【子育てエッセイ】#1 ずっしりでギュッとした夜を
そろそろ5歳になる長女の “いっちゃん” と、
1歳も半ばにさしかかってきた次女の “つーちゃん” 。
週に数回、僕の夜は、このふたりの小さな女の子に占領されることになる。
僕が二人の寝かしつけを担当する夜、ママは残った家事を片付けてくれたり、リビングで自由時間を過ごしているので、寝室は僕と娘たちだけの時間だ。
寝室には、布団が3枚。
窓際の方から押入れ側に向かって、シングル・シングル・セミダブルの配置で、僕が窓際、押入れ側がママ、その間に子どもたち二人が寝る想定になっている。
けっこうなスペースを確保しているはずなんだけど、なぜだか僕たちはいつも、窓際の僕の布団にギュッと集まって寝始めることがほとんどだ。
つーちゃんは僕の胸の上にうつ伏せになって、まるで、トトロのお腹に抱きつくメイちゃんのように見事にピタッとくっついている。
小柄な方とはいえ、7キロを超える物体を抱え続けるのはやはりなかなかに大変で、“このまま寝たら絶対苦しいだろうな” とか思いつつ、しばらくそのままにしておく。
いっちゃんは、かろうじて下半身は自分の布団に入っているんだけれど、僕の枕を半分くらい占拠して、なんとも奇妙な斜めポジションで眠っている。
布団は3枚もあるのに、どうしてこうも端っこにギュッと集まっているのだろうか。
僕としては、もちろん広々とした布団で大の字になって眠りたい。
一日働いた疲れを、存分に癒したい。
“どうしたもんかな” と心の中でつぶやいてみたりもする。
でも、しばらくしてふと目をやると、すぐそばで眠る二人の寝顔が目に入る。
つーちゃんの寝息、いっちゃんの寝返りのたびに少しずつズレていく枕の位置。
いっちゃんのやわらかい髪、僕の胸の上で左右の半分だけつぶれているつーちゃんのほっぺた。
そんなものに触れていると、くたくたになった僕の心がじんわりとほぐれていく。
日中はいつもバタバタで、椅子の上によじ登って器用にティッシュを取り出しケラケラと笑ってみたかと思ったら、もう次の瞬間にはリビングのドアを開けて走り去ろうとしている、つーちゃん。
機嫌よく塗り絵をしているかと思ったら、少しはみ出てしまい、“あぁ〜、もうはみ出ちゃったよ〜〜” と、急に泣き出してしまう、いっちゃん。
そんなふうに賑やかな瞬間が、何度も何度も目の前に現れては翻弄され、一緒にいたら、始まりや終わりの意識できる時間なんてなかなかない。
夕方からの時間も気づいたら時間が過ぎていて、“早く寝るところまでたどり着かないと〜” とそわそわもしてしまうけれど、
ひとたびその騒がしさがおさまってしまうと、
“今日も一日、よくがんばったね”
“明日も楽しく過ごそうね”
そんな気持ちも自然と湧いてくる。
いつまでこんな夜が過ごせるだろう。
ぎゅうぎゅうに詰まっている夜。
いつか、それぞれが自分の布団で、好きなように眠る日が来るのだろう。
そうなれば、僕の身体はきっと楽になる。
でも、この “チグハグな幸せ” が崩れてしまう寂しさを、僕はたぶん知っている。
身体は疲れているのに、心は満たされている。
このバランスの悪さが、なんだか愛しい。
まだ来ていない “これから” に、少しのさみしさを感じながら、
今、この目の前の “ずっしりでギュッとした夜” を噛み締めていこう。
翌朝には、あの “ギュッとした” 時間がウソだったかのように、だいたい全員が散り散りになっているんだけれど。

↓約1ヶ月、noteでの投稿をやってきた振り返りをしてみました。
noteと自分なりに向き合っているけれど、ちょっと疲れを感じているなぁという方、ぜひ読んでみてください。
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