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日本の超長期国債の利回り上昇要因3つの整理


 最近、日本の国債利回りが上昇していますが、特に10年よりも長い期間の超長期国債の利回りが大きく上昇していることが注目されています。中でも40年国債の利回りは、3月に入って一時3%まで上昇し、過去最高を更新しました。
 なぜ今、超長期国債が売られているのでしょうか。その背景にはいくつかの要因が考えられます。さらに、石破政権の支持率低下も影響しているとの見方もあります。この記事では、日本の超長期国債の利回り上昇について詳しく解説します。

超長期国債の特徴と価格変動

 一般の方が超長期国債に注目することはあまり多くないかもしれません。しかし、超長期国債は利回りが動くと価格が大きく変動する特徴があります。特に40年国債ともなると、日々の株価以上に価格が大きく動くこともあるのです。

2020年発行の40年国債

 2020年のマイナス金利時代に発行された40年国債の中には、クーポンレート(利率)が0.5%の銘柄があります。現在、この債券の価格は発行時の半分程度にまで下がっています。たとえば、発行時に100だった価格が、今では50〜51になっています。
 この債券を購入した機関投資家は、現在大きな含み損を抱えている状況です。日本の長期金利上昇により、超長期国債の価格が大幅に下落している現状が浮き彫りになっています。

超長期国債の利回り上昇の要因

 では、なぜ超長期国債の利回りが急上昇しているのでしょうか。主に3つの要因が考えられます。

要因① 国内機関投資家の損出し

 生命保険会社をはじめとする国内機関投資家は、含み損を抱えた国債をなるべく売りたくないと考えています。しかし、年度内に売却して損失を計上すれば、他の利益と相殺することが可能になります。そのため、一部の国債を売却する動きがあります。
 今年度は、政策保有株の売却益を得た企業が多いはずです。これらの企業は、有価証券の売却益と超長期国債の売却損を相殺する形で決算を調整しようとしている可能性があります。こうした動きが、3月末にかけて超長期国債の利回りを押し上げる要因なっていると考えられます。

日本の機関投資家特有の動き
 3月末に決算を迎える日本の機関投資家の中には、海外投資家とは異なる動きをしているところもあります。特に、債券の損失確定と株の利益確定を組み合わせた売買を行っている可能性があります。

下落局面での機関投資家の戦略と日本特有の動き

要因② 防衛費拡大観測

 日本は今後、防衛費を拡大せざるを得ない状況になっています。その財源として、国債発行が増える可能性があるため、市場では超長期国債の需給悪化が懸念されています。
 特に、アメリカのトランプ政権が同盟国に対し、「アメリカに頼らず各国が防衛力を強化すべき」と求めていることが影響し、世界的に防衛費の拡大観測が高まっています。これに伴い、防衛関連株が上昇するなど、市場全体でこの動きが意識されています。

防衛費増加の影響
 おそらく、欧州だけでなく、日本の防衛費増額の懸念も影響しているでしょう。実際に株式市場では防衛関連銘柄が上昇しており、この動きは日本だけでなく、他の国のマーケットにも見られました。

市場の混乱と利回り上昇に見る世界の防衛費問題

 日本がどの程度防衛費を増額し、その財源としてどれだけの国債を発行するのかはまだ明確ではありません。しかし、市場の警戒感は強く、超長期国債の売り圧力につながっている可能性があります。

要因③ 石破政権の支持率

 最近、石破政権の支持率が低下しており、これが超長期国債の売り要因になっている可能性があります。市場は、石破首相が退陣に追い込まれた場合、次の首相が「高市氏」になる可能性を意識しています。

 高市氏が首相になると、なぜ長期国債が売られるのでしょうか。

 それは、高市氏が積極的な金融緩和を主張しており、日銀が利上げしづらくなる可能性があるためです。金融緩和が継続すれば、期待インフレ率が上昇しやすくなります。期待インフレ率の上昇は、イールドカーブ(利回り曲線)の傾きを急にする要因となり、長期国債の利回りが上昇することにつながります。
 また、高市氏は積極財政派と見られており、大規模な財政出動が行われる可能性があります。このため、石破政権の支持率が低下するほど、長期国債が売られやすくなる状況が続いています。

参議院議員選挙を見据えた政策転換
 しかし、石破首相の支持率はすでに非常に低い水準になっており、このままでは来年の夏の参議院議員選挙も厳しい結果になるでしょう。そのため、石破首相は緊縮財政や金融政策の正常化を再び封印し、ばらまき傾向になる可能性があります。

選挙結果がマーケットへ与える影響の考察

日本経済の現状と財政政策の必要性

 超長期国債の利回りが上昇する中で、日本経済は物価上昇に賃金の伸びが追いつかないという問題に直面しています。現在、エンゲル係数(支出に占める食費の割合)は40年以上前の水準に戻りつつあるといわれています。これは、国民生活が厳しくなっていることを示しています。
 このような状況では、財政を活用して経済を支えるべきだという考えもあります。もちろん、「無駄な支出を増やせばよい」というわけではありませんが、

  • 将来の成長につながる投資

  • 減税などを通じた国民生活の支援

こうした政策を適切に組み合わせることが重要だと考えられます。

「ばらまき」と「成長」の線引き
 政府の財政支出について「ばらまき」という言葉が使われることがあります。これは、政府の支出が無駄遣いであると批判する際に使われる表現ですが、何をもって無駄遣いとするのか、その判断は難しい問題です。

経済成長と財政支出、サイクルとしての景気悪化

まとめと今後の見通し

超長期国債の利回りが上昇している要因として、

 要因① 国内機関投資家の損出し
 要因② 防衛費拡大観測
 要因③ 石破政権の支持率

この3つが考えられます。このうち、要因①(決算期の影響)は4月に入ると一時的に落ち着く可能性がありますが、要因②(防衛費拡大)や要因③(政治リスク)の影響は4月以降も続く可能性があります。
 今後も超長期国債の動向には注目が必要です。動きがあれば、またアップデートしていきたいと思います。引き続きよろしくお願いいたします。


ご参考

 安倍元首相は「日銀は政府の子会社である。」と述べ、石破首相は「日銀は政府の子会社ではない。独自の判断ある。」と述べています。安倍元首相が発言した際は、当時の財務大臣がわざわざ「日銀は政府の子会社には当たらない。」と述べるなど、この議論は今以上に盛り上がりました。

法令に見る日銀と政府の関係

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