

今回、上のリストの順番通りに読み進めてみたところ、驚くほど理解が深まりました。読むタイミングや、知識の積み上げ方の相性もあるのかもしれません。

ただ、こういうものって一度読んでも、すぐ全部を実践できるわけじゃないのが難しいところ。実際に使いながら改善を繰り返して、自分の中に刷り込んでいかないと、ぱっと出てこないんですよね~~
全部Kindle購入なので、通勤通学の時間でよく見返すようにしています。

ずっと持っている前提の本は、ビジュアル重視の場合は拡大できるKindle、活字は目が滑るからフィジカル派。

②イラストの代わりに3Dを使おう

Unityでアニメーションを組んで、撮影したものを2D素材として使います。

アニメーション付けには、Very Animationを使っています。歴の長いVRChatterなら、これを使って一生懸命表情を作っていた時代があったりして。久しぶりに使った……
人形アバターなどのHumanoidモデルであれば、慣れちゃうとかなり楽です!

セールの時であればUmotion Proもいいかも。私は持ってない😭
VRMそのまま使いたい人はVery Animationが圧倒的おすすめらしい!

髪の揺れ方など、物理的な動きを自然に見せるには速度の変化が命。 Curve Masterで、ただの行ったり来たりから、重力を感じられるように調整しました。

この画面が、後の布石となる……

このあたりのUnity工程に関しては、VRChatのアバター改変をしたことがある人なら、きっと驚くほどスムーズに飲み込めるはず。自分の持っている知識が、思わぬところで映像制作の力になってくれてうれしい。

もしこのあたりの詳しいやり方に需要がありそうなら、また別の記事でじっくり解説してみようかな、なんて思っています。気になる方は、ぜひ「スキ!」を押して待っていてくださいね(ˆ . ̫ . ˆ)ノ

③After Effects環境を準備

色々なクリエイターさんが紹介しているプラグイン一覧から、今の自分に使いこなせそう、かつ、今回の動画に欠かせないものに絞って導入しました。

Flow (約5400円)

あれ?この記憶は……?

なんかさっき見た。
まさにUnity作業でやった、Curve Masterです。文字やカメラに加速・減速をつける作業が、これのおかげで迷わず進められました!
他にも安いツールはありましたが、困ったときにすぐ調べられるメジャーさ(自己解決のしやすさ)を優先してチョイス。

Universal Audio (約1500円)

これ、本当に助かりました……!
Aeでは作業を整理するために「プリコンポーズ」という入れ子構造になる機能を多用するのですが、入れ子の中では、親になるコンポジットに置いた音が聞こえなくなっちゃうんです。
子側を編集する時用に、音源を別に置いてもいいのですが、タイミングが意図せずズレてしまう危険もあって。

このプラグインは、どの階層にいても常に正しい位置で音を流してくれます!複雑なことをするとすぐ頭がこんがらがる私には、必須のアイテムでした。

プリコンポってべんりだね(フォルダというのは、ぶっちゃけ正しい説明ではない)

GlyphGlide 、GG分解 、BaraMoji

歌詞のアニメーションを劇的に楽にしてくれるツールたち。一文字ずつ動かしたり、文字をパーツごとにバラバラにしたり……。
結局、演出を変えて使わなかったものもありますが、こういう無料の神ツールは本当に、ありがたいですね……


買いたかった!予算でまだ我慢中のものたち

DeepGlow
標準機能のグローじゃ物足りない!キラッキラにしたい!……と、予算限界突破を本気で悩みましたが、今回は断念。

代わりに「標準機能でもなんとか綺麗に見せるテクニック」を必死に調べたら、こんな手法がありました!

その後に作った動画では、その時の経験が活きて、さらに良い感じにできました。インスタント成長!

Keystone
キーフレームの操作を超効率化できる!というもので、時短のために欲しかった~~~!代わりに Rift というものを使っていましたが、日本語の解説が少なくて、読み解くのにかなり苦労しました。

自分用メモを作ったけど、ふんわりしてる

④改めて、操作を覚えよう

ショートカットキーを覚えるために、こちらの表を常に表示していました。

わたしはとにかく、昔から暗記ものがズタズタに苦手。
そのうえ、普段からいろんなソフトを使いすぎているせいで、操作が頭の中でごちゃ混ぜになりがちなんです。メインの音楽ソフトでさえ、実はちょっと怪しいくらい……

でも、今回ばかりは覚えないと作業が終わらない!そう思って、サブディスプレイにPureRefで常時固定。メモを見ながら手を動かして、体に染み込ませるスタイル。
動画を作り終わる頃にようやく、よく使うキーが指先に馴染んできた気がします。これで少しは時短になった……はず(?)

アイコンの内容すら覚えられなくて全部メモってた

⑤プロ仕様のフォントで差をつけろ

実は昨年末から、学生向け フォントワークスLETSMorisawa Fonts学生向けスタンダードプランを契約しています!

それぞれ通常5~6万する年額が、学生の場合990円になります。
LETSは一部Webフォントなどの制限がありつつも、いずれも商用利用可です!

