棚橋弘至の引退試合を考える(1)
棚橋弘至の引退試合を考える(1)
2026年1月4日、恒例となっている新日本プロレスの東京ドーム大会で、団体の『エース』棚橋弘至が引退をむかえる。
発表されたのは去年だったからまだ先の話……という感じだったけれど、気づけば残り二ヶ月あまりだ。
棚橋弘至――稀代のプロレスラー、といって差し支えないであろう。
日本プロレス史における重要人物を挙げるなら、ひとまず力道山、GI砲、ときて鶴藤長天……となるだろうが、棚橋もまた欠かせない存在といえる。
大げさにいえば、新日本プロレス……いや、日本プロレス界の『中興の祖』といってもよい。
なるほど近年はコンディション不良に加えて社長業も加わり、精彩を欠いてはいたが、これまでの事績を思えばさしたることはなかろう。
さてそんな棚橋の引退試合だが、現在(10月末)の時点でまだ対戦相手は不明である。
もとより、いくらかの候補は上がってはいるが。
当人いわく『シングルマッチがいい』そうなので、よほどのことがなければそうなるのだろう。
では、いったい誰が引退試合の相手をつとめるのか。
こういう場合、縁の深い相手と対戦する場合が一般的ではあるが、そこまで縁はないけれども、その時点で評価の高い選手と闘う……というパターンもある。
近年の大物レスラーの引退でいえば、天龍源一郎(VSオカダ・カズチカ)や武藤敬司(VS内藤哲也)あたりは後者ということになるだろう。
棚橋自身、新日本の選手を中心に、関係性の深い相手との『縁(えにし)』、もっぱら若手との『継(つなぐ)』と呼ばれるファイナルロードを歩んでいる。
では、肝心の引退試合はどちらの路線となるのか。
そのヒントのひとつとなるのが、6/29『TANAHASHI JAM~至』であろう。
棚橋弘至プロデュース興行として開催されたこの大会では、棚橋は第一試合とメインの二試合に出場している。
第一試合は田口・海野と組んで、ヒロム・藤波親子と対戦。
メインでは丸藤と組み、清宮・大岩組と対戦している。
ここから想起されるのは、
「棚橋の引退試合・二部構成説」
で、あろう。
上に挙げた武藤や天龍は、引退試合の時点でかなりコンディションが悪かったが、さいわい棚橋はそこまでではない。
第一試合とメイン(となるかはわからないが、とにかく終盤)の二試合くらいは、難なく……かどうかはさておき、十分に対応可能だろうと考えられる。
あるいは『TANAHASHI JAM~至』はその試運転的な意味もあったのかもしれない……とまでいってしまうと、さすがにただの妄言なので、真面目に聞かないように。
と、なると。
ドームにおいては、前半でにぎやかに多人数タッグをおこない、終盤でシングルをおこなって締める――というパターンを予測することは容易であろう。
では、どちらを縁にして、どちらを継にするのか?
わかるわけもないが、ひとつのパターンとして
「武藤引退システム」
というのがある。
これは、正式な(?)引退試合では人気があったり評価が高い選手と対戦しておいて、その後、延長戦のごとく縁の深い相手と対戦することである。
武藤はこのシステムによって、『引退試合』では当時の日本プロレス界の顔であった内藤哲也と対戦し、『延長戦』では盟友である闘魂三銃士・蝶野正洋との試合を実現させた。
武藤以外のケースでいうと、里村明衣子も引退試合の後にエクストラマッチと称して別枠の試合をやったりしているが、これは女子プロレスにはよくあるパターンなのでちょっと違うかもしれない。
この武藤システムを利用できるなら、メインで若手と対戦したあと、解説に来ている縁の深い選手をリングに上げ、試合的なものをやれたりするわけである。
ちゃんとした試合はいろいろ難しいけど、これはまぁエクストラマッチなんで……ということで通せなくもない……というパターンもあるかもしれない。
ともあれ、メインの引退試合の対戦相手について具体的に考えてみよう。
ちまたでよく言われている対戦相手候補として、
中邑真輔
がいる。
現在は言わずと知れたWWEスーパースター(WWEにおいてはプロレスラーのことをスーパースターと称する)だが、かつては棚橋と新日リングで鎬を削った仲であり、引退試合の相手としては申し分ない大物である。
問題はただひとつ、中邑がWWEの選手である、ということに他ならない。
かつてはWWEのレスラーが他団体に出場する……もしくは他団体の選手がWWEのリングに上がる、というのはきわめて困難であった。
しかし昨今はそのハードルも多少は下がったようで、中邑はWWE所属でありながらプロレスリングノアのリングに上がって試合をしている(VS武藤など)。
とはいえそれは、WWEとノアの特殊な関係性があっての話なので、WWEの選手が新日本に上がるというのは、これは相当に難しいことではあるのだろう。
個人的なことをいえば、もちろん最後の棚橋VS中邑は観たい……という気持ちはありつつ、「まぁ難しいでしょうねぇ」と思わざるをえない。
先日のWWE日本公演で、中邑が「愛してま~す」とマイクしたことで、すわ、これは棚橋引退試合への布石か……とザワついたのは事実だ。
が、これは中邑一流のファンサービス、とみるのが順当であろう。
棚橋戦は無理だけど、まぁ気持ちはあるんで……というアピールであったに違いない。
(……などと知った風に書きつつ、1.4で棚橋VS中邑戦が実現したらお笑い草であるが、是非もなし)。
しかしこの棚橋VS中邑戦、棚橋の引退試合でなくていいのなら、実現の可能性はある。
そう――2026年1月1日、ノア日本武道館大会だ。
ノアという中立(?)のリングなら、いまや元日ノアの顔である中邑が、棚橋を迎え撃ってもちっともおかしくはないであろう。
ちょっとおかしいのは、ノアとはあんまり関係ない人たちがメイン(あるいはダブルメインの2試合目)になってしまうことだが、2023年の元日ノアのメインも中邑VSグレートムタという顔合わせだったことを思えば、さほど問題はないと言えるだろう……言えるかな?
というわけで、ノア元日での中邑VS棚橋戦、期待しております!
……と、そんなところで、つづきはまたいずれ。
