混沌戦記ー斯くして少年は世界を救う英雄とならんー 第10話「仙仁英汰奮迅す」

前回のエピソード:火を吹く宝刀

S1.国道バイパス道路・交差点
交差点の南の横断歩道。
三好「坊主」
英汰に駆け寄る。
英汰「三好一曹」
振り向く。
三好「魔法兵士対策6を決行するつもりか」
三好の横顔。
英汰「ハイ」
真剣な表情で返答。
三好「成功する可能性は低いのは覚悟の上か」
そっと、英汰を見る。
英汰「行かせてください! あの中に戦わなきゃいけない奴がいるので! 」
脳裏に、魔法兵士の隊長が浮かぶ。
三好「魔法兵士の急所を目標に一点集中して攻撃しろ! 筧田は、それで成功した! 」
腕組して言う。
英汰「エッ!? 」
キョトンとする。
三好「分からんか! 坊主決行しろ! 」
叫ぶ。
布川「英汰、居た! 」
布川が、駆け寄る。
三好「布川、大猩々隊に頼みたい事がある」
布川に、近付いて言う。
布川「何ですか? 」
三好を向いて言う。
三好「ありったけの砲弾を魔法兵士に向けて、一斉発射しろ」
魔法兵士の方向を見ながら言う。
布川「えっ、でも!? 隊長の許可もらわないと!? 」
慌てる。
三好「スマン! 頼む! 」
頭を下げる。
布川「分かりました! やってみます! 」
布川も覚悟を決めて返答。
三好「一撃で決めろ! 仙仁、行って来い!」
ニヤリと笑う。
英汰「了解! 行っていきます! 」
覚悟を決めて、真剣な表情で返答。
N 「そして・・・」
三好が、魔法兵士の方向を見ている。
布川「三好一曹、大猩々準備完了しました。英汰は、どうですか? 」
三好に駆け寄る。
三好「仙仁は大丈夫だ。火力攻撃開始と同時に出撃して、一気に距離を稼いで、待機後に、火力攻撃終了の時間と同時に突撃だ」
冷静に言う。
布川「了解! 大猩々隊、攻撃開始します! 」
真剣な表情で言う。
魔法兵士のJ~L(向こう右からJとカウント)のいる三列目に向けて、稼働できる迫撃砲、その脇に、新しく設置された数台のM6迫撃砲と後方の戦闘車のRCV型とICV型による、30mm機関砲が、一斉発射。

