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"「これからも、お達者で。」" ファーストガンダム・半スピンオフ作戦『テムよ…』 SCENE 7

「アムロと離れるのが嫌ならお前も来ればいいんだ」

回想シーンでのテム氏のセリフです。

テム氏の登場回としてこの、一度だけアムロの母が出てくる第13話を数えてないことも多いのですが、回想シーンとはいえ、姿も声も出てきます。ちょっと残念です。ただ、エンディング曲のときの『声の出演者』紹介にはちゃんと出てきます。よかったね、テム。

この回想シーン、実はけっこう大事で、このときまでアムロとテムは母さんと一緒に地球にいて、これが母さんとの最後の思い出だってことが示されます。直接サイド7に向かったかは不明ですが、アムロ、けっこう幼いです。回想シーンではアムロはしゃべらないので、声変わりもしてない可能性があります。

*2026.4.19.追加文
上の見出し画像中央のものから、この時アムロの身長はテムさんの半分くらい。100cmと考えても5歳くらいとなります。この回の冒頭でミライさんが「アムロはお母さんとほとんど一緒に暮らしてない」と言ってますし、近寄ってアムロの頬にキスをする母も跪くくらいの姿勢になってますので、10年くらいは母に会ってないことになります。
そしてこの10年前に当たる、宇宙世紀0069の夏、サイド3がジオン共和国として地球連邦政府から独立宣言をしています。
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第1話冒頭ではアムロはサイド7に住んでて、テム氏はホワイトベースで地球からやってきます。ホワイトベース自体は地球で作られたことになってるので、ということは、テムさんはサイド7にアムロと移り住んだあともう一度、今度は一人で地球に戻ったことになります。

最低回数の往復として、アムロとサイド7に行く前の段階ですでにホワイトベースを作っていて(戦争が無くても戦艦を作ったりはします)、移り住んだサイド7でガンダムなどのモビルスーツを作った、となります。
(*2026.4.19.追加)と思ってたんですけど、ホワイトベースがそんなに前から作られてたってことはないので、このことからも、テムさんはホワイトベース自体の開発には、関わってないと思われます。

で、今回はホワイトベースにガンダムを乗せるために戻ってるので、すでに戦争も激化中だったからか危険なためアムロを置いて一人で戻った、ということでしょう(実際航行中にシャアに後をつけられます)。わざわざテムさんが地球まで行く必要があったかは謎ですが、テムさんがホワイトベースの開発に関わってないとしたら、このタイミングで地球に行かなきゃいけない理由も特にない気がするので、何か最終調整があったのでしょう。
(*2026.4.19.追加)このあたりの書き方も、いろいろ調整が必要になってくるかなとは思います。他のページ含め、後日調整したいと思います。

このとき彼は、地球で自分の家にも戻ったでしょうか。

ひょっとしたら戻ってないかもしれない、と、私は思っています。

回想シーンのテムさん、奥さんには、「アムロにサイドの建設を見せたい」という言い方をしていて、ひょっとしたら自分のやっている本当のプロジェクトのことや、戦艦やモビルスーツを作ってることは奥さんにも言ってなかったのかもです。そのくらい極秘だった。となるとあれやこれやの事情ももちろん彼女は知る由もありません。ということは、もし再会したとして、またすぐサイド7に戻るってなったとき、やっぱりあたしも連れてってって言われたら、今度は彼女をホワイトベースに乗せることになる。それはちょっとややこしいし、そもそもマジで危ない。

なので、今回こそ奥さんには徹底的に事情を話していないでしょう。

アムロが母親に再会したときも、そういう雰囲気は察したと思います。ああ、母さんも教えてもらってないんだって。

知ってたら大変です。彼女はガンダム開発者の妻ってことになります。それもそれで扱いがめんどくさい。ボランティアなんてやっていられるわけがない。

彼女が住んでた家だって、テム博士の家でもあったはずです。知れ渡ってる話なら、誰もいないからと言って味方のただの見回り兵が上がり込んでどんちゃん騒ぎなんてやってるわけがない。軍法会議ものです。

そして、ここがアムロの一番つらいところ、彼は結局、母親にも、自分の働きを褒めてももらえず、労ってももらえないのでした。これはキツイです。よく頑張ったねって、無条件で言ってもらえない。いつでもお前の味方だよとは言えてもらえない。だめだこりゃってアムロの方から烙印を押されます。

