日経平均急落と超長期国債利回り急上昇の背景
2025年11月18日の日本のマーケットでは、日経平均株価が一時3%以上急落し、全面安の展開となりました。債券市場でも10年国債の利回りが1.75%まで上昇し、超長期債を中心に下落が進むという展開になりました。この記事では一体何が起きたのか、特に債券市場を中心に現在の状況について説明します。
日本市場で起きた急落と債券売りの背景
日本の10年国債の利回りは0.02%ほど上昇して1.75%、20年国債の利回りは0.05%上昇して2.795%、30年国債の利回りは0.065%上昇して3.32%となっています。

10年債より20年債、20年債より30年債の利回りが大きく上昇していて、イールドカーブがスティープ化しています。10年債と30年債の利回り差は1.57%になっていて、10月末の1.395%から0.175%拡大したことになります。
短期債が買われて長期債が売られる「ツイストスティープ」と呼ばれるイールドカーブの変化が起きています。

経済対策の不透明感と長期金利の上昇
では、なぜこんなに20年債・30年債の利回りが上昇しているのでしょうか。
高市政権の経済対策に対する不透明感があるということでしょう。経済対策は景気を良くするために行うものですが、規模が大きくなるとインフレを招く可能性が高まり、インフレ期待の上昇は長期債の利回り上昇要因になります。このため超長期債が売られる動きにつながっていると見られています。
20年債入札を控えた売りと生命保険会社の動向
もう一つ超長期債が売られやすくなった材料として、20年債入札があります。新発債を購入する投資家の中には、入札に備えて既発債を売却しポジションを軽くしておくという投資家も多いため、入札前は売りが出やすい傾向があります。今回は経済対策が不透明な中での20年債入札となることから、普段より慎重に挑む投資家が多く、入札結果が弱いものになるのではないかという見方もあり、これも売られる背景となりました。
20年債の利回り水準としては、すでに1999年以来およそ26年ぶりの高水準となっていて、本来なら利回りの高さだけで見れば一定の需要があってもおかしくない状況です。ただし今回の入札で需要が期待できない可能性があるのは、主要な超長期国債の買い手だった生命保険会社が購入に消極的になっていることが背景にあります。
超長期債のニーズが完全に消失したわけではありません。財務省としても、発行方針を頻繁に変更することは望まないでしょう。したがって、需給バランスに配慮した形で、慎重な調整が行われると見られています。
株式市場の大幅下落が債券市場にも影響
さらに債券相場にネガティブな影響を与えたとみられるのが株式市場の大幅下落です。通常であれば株価が下落すると景気悪化の懸念から金利は低下しやすくなると言われますが、今回はAI関連銘柄中心の調整という側面が強く、中央銀行の利下げ観測などにはほとんど影響が出ていません。むしろ株価下落を受けたポートフォリオのリバランスが債券売りに繋がった可能性があります。
メタとオラクルは40年債、アルファベットはなんと50年債を発行しました。正直に言えば、「メタが40年後も大丈夫なのか」、「アルファベットは50年後も安泰なのか」と聞かれると、誰も確信を持って答えられないはずです。
株価がずっと上昇していた局面では、株式比率が高まってしまう中で株売り・債券買いのリバランスが続いていましたが、株価が下落に転じると逆に債券売り・株買いのリバランスが必要になります。今回の債券安の背景にはこの要因も働いたと考えられるでしょう。ただし株式市場がさらに大きく下落して景気後退懸念が強まる段階になれば、むしろ債券買い要因になる可能性もあるため、今回の動きがずっと続くとは限りません。
世界的な債券安の流れの中にある日本
ここまで日本の債券市場の話を中心にしてきましたが、今の長期・超長期の利回り上昇は日本だけで起きているわけではなく、世界的なトレンドになっています。
イギリスでは所得税増税撤回で財政悪化懸念が強まり国債が売られ、韓国でも予算拡大で国債利回りが急上昇しています。フランスは年金改革を諦め財政赤字拡大傾向、アメリカは関税収入の押し上げによって足元では財政状況は改善傾向ですが、トランプ大統領が1人当たり2,000ドル給付を言い出していることもあって、アメリカも財政悪化が懸念されるような状況になれば、この世界的なトレンドはさらに強まる可能性もあります。
今の日本の債券相場で起きている利回り上昇は、日本一国だけを見ていても全体像がつかみにくく、各国の財政とマーケットの動向が複雑に絡む相場になってきていると言えるでしょう。イギリスでも11月26日に予算計画が発表される予定で、国債相場はまだ不安定な動きが続く可能性があります。また日銀の政策についてもマーケットの動きと相互に影響し合う局面は増えてくるでしょう。
今後の見通しと注目ポイント
AI相場の行方は私の家庭でも注目しているイベントでもあり、今後の動き次第では家族でAIを巡る社会の未来について議論してみたいと考えています。またハイテク株の動きと合わせて、ビットコインなどの暗号資産の動向、ETFからの資金流出なども注目になりそうです。
今後も動きがありましたら随時お伝えしていきたいと思います。今後ともよろしくお願いいたします。
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