S2.国道バイパス道路・交差点前の道路
交差点前の道路。
魔法兵士J達3名が杖を前に翳し、大型の円形のバリアを発生して防御。砲弾を防御したと同時に、爆炎を伴う大爆発。身長が180㎝前後の魔法兵士のJ~L。
爆発が止み、魔法兵士J達が、直ぐに、バリアを解除。
魔法兵士K「!? 」
目の前に、銃剣付き小銃(銃剣に略)を構えた英汰が、走りながら突進。
英汰「ハッ! 」
銃剣の長突による突き出しで、Kの急所の鳩尾を貫き倒す。地面に杖が落下。
英汰「! 」
英汰が、銃剣をスリングで背中掛けにし、杖を拾う。
右隣に居たJと左隣に居たLが、呪文を唱え、魔法で、杖をレイピア(細剣に略)とメイス(棍棒に略)に変形する。Jが細剣、Lが棍棒を構えて、英汰に攻撃。
英汰「目には目を! 」
攻めて来るJとLを前に、杖を手に持ち構える。
魔法兵士L 「!? 」
棍棒を振り翳して、Lが最初に攻撃するが、英汰が杖を構えているのに驚愕。
英汰「貰った! 」
自分から、素早く踏み込み、Lの脇腹を思い切り叩いた後に右足を攻撃。
Lが、膝をつくと同時に、棍棒を地面に落下。
英汰「よし! 」
棍棒を回収。右手に棍棒、左手に杖の二刀流にする。
次に、攻撃して来たJの細剣の攻撃を二刀流で、高速で防御。
英汰「喰らえ! 」
棍棒で、Jの腕を叩き、細剣を地面に落す。
魔法兵士J「!? 」
シマッタと言う表情。
英汰「何!? 」
立ち上がったLが、手を英汰に翳し、魔法の力で動けなくする。
英汰「甘い! 」
Lに向かって、身体を回して、砲丸投げの様に、杖と棍棒を思い切りなげる。杖と棍棒が腹部に直撃して、Lが再び膝をつく。
Jが両手の拳を魔法のビームで包んで、英汰を殴り掛ろうとする。英汰が素早く細剣を持つ。
英汰が、素早くJの懐に入り、横一閃で、Jを斬り倒す。
魔法兵士L「ウォォォ―」
再び棍棒を持ち、英汰に攻撃。細剣を構える英汰。
英汰「ハッ!」
逆袈裟斬りで、Lを斬り倒す。
英汰が、細剣を握りながら、四列目の右の魔法兵士Mと左のNを見る。
MとNが呪文を唱え、杖をツーハンドソード(両手剣に略)とロングソード(長剣に略)に変形。
両手剣はMが、長剣はNが持つ。
MとNが同時に、英汰に斬り掛かる。
英汰、急いで落ちていた杖を拾い、右手で思い切り、Mに向かって投げる。Mが杖を両手剣で叩き落すが、英汰が素早く懐に入り、逆袈裟斬りで斬り倒す。
次に斬り掛かって来たNの長剣を、何とか後方へ移動して、英汰が回避に成功。
英汰「何の! 」
Nが、思い切り、上から大剣を振るうが、英汰渾身の力による細剣で長剣を切り払うが、細剣も飛んでしまう。
英汰「喰らえ! 」
銃剣を携帯し、N目掛けて突撃。長突による突き出しで、Nの急所の鳩尾を貫いて倒す。
英汰「最後はお前か」
鋭い表情で、魔法兵士の隊長を見る。まだ、二人共、距離がある。
二人の目線のアップ。
英汰「お前が、魔法兵士の隊長か? 」
英汰の顔のアップ。
頷く隊長。
隊長、ロバスト帝国の世界の言語で何かを喋る。
英汰、銃剣を構える。
隊長、両手を大きく掲げ、呪文を唱える。
英汰「仕掛けて来るな」
目付きを鋭くして、警戒する。
隊長の杖が、小型化していき、掌に収まった後、杖が掌に吸収。
そして、隊長の身体が大型化して、メタモールフォーゼしていく、身体が動物化して、隊長の羆の変身形態が完了する。3mの羆の巨体と鉤爪を持つ変身形態。
英汰「羆に変身したか! 」
額に汗。
咆哮する隊長。
隊長が、四足形態になる。
突進する隊長。
英汰も、銃剣を構えながら突進。
激突する英汰と隊長。
隊長が体当たりをしようとするが、英汰が素早く右の方向へジャンプして、回避。
隊長が、素早くUターンして、英汰の所に戻る。
英汰が、銃剣で素早く突くが、体調が、首を左右に振って、攻撃を回避。
二足形態になる隊長。英汰に向かって、左前脚でパンチを放つが、英汰が思いっきりバックステップでパンチを回避。
隊長が、右前脚の鉤爪を使って、英汰を攻撃するが、英汰が身体を思い切りスウェーで逸らして、攻撃を回避。
N 「あの巨体のパワーとスピードで、本気で来られたら、最期の時だ」
隊長を見る英汰の顔のアップ。
英汰「ヤバい! 」
隊長の目から、魔法のビームが発射される。英汰が、急いで、左にジャンプして攻撃を回避。ビームが地面に直撃して、爆発する。
更に、隊長の口が大きく開き、口から、魔法の高出力ビームが放たれる。
英汰「オット! 」
英汰が、右に急いで、ジャンプして、攻撃を回避。高出力ビームが、近くにあった倉庫に直撃して、爆発する。
隊長、四足歩行状態で、どっしりと構え、英汰を睨む。
英汰「一か八か! 」
手榴弾を、隊長めがけて、思いっきり投げる。
手榴弾が隊長に直撃して、大爆発する。
英汰「よし! 後方に移動だ! 」
急いで、先程の二列目まで、英汰が走る。
N 「今の状態では、彼奴に勝てない。素早く、一撃で倒すしかないぞ」
走りながら、焦りの表情を見せる。
英汰「!? 」
魔法兵士Nの亡骸の近くにあった長剣を見る。
英汰「やるか! 」
覚悟を決めた表情をする。
ゴーグル、鉄帽、防弾チョッキ、拳銃、銃剣等の装備を外す。
英汰「スマン! 」
とNの亡骸に言い、長剣を手にする。
英汰「後は、踏み込むだけだ! 」
長剣を八相の構えで持つ。
爆発の煙の中から、現れる隊長。
隊長が、四足歩行形態で、英汰の目視出来る所まで到達。
英汰「さあ、最終ラウンドに行くぜ! 」
剣を構え、鋭い表情を見せる。
隊長も凄い表情で睨む。
突進する隊長。
英汰「ウォォォ! 」
剣を構えながら、雄叫びを上げて突進する。
咆哮しながら、二足形態になる隊長。
英汰「行け! 」
隊長の懐に飛び込み、一気に袈裟斬りで斬る。
英汰「ハッ! 」
そして、連続して、左一文字斬りで、隊長を斬る。
隊長が、完全停止する。そして、勢いよく、土煙を上げて、隊長が倒れる。
英汰「!? 」
後ろからのエンジン音に気付く。
LAVを運転する三好が現れる。上部の機銃は清原が担当。
三好「坊主! 早く乗れ! 」
運転席から叫ぶ。
英汰「ハイ! 」
驚きながらも、急いで助手席に乗る。
三好「布川! 坊主の装備を急いで回収! 」
再び叫ぶ。
布川「了解! 」
LAVの後部から、布川が下車して、先程の英汰の装備を回収。