学生でよかった(大粒の涙)
筑紫ゴシック
筑紫Aオールド明朝。Adobe Fontsにもあるけど、それよりバリエーション豊富。
ユールカ

フォントが充実すると、動画だけでなくサムネイルや告知画像を作るのも一気に楽しくなりました。
⇓記事のサムネは「ププ ソワレ」で作っています。かわいいよね

学生じゃなくなったとき、この金額を払い続けられるんだろうか……
でも、今のうちにいろんなフォントを使い倒しておけば、自分に本当に必要なプランを賢く選べるようになっているはず。
……あるいは、今年中に頑張ってあと10万円くらい収入を増やすか(頭抱)

⑥とにかく作っていく

今回は超かぐや姫!のストーリー、帰る直前のかぐやの想い……的な部分に、「自分は似たような、リンクするような感情になったことがあるか?」という問いから立てていきました。

苦しさやままならなさを受け入れて、前を向かなければならない。
この感情はよく知っている。

いつだって予算g

それはどっちかというとコレじゃん

ではなく、やりたいことと自分の置かれた状況のギャップとか。
自分一人の力ではどうにもならないけれど、どう頼ったらいいか分からなくて立ち止まってしまう。そんな瞬間は、これまでの人生に何度もありました。

劇中ラストライブのイメージでもあり、
自分のバーチャルなステージとも重ねている

お金の話ではないにしろ、今の活動をいつまで続けていけるのか?みたいな焦りっていつでもあって。
そうなると、生活や将来を考えた時に、自分のためにならない形で削り続ける状況は望ましくないじゃないですか。健康とか

……メイキング記事なのに何の話してるんだ?

サビ前はどちらも「現実の切なさ」を強調しているため、
孤独さ・無情さを表現するための背景にチェンジ

一応、私が辞めない限りは「mokz」という物語は続いていきます。とりあえず自分さえいれば、形としては成立するからです。
けれど、いつの間にか、そこには見てくれているきみたちの存在が不可欠になっていました。ただ生きていくだけじゃなく、誰かの笑顔のために努力を続けていきたいって、ね!

サビの前半には英訳を入れています。画面の情報量を増やすためでもありますが、英訳版の歌詞に含まれる「日本語にはないニュアンスの補完」がすごく素敵だな、と感じたからです。

髪etcの揺れに合わせてパーティクルを飛ばしてみた。
英訳はNetflixの字幕&吹替を参照

ただ、1番で作ったレイアウトをラスサビに再利用するとき、「そういえば本編は1番までしか出ないし、歌詞乗ってないじゃん」って。
そこからはウンウン唸りながら、物語から自分なりに歌詞を想像して入れてみました。そんな細かいこだわりも、見つけてもらえたら嬉しいです😼

実は、ここだけあえてリップシンクさせていない。
トランジション寸前に、何か言っているような・・・

完成品がこちら!


完成させてみて思ったこと

素材が……素材が足りない……!

真っ先に思ったのはこれ。
一生懸命動かした3Dモデルと背景、エフェクト。これだけでも形にはなるけれど、やっぱりプロの映像と見比べると、ふとした瞬間の情報量が足りないことに気づかされます。
次は、画面の隅っこを彩るような細かいデザインも自分でできるようになりたいな、と新しい目標ができました^ ̥_ ̫ _ ̥^

映像制作の段階でもっと曲が好きになる

これは嬉しい発見だったのですが、映像制作をしていると、その曲のことがもっと好きになるっていう。
何度も聴いて、歌詞の意味を噛み締めながらエフェクトを考えているうちに、歌っているとき以上の深い理解度に辿り着けた気がします。
いっそもう、先に動画から作ったほうがいいんじゃないか!?!?!??!

別にまだ満足してない!全然!

今回After Effectsに挑戦してみて、自分ができることは確実に増えました。
でも、全然これで達成したぜ!最強だぜ!なんて気持ちには1mmもなれなくて。

曲を作っているときもだけど、ひとつ山を登ると、もっと高い山がすぐ目の前に現れる。自分のやりたいことが、今の自分のスキルをいつも追い越していく。
誰かに頼れたら、それが一番いいのは分かっています。
でも、自分ひとりで努力することより、他人を巻き込むことのほうが、私にはずっと、ずっと難しい。スキルの付け方はわかるのに、人に頼る方法は、いまだによく分からないままで。

正直、ずっと満たされないし、ずっと喉が渇いているような感覚です。「不器用なままで苦しいな、もっと楽に生きられたらいいのに」って思うことも、もちろんあります。

でも、このもどかしさこそが、もっと広い場所へ、もっと多くの人のもとへ進んでいくための原動力なんだとも思うんです。
もっとたくさんの人に見つけてもらえて、私自身がもっと力をつけることができたら。そのときは、誰かの手を借りることも「申し訳ない」なんて思わずに、笑って頼れるようになるのかもしれません。

って、いや、そっちか~~~い!

実は、投稿したあとに一番たくさんもらった反応は、歌の細かな工夫に気づいてもらったり、歌唱表現に関するものでした!

ありがたいコメントのなかから、抜粋

ありがとう!!!!!そっちか~~~~~~!!!!!!

確かに、積み重ねてきた分「歌も成長したよ!」って胸を張って言える仕上がりにはなりました。ただ、自分の中では完全に「動画をめちゃくちゃ頑張った回」だったんだよな〜〜〜。あれ〜〜〜????

でも、本当のことを言うと、それが何よりも一番嬉しかったかも。
今回、映像を作るために一音一音、歌詞の一つひとつと、これまでにないほど向き合いました。それが無意識に、歌の表現力にも繋がっていたのかもしれません。

「音楽を伝えるための映像」を必死に作った結果、一番に届いたのが「音楽そのもの」だった。不器用なりにジタバタした一ヶ月だったけれど、これってわたしにとって、これ以上ない正解だった気がします。

映像も、音楽も、この終わらない渇きも。全部をガソリンにして、次はもっと最強になったねこが、きみを驚かせにいきます。

次も、楽しみにしていてね!


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mokz本人についての、詳しい自己紹介はこちら

いつも脳筋解決な個人VTuberをしています。他にもこんなことが……


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