【疫学専門家監修】因果推論をゼロから学べる解説記事まとめ
「因果推論を勉強したいけど、何から学べばいいの?」
「専門書を買ってみたけど、数式や専門用語で挫折した」
「傾向スコア、IPW…論文でよく見かける手法をきちんと理解したい」
近年、医学研究においても注目されている「因果推論(Causal Inference)」。いざ、「学んでみよう」と思ってもハードルが高く感じたり、実際に学んでみたものの途中で挫折してしまった、という方も多いのではないでしょうか?
そこで本記事では、はじめて学ぶ方でも因果推論の基本を理解できるように、疫学専門家監修のもとで累計会員数1,900名を超える医学研究オンラインスクール mJOHNSNOWの専門家フェローが執筆した因果推論の解説記事をテーマ別にまとめました。
どの解説記事も、難しい数式を用いずに、イラストや具体例をたっぷりと交えながら「日本で一番やさしい因果推論解説」を目指して編集しています。
一つひとつ読み進めるうちに、きっと「因果推論、わかってきたかも」と感じていただけるはずです。
「因果」と「関連」の違いとは
まずは「因果」とは何か、そして「関連」との違いを明確に理解することが、因果推論を学ぶための出発点になります。
最初は「アイスクリームの売り上げが増えると、熱中症になる人も増える?」といった簡単な例え話から、「因果」と「関連」の違いについて理解を深めていきましょう。
「個人因果効果」と「平均因果効果」を理解する
個人因果効果とは、ある患者さんが「もしも、風邪薬を飲んだ場合」と「もしも、風邪薬を飲まなかった場合」という2つの“もしも”を比べたときの差のこと。
しかし、実際には「薬を飲むか・飲まないか」のどちらか一方しか観察するはできません。つまり、現実的な問題として個人因果効果を調べることは不可能なのです。
因果推論では、この問題を「平均因果効果」というアイデアで巧みに解決します。
因果推論の「識別3条件」
観察データから因果効果を正しく推定する(識別する)ためには、満たしておくべき大切な前提条件があります。
それが「識別3条件(Exchangeability・Consistency・Positivity)」 です。
少し難しそうに聞こえるかもしれませんが、この3つを押さえるだけで、因果推論の考え方がぐっと整理され、これまで難しく感じられていた論文の読み方や解析手法の意味を、自然と理解できるようになるはずです。
Exchangeability(交換可能性)
Exchangeability(交換可能性)とは、「治療を受けた群」と「受けなかった群」が、治療以外の要因(年齢、性別、併存疾患、、、)が同じ条件で比較できる状態のことを指します。
ランダム化比較試験(RCT)は、このExchangeability を実現するための最も強力な研究デザインともいえます。
Exchangeabilityを理解すると、医学研究の様々な分析手法(例えば傾向スコアなど)が「つまりは、Exchangeabilityを実現するための工夫だったのか」と腑に落ち、医学研究の見え方がガラリと変わるはずです。
Consistency(一致性)
Consistency(一致性)とは、「実際にAを受けた時の結果」と「“もしも”治療Aを受けた時の結果(= 反事実アウトカム)」とが一致することをいいます。
この説明だけを聞いても「いったいどういう意味…?」と戸惑われるかもしれませんが、この仮定が成り立つことで、現実で観測されたデータに基づいて、より厳密な因果推論を実現することができます。
身近な例え話を用いながら、Consistencyの考え方をゼロから理解していきましょう。
Positivity(正値性)
Positivity(正値性)は、「どの条件をもつ個人においても、ある処置を受ける確率がゼロでない」という仮定のことです。
例えば、とある薬剤の効果検証をするときに、「薬を飲む人」も「薬を飲まない人」もきちんと存在していることが、Positivityが保たれた状況といえます。「そんなこと当たり前じゃないか!」と感じてしまいますよね?