S3.LAV・車内
車内。
三好「全く! 戦闘中に装備を外す奴がいるか! 」
ハンドルを握りながら叫ぶ。
英汰「今後気を付けます」
下を向いて反省する。
三好「だが、よくやった! お前のお陰で、魔法兵士を鎮圧できた! 」
笑顔で言う。
英汰「ハイ! ありがとうございます!」
笑顔で返答。
布川「対策6の魔法兵士に、高速で奇襲攻撃を決行するのを熟せるのは、英汰お前だけだよ」
後部席で、苦笑いしながら言う。
三好「対策7の魔法兵士の武器を入手して、使用するって言う無理難題も熟したんだからなあ」
チラッと、英汰を見る。
N 「全く、対策6と7を遂行するには、本当に高い戦闘力を有しなければならない」
運転中の三好の心の声。
N 「然も、お前は、一人で、臆することなく、二つ同時に、遣ってのけた」
回想・先程の英汰と魔法兵士の戦闘場面。
三好「仙仁英汰。俺達にとっても、お前は、魔法使いであり、怪物だよ」
三好の小声。英汰の横顔のアップ。

S4.道路・行軍
道路。帝国軍の行軍。
行軍の中心。馬用板金鎧を装備した馬に乗った戦闘形態のスタイケル。
スタイケル「何だと!? 」
先程の自衛隊と魔法兵士情報が、ストレートに頭部に伝達。
スタイケル「行軍を離れる! フェンスタ―の準備だ!」
大兜アップ。

S5.通信車・内部
内部。
隊員18「獅子隊・大猩々隊・荒鷲隊が、帝国の魔法兵士を鎮圧しました! 」
興奮して、無線機を持って叫ぶ。
長船「そうか・・・」
両腕を組み、目を瞑って言う

S6.国道バイパス道路・交差点
交差点の南の横断歩道。
獅子隊・大猩々隊・