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市場の混乱と利回り上昇に見る世界の防衛費問題


 2025年3月6日、日本時間の夕方、欧州時間の朝において、欧州市場ではドイツの10年国債利回りが0.3%上昇しました。1日での上昇幅としては35年ぶりの大きさであり、国債が急落したと言える状況です。この要因として、ウクライナ情勢を受けてドイツ政府が「債務ブレーキ」を見直し、今後財政拡張を進める方針を打ち出したことが挙げられます。

 この流れを受けて、日本の10年国債利回りも上昇し、16年ぶりに1.5%を超えました。一方で、アメリカでは関税引き上げの影響が懸念される中、景気減速が意識される展開となっています。今週は非常に激動の1週間でした。そこで今回は、マーケットを振り返りながら、私が感じたことを記載したいと思います。

ドイツの金利上昇の背景とEUへの影響

 ドイツの金利上昇の要因である「債務ブレーキ」の改革。ドイツが財政拡大を進めることで、金利が上昇し、インフラ投資などの影響でドイツ経済にはプラスに働くと考えられます。その結果、ユーロも買われる展開となりました。短期的にはこのような動きになると思われますが、長期的に見れば必ずしもユーロやEUにとってプラスとは言えないと私は考えています。

欧州各国の防衛費問題

 その理由として、現在の市場の動きはウクライナ戦争の行方に大きく左右されるものの、ウクライナ戦争がどうなったとしても、今後欧州各国の防衛費が増大するのはほぼ間違いありません。
 
各国が財政的に厳しい中で防衛費の増額を余儀なくされることになれば、「なぜ他国のために高い税金を払わなければならないのか」という不満が各国で高まり、結果として自国第一主義の政党が勢力を拡大する可能性が高まります。これにより、EUに懐疑的な勢力が台頭し、EU全体にとって厳しい状況が続く可能性が高いと考えられます。

EUの足並み

 現在、欧州は「アメリカが支援しないのであれば、欧州でウクライナをサポートしよう」という形で結束しているように見えますが、実際には欧州は決して一枚岩ではありません。例えば、フランスのマクロン大統領は積極的に動いていますが、財政的に余裕のない国々も多く、それぞれの国内事情に追われているのが実情です。

政治的な側面もあります。昨年の選挙では、「極右政党」とされる国民連合(RN)の勢力拡大が注目されました。不法移民が国内で問題を起こし逮捕されるたびに、国民連合の支持率が高まっています。

フランスの移民問題と出生地主義の見直しの議論

 そのため、今後欧州各国の負担が増える中で、EUの足並みが乱れる可能性は非常に高いでしょう。長期的に見れば、欧州はますます不安定になるのではないかと私は考えています。マーケットは目先の動きに振らされがちですが、長期的な視点で考えることも重要です。

日本の金利上昇要因

 ドイツの長期金利の大幅上昇を受け、日本の長期金利も3月6日に大きく上昇し、日本の10年国債利回りが16年ぶりに1.5%を超えました。今年に入ってから金利は上昇を続けており、1.5%という水準も大きな節目とはならず、あっさりと突破しました。欧州の金利が上昇すれば、日銀にとって利上げがしやすい環境が整うという見方もありますが、日本の金利上昇の要因はそれだけではありません。

防衛費増加の影響

 おそらく、欧州だけでなく、日本の防衛費増額の懸念も影響しているでしょう。実際に株式市場では防衛関連銘柄が上昇しており、この動きは日本だけでなく、他の国のマーケットにも見られました。つまり、これまでアメリカのサポートを受けていた国々が、アメリカの支援縮小を見据えて防衛費を増額することを市場が織り込んでいるという状況です。

アメリカの金利動向

 債券市場では、欧州や日本の金利が上昇する一方で、アメリカの金利は低下傾向にあります。今年1月中旬に4.8%まで上昇していたアメリカの10年国債利回りは、3月に入って4.1%台まで低下しました。ドイツの10年国債利回りは1月初めに2.3%台だったものが現在2.8%程度に上昇しており、日本の金利も1.1%から1.5%に上昇しているのと対照的です。

アメリカの景気動向

 アメリカの金利が低下している要因として、防衛費負担の減少とともに、景気動向が挙げられます。アメリカでは、関税の影響や公務員の大量解雇により、景気に下押し圧力がかかる可能性が高まっています。財政の厳しさから無駄を省くこと自体は悪いことではありませんが、短期的には失業者が増え、景気にマイナスの影響を与えるでしょう。

マーケットの動き

 現在のマーケットは政治要因により大きく変動しており、状況が急変する可能性があります。そのため、決め打ちせず、慎重に見極めることが重要です。来週以降も、最新の情報を整理しながら、情報を発信していきますので、今後ともよろしくお願いいたします。


ご参考

問題の本質と今後の展望
 これらの動きから見えてくるのは、EU内での銀行再編におけるフランスとドイツの影響力の強さです。フランスとドイツは、EUの中心的な役割を果たしながら、自国の銀行や経済への影響を最小限に抑えつつ、他国の銀行が影響力を拡大することを避けたいという意図が透けて見えます。

欧州の銀行再編問題とフランスとドイツの思惑

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