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"サイド6にひとりで" ファーストガンダム半スピンオフ作戦『テムよ…』 SCENE 12

テム氏はどうやってサイド6にたどり着いたのか、これも、決定的には語られてはいません。

ひとまず無事に暮らせてはいるようなので、この感じでいくと、あのときのあのまま宇宙をさまよって、ただただサイド6に漂着したとは考えにくい。だいたい宇宙服だけで宇宙に投げ出されてそのまま生きてるなんて、数時間がいいところのはずです。

それに、ザクのエンジンが大破した場合の爆風がどの程度の風速か分かりませんが、その勢いをもろに受けて宇宙に投げ出されたとしたら、彼はその速さのまま宇宙空間を移動しつづけることになってしまいます。

途中にちょっとでも障害物があったら大変です。ひとたまりもありません。

なので、希望的観測すぎると言われるかもしれませんが、かなり早期に、連邦軍によって保護された、と見るのが無難なところだと思いたい。前にも書きましたが、宇宙服着てますから、位置情報の発信機能とかはあるでしょう。さらに、着ている人間が誰なのかの情報も、記載があるとかどこかにインプットしてあるとかのはずです。

…ところで、ここで実は、重大な『過ち』を犯したかもしれない人がいます。

。。。。

テムさんとお付きの人は、ジーンのザクの爆風で吹き飛ばされました。

ジーンのザクが大破したという情報は、おそらくシャアが乗る戦艦ファルメルにも届いているはず。

万が一、億が一でも、部下の安否を気遣う指揮官であったら、実際見に行かないまでも、サイド7に突如として空いた巨大な穴に、もう少し注目しててもよかったのではないか。

そうしたら、そこを飛んで出てきた、宇宙服を着た人間2名に気づけたかもしれない。

あきらかに、連邦軍の宇宙服を着ている人間です。民間人ではないことくらい、今入っていった戦艦の関係者かもしれないことくらい、シャアでなくても余裕で推測できそうです。

このとき、宇宙に投げ出されたテムさんとお付きの人が、超早期の段階でシャアに捕らえられていなかったことは、シャアとしては若さゆえとか言ってられない重度の過ちであり、この物語にとっては特大のファインプレーってことになります。

部下は大事にしよう。

。。。。

さて、そんなわけで無事地球連邦に保護されたであろうテム・レイ大尉ではありましたが、ある程度の時間は宇宙を彷徨ってしまったための酸素欠乏症、または爆風をもろに受けた衝撃で受けた脳障害、いずれにせよ職務的に重大な疾患を患ってしまい、技術士官として以前のような活躍は期待できない状態になってしまいました。

しかし、あのガンダムを開発した人物です。あーもうだめだね、で、放っておくってことは考えにくい。なんといっても体は元気です。連邦軍のためにも、回復してくれればそれに越したことはありません。治療なり何なり、それなりの措置は試みられていてもおかしくありません。

ただ難しいのは、ホワイトベース及びガンダムは、今や参謀本部ではやっかいものと考えられており、この時期は囮専門となってしまってます。

こうなると、ある日テム氏が回復したとして、いったい彼に何をやってもらえばいいのか。

ということは、ひとまずこのまま静かに、戦争とは少し距離を置いて、ひっそりと暮らしていてもらった方がいいのではないか。症状の出具合からしても、ある程度監視はつけた上で、彼には自由を与えてみてもよいのではないか。彼が興味を持ちそうなものを周りに与えておいて。それで、ある日自然と、徐々に回復していくということも大いに考えられます。治療とはいっても余分を回すほど連邦軍も楽ではないので、あまり大きなことはできません。

もし完全に身寄りのない人間になってるとしたら、いくら平和なサイド6とは言え、住み込みなんてさせてもらってるってこと自体ちょっと考えにくい。昭和人情ドラマ級です。

廃工場に勝手に住み着いてたとしても、食事はどうしてたのか。一応こざっぱりした身なりのテムさんでもあります。血色もいいし、風呂にも定期的には入ってそうな感じです。無精ひげもありません。また、この後出てきますが、この部屋はテレビも見れるので、電気も通っていて、電気代が支払われています。

脳の疾患自体は、実はそこまで深刻ではなく、要支援とかではあるかもしれないけど、通常の暮らしはまあまあできる状態ではあるっぽいかなって思います。ホントの酸素欠乏症なら、一人暮らしなんて危険です。ただやっぱり、技術士官としては無理。なので、疾患はありつつも、自分の今の状態がアムロの父親としてふさわしくないことに、自分でもなんとなく気づいてしまっているってことは、あり得ます。

なので、いきなりガンダムの話しかしないとか、妙な回路を押し付けるとか、母さんの話にも反応が薄いとか、これら全て、『彼の茶番劇』だった可能性もあります。

こうなると、実は、本屋から出てきた段階で、アムロにもう気づいていた可能性だってあります。

今の自分が彼に会っても、語れることは何もない。私にはかまわないでほしい。気づかないふりをしてさっさとバスに乗ってしまおう。絶対外を見ないぞ。今買った本を読んでるふりしていれば大丈夫。どこまでついてくるんだよ。あいつあんなに足速かったか?軍の服着てるけど、どんな部署やってんだ。私と同じ分野なら、あんなに走ったりとかしないはずだが…。

で、結局、バスを降りるところまで来て、つかまってしまった。さすがにもう気づかない訳にいきません。冷静を装い、なんとか言葉を発します。

「おぉ、アムロか。」

これだけできるってなると、普通に考えればけっこう軽症かなって思います。でも、この後彼がテレビでガンダムの活躍を見るシーンで、「あの回路のおかげだ!」という"独り言"を言っていて、独り言っていうのはだいたい、『ほんとに思ってること』を言ってますから、やっぱそれなりに重症です。

SCENE 13

『テムよ…』ファーストガンダム半スピンオフ作戦

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