ところが、実は観察研究においてはPositivityが保証されない状況が十分に起こり得るため、よく注意しなければなりません。それでは、どのような状況においてPositivityが違反されてしまうのか、具体例を用いて解説していきましょう。
DAG(有向非巡回グラフ)
DAG(Directed Acyclic Graph:有向非巡回グラフ)とは、変数同士の関係を矢印で表した図のことです。

因果関係を文章だけで考えると複雑になりがちですが、DAGを使えば「何が原因で、何が結果か」「どの要因が交絡しているか」をひと目で整理することができます。
因果推論の必須ツールとも言えるDAGについて、基礎から応用まで、2記事にわたって丁寧に解説しています。
因果推論の結果を歪めるバイアスの問題
因果推論によって「治療や介入による効果」を調べるとき、患者背景の違いや対象者の偏り(例:年齢や性別など)、対象者の選び方など、様々な要因によって、因果推論の結果が歪められてしまう現象を「バイアス」といいます。
ここからは因果推論において特に重要な三つのバイアス(交絡、選択バイアス、測定バイアス)の解説記事をご紹介します。
交絡(Confounding)
交絡(Confounding)とは、「治療の受けやすさ」と「結果」の両方に関係する別の要因(年齢・重症度・生活習慣など)によって、因果推論の結果が歪んでしまう現象です。
たとえば、ある治療の効果を調べるとき、「治療を受けなかった人たち」よりも、「治療を受けた人たち」に重症な患者さんが多かったとしましょう。このとき、「患者さんの重症度」は「治療の受けやすさ」にも「死亡率」にも影響する「交絡因子」と言えます。
そして、「治療を受けた人たちの方が、死亡率が高い」という結果が得られたとき、治療を受けたせいなのか、重症な患者さんが多かったからなのかは、はっきりとわかりませんよね?このようにして、交絡によって因果推論の結果が歪められてしまうのです。
因果推論の最重要課題とも言える交絡について、この解説記事で詳しく学んでいきましょう。
選択バイアス(Selection bias)
選択バイアス(Selection bias)とは、研究に「含まれた人」と「含まれなかった人」が系統的に異なることで、結果が歪んでしまう現象です。
たとえば、健康に関するアンケート調査では、健康意識が高い人ほど積極的に回答し、関心の低い人ほど回答しないかもしれません。その結果、この調査結果は「健康的な人の意見」に偏ってしまいます。
このように、研究の過程で無意識のうちに「対象者を選んでしまう」ことで生じる選択バイアス。その仕組みと対策についてやさしく学んでいきましょう。
測定バイアス(Measurement bias)
測定バイアス(Measurement bias)とは、データの測定におけるズレ(測定誤差)によって、因果推論の結果が歪んでしまう現象のことです。
たとえば、薬を「飲んだ」と記録されていても実際は飲んでいなかったり、病気があるのに「異常なし」と診断されていたり。現実の医療データには、こうした誤りが少なからず含まれています。
どれだけ高度な統計解析を行っても、測定結果が間違っていれば正しい結果を導くことはできません。
本記事では、測定バイアスがなぜ起こるのか、どのように因果推論の結果を歪めるのかを、具体例と図を用いながらやさしく解説します。
交絡調整のキホンを学ぶ
ここからは、交絡調整の基本的な手法である「標準化」「逆確率重みづけ(IPW)」「傾向スコア」について、考え方のキホンからやさしく整理していきましょう。
標準化(Standardization)
標準化(Standardization)は、もっともシンプルな交絡調整の手法です。
たとえば、ある治療効果を調べたいとき、「重症度」が交絡因子であるとしましょう。この場合、標準化の流れは以下の様になります。
・まずは「重症な人」「重症でない人」に分け、
・続いてそれぞれのグループ内で治療効果を計算し、
・最後に「重症な人たち」「重症でない人たち」も含めた患者全体の治療効果を計算する
本記事では、標準化の仕組みやその限界についてイラストを用いてやさしく解説しています。
逆確率重みづけ(IPW)
こちらの記事では、逆確率重みづけ(IPW:Inverse Probability Weighting)についてやさしく解説しています。
見るからに難しい解析手法のように思えますが、意外にもその仕組みはシンプルで、簡単な「掛け算と割り算」だけで説明することができます。
何より、「逆確率」なるものを駆使して巧みに因果推論を実現しようとするロジックはとても面白く、きっと皆さんもIPWに「よくこんな手法思いつくなぁ」と感動するはずです。
傾向スコア(Propensity score)
傾向スコア(Propensity score)とは、「その人の治療の受けやすさ(治療を受ける“傾向”)を数値で表したものです。
たとえば、「高齢で重症な人」は治療を受けやすく、「若くて軽症な人」は治療を受けにくいですよね?この「治療の受けやすさ」を0〜1の数字にまとめたものが傾向スコアです。
本記事では、傾向スコアの基本的な考え方から「傾向スコアマッチンツ」や「IPW」といった具体的な分析手法まで、イラストを用いてやさしく解説していきます。
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