【韓国留学ゆるゆる일기⑪】日本食が食べたい。
京都在住のフリーライターのmicamuです。 推しができたことをきっかけに韓国語の勉強を始め、41歳で短期留学を決意。 2025年9月から約3ヶ月間、「崇実(スンシル)大学」の語学堂で過ごした日々を、ゆるゆると綴っていきます。 留学予定のある人も、韓国に興味がある人も、ただ読んでみたい人も、気軽に楽しんでいただけたら嬉しいです。
韓国に来てから1週間ほど、ほぼ毎日お腹を壊していた。韓国料理は好きだし、辛くて食べれないものはない。ただ、胃腸が刺激物に弱いのだ。しばらくは陀羅尼助(奈良の伝統薬)に頼る日々だったが徐々に慣れてきて、お腹も壊さなくなった。

胃腸が調子を取り戻すと、ある感覚がむくむくと湧き上がってきた。
「日本食が食べたい」
気づけばその感覚が常に舌にあって、何を食べても物足りなさを感じていた。留学生活で使える予算は限りがあるし、初めのうちは学校生活にいっぱいいっぱいで、ほとんど外食しなかった。
そのため食べるものも学食かキンパ、ラーメンと同じバリエーションになりがち。コンビニも日本ほど種類は豊富ではないので、毎回似たようなものを食べるしかない。


そんな状況下であったからだろうか。日に日に「日本食が食べたい」という気持ちが増してきた。
じゃあ、私は「何が」食べたいのか。日本食が食べたいという漠然とした感覚を突き詰めていくと、その正体が「出汁」であることに気づいた。
「私、出汁が飲みたい」
その答えがでたとき、非常に驚いた。京都に住む前の私は、出汁の存在を意識したことはほとんどなかったように思う。おそらく、京都に住みだしてからその存在の大きさを知ったのだ。
夕暮れどきに自転車を走らせると、あちこちの店から出汁の香りがする。飲み過ぎた次の日には、出汁の効いたうどんか蕎麦が食べたい。煮炊きものの奥に、しかと感じる出汁の味。京都の暮らしの中に、出汁はいつもすぐ側にいた。
私のからだは、出汁を求めていたのだ──。
幸い、学校のすぐそばに「핵밥」という日本食の店があった。

ラーメン、とんかつ、カレー、海鮮丼…見慣れたメニューが並ぶ。でも私の心はすでに決まっていた。
うどん、一択。
タッチパネルで注文し、うどんが来るのを大人しく待つ。友人たちと会話をしながらも、頭の中はうどんのことで頭がいっぱいだ。

ようやく念願のうどんが到着した。冷静さを装いながらも、つゆを持つ手が震える。うどんに「えいや!」とつゆをぶっかけ、いざ実食。

出汁に浸ったうどんをすする。思ったよりもコシがある。よかった。私はやわやわなうどんがあまり好きではない。
うどんをすすると立ち上る、出汁の香り。関東寄りの出汁ではあるが、今の私には充分すぎる。添えられた天かすもいい仕事してる。
食べながら、出汁が染み渡っていくのを感じた。私のからだは紛れもなく、日本食でつくられている。そのことをひしひしと感じた。
ただ不思議なことに、この日を境に猛烈に「日本食を食べたい」と思うことはなくなった。体内で、韓国料理の成分が上回っていったからだろうか。
3ヶ月経ち、留学を終えた今、私の頭の中を駆けめぐる想いがある。
「韓国料理が食べたい」
辛さの後に旨みが込み上がるチゲ、たらふく呑んだ後に食べる豆もやしクッパ、芯から冷える日のソルロンタン、マッコリに合わせたパリパリのジョン。

あぁ、やはり人のからだは食べものでつくられているのである。
〈次の日記〉
〈留学メモ〉
