「子育て日記」文化祭の思い出
高三の次女は、文化祭ステージに向けて、AKBの歌に合わせダンスを練習していた。自分達で公営のスタジオを借りて何度もリハーサルを重ねた。
「見に来ないでね」と言っていた次女、
やがて気持ちが変わったようで、
「見に来ていいよ」と言ってくれた。
6月の或る日、家族で文化祭に出掛けた。
文化祭のメインステージの前には長椅子が並べられ、保護者が座れるようになっていて、保護者席とステージの間が高校生の座る場所だった。
本格的なダンスで韓国アイドルの曲を格好よく披露する四人組。
男女二人で、ヒップホップ系のダンスを軽やかに踊るステージ。
かわいらしいダンスを披露する三人組の女子生徒。
そして、長いスカートのような衣装をまとった男子生徒がピアノを弾き、その演奏に合わせて女子生徒が歌うステージもあった。
私は、その二人の演奏を聴いているうちに、無性に泣けてきた。
ピアノを弾く彼が、これからどのような人生を歩んでいくのだろうと想像したからかもしれないし、女子生徒の透き通るような歌声に、心を動かされたからなのかもしれない。
そして、いよいよ次女のグループの七人がステージに上がる頃になると、どこからともなくメガホンを抱えた男子生徒たちが次々と現れ、生徒席はたちまち埋まっていった。
七人は、AKBの「ヘビーローテーション」をはじめ、CDに合わせて三曲のダンスを披露した。
曲の合間には、七人の名前が一人ずつ順番にコールされていく。
それは、私にとって初めて見る光景だった。
なんだか、衝撃が走った。
見たことのない景色を見せてくれる子育て――
自分が経験しなかったことを、まるで子どもと一緒に体験させてもらっているようでもある。
そのとき、次女が私とはまったく別の道を歩んでいることを、確かに実感した。
ひとつ前のステージでは、あれほど涙を流した私だったが、肝心の次女のステージでは一滴の涙も出なかった。それは、正面の席から動画を撮影するというミッションがあったからなのかもしれない―― メンバーに送ると言っていたので尚更、緊張したのだろうか。
あれから、一か月ほどが過ぎた。
今、次女はまさに進路について考える時期を迎えている。
文化祭のステージで、私の知らない景色を見せてくれた次女。
これからも、やりたいことができる道を選んで、自分らしく歩んでほしいと願っている。
残り8か月の1日1日を記憶に焼き付けながら過ごしたいと思います。
