哲学対話書簡 「友だちは、たくさんいた方がいいのか①」
言葉が見つからなくも、考えがまとまらなくても、意見が変わってもいい。
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これ以上に自信をもって言えることが他にない。
僕は友達を作るのが下手だ。
憧れていた。
大勢の友達に囲まれる。
週末は予定がいっぱいで、飲み会にひっきりなしに誘われる。
話の中心にいてバカ笑いをする。
そんな友達がいる。
高校生の時、それなりに友達はいた。
いつも一緒にいるグループの一人は、後輩からキャーキャー言われるような存在だった。つねに一緒だった。
別々の大学に進み次第に疎遠になる。
そんな話はよくある。
違うグループにそいつはいた。
そいつは先輩からキャーキャー言われるような存在だった。教室の中ではつねに大勢の中心にいた。イケメンは大抵の場合、性格がいい。誰とでも仲がいい。
進学した大学には、同じ高校からはほかに二人だけだった。
特に話したこともない。学部も違う。同じだったとしても高校が一緒だったという共通点しかない。
また一からの友達づくりが始まる。
だから環境が変わるのが嫌いなんだ。
大学では、いつの間にかあだ名で呼ばれるようになっていた。本気で笑っていたかと聞かれたら、否定するしかない。
そんな時、高校時代に違うグループにいた、そいつから連絡がきた。
「家に行ってもいいか」
夜になり、チャイムが鳴る。
扉を開けると神妙な顔の、そいつが立っている。
とにかく部屋に入ってもらい、待っているとそいつが話し出す。
高校時代からは想像もつかない顔で話す内容は、苦しい相談だった。
話し終えて少しすっきりした表情で、そいつは言う。
「お前だったらびっくりしないで最後まで聞いてくれると思って」
びっくりしていた。最後まで聞いていただけだった。
大学では、それなりに楽しくやっていた。
同じ研究室のメンバーは仲が良く、卒業後も連絡を取り合って旅行に行っていた。参加したことはない。タイミングが合わずに3回断ったら、4回目は誘われなくなった。
社会人になって、もうずいぶん経つ。
4月。悩み相談にきたそいつから連絡が来た。
「大学院に行くことにしたぞ」
やりたいことがある。だから、勉強する。試験対策が大変だった。
そんなやり取りをしてから、もう3か月経った。
次に連絡が来るのは卒業する時かもしれない。何かあったら連絡が来るし、するだろう。
友達がたくさんいたことがないから、わからない。
楽しいのかもしれない。
わいわいみんなで騒いで、笑って、そして寂しいのかもしれない。