母親は、ボランティアをやってるってことは、戦争には中立の立場での人生を送っています。こういうことは戦争だから急に変わることではなく、元から多少なりともそういう考え方のある人だったと思います。今現在のアムロとの会話も、そこでちぐはぐになっていきます。あの頃、だんなの仕事も少なからず軍の依頼によるものがあったりするのも(またはそうなっていってしまったのも)薄々感づいていたとしたら、彼と(というより彼の仕事と)距離を置きたいと思ってしまったことも気持ちを察することはできます。

それに、だんなの宇宙行きを『転勤』と言われていたか、単なる『長期出張』の類とされていたかも、ここでは分かりません。何より、父親の単身赴任はよくある話ですが、子どもが父の転勤に付いていくのに母親は付いていかないというのはなかなかありません。テムは妻と子には実際に仕事先に言われた日数よりは短めに伝えたかとは思いますが、おそらくそのテム氏にすらいろいろと想定外の事態になっていってしまいます。あの時もし、もう少しでも母親が事情を知っていたら、そんなにすぐに帰ってこられるわけではないかもしれないと気付けていたら、母はアムロをもっと強く引き留めたかったでしょう。

アムロが軍の服を着てコアファイターで会いに行ってるのもポイントです。距離にも寄るとは思いますが、普段着で、車で行っていたら。武器や無線も持たずに完全なオフの状態で行っていたら。制服着用はブライトの指示だったかは分かりませんが、アムロとしても自分の、少しは一人前になった姿を見てほしいという思いもあったでしょう。でも母は違った。その一人前を望んでなかった。違ったけど、アムロがその服を着ている以上、戦時中なので引き留めるわけにもいかない。葛藤のカオス状態です。

さらにアムロは、この時初めて人に向けて発砲します。ガンダムでモビルスーツのコクピットはサーベルで狙えても、人に向かってビームライフルを撃つことは正気ではできなかった彼が、自分や母に危険が及んだことから発砲した。撃った後も手が硬直して銃が離れません。敵兵がまだ生きていたのはおそらく急所を外して撃ったからでしょう。他の誰にもケガさせてないし、室内の何かを壊してもいなさそうで、めちゃめちゃうまいです。逃げる兵にも当ててません。なのに母には、そういう一切は分かってもらえない。じゃあどうすればよかったのか、と。

それでもアムロは、近くのジオンの基地をガンダムで徹底的に叩いて(これはできる)、母親に少しでも安全に暮らしてもらいたいという、今の彼なりの母への愛と誠意を見せます。すごい。ブライトも、軍人としては認められない行為でも、アムロに対しては母親の前で「目覚ましい活躍」だったと言ってやります。

その言葉に微かに反応するアムロ。ここがアムロには決定的なところだったかもしれない。結局母親には褒めてもらえなかった。でもブライトさんは違った。

そして母に別れを告げます。「これからも、お達者で。お母さん。」

ブライト、心の中でガッツポーズです。おめでとう!あんなところでよく「どうするアムロ君」なんて言えてます。すごい『人たらし』です。ここでアムロに決めさせたブライト、これもマジですごい。

残されたアムロの母。崩れ落ちる彼女をそっと振り返るフラウ・ボゥも印象的です。彼女の母親はもうこの世にいません。自分だって母親に再会したい。せっかく彼女は再会できたのにこんなことになって…。複雑な心情をセリフ無しで描き切っているところにも、このアニメの良さがあります。

映画化の際、アムロの母にカマリアと名前が付けられ(元々小説版にはあったらしいです)、声も倍賞千恵子さんになって一層印象的なシーンになります。しかも倍賞さんがうまいのは、テレビシリーズで熱演した沢田敏子さんの作り上げた下地もしっかり残して、その上でもう一つ熱を加える演じ方をしてくれてます。このシリーズがアムロの成長を描く側面を強くしていったのは、この回のすばらしさにもあると思います。

ホワイトベースに戻っていくアムロ。この艦もガンダムも、父が携わったもの。おそらく母は知る由もありませんが。そこに彼は戻っていきます。テム、よかったね。第1話でブライトも見た、艦内のテムの机に飾られたアムロの写真、あれはその年恰好から明らかに、母親の元を離れたときよりもあとに撮られたもの。子煩悩なお父さんです。あの写真をもし、ホワイトベースの中でアムロが見つけるようなことがあったら、彼はそれを母に見せたいと思ったでしょうか。父さん、けっこう優しくしてくれてたよ、と、思い出話のタネの一つには、できたかもしれません。

SCENE 8

『テムよ…』ファーストガンダム半スピンオフ作戦

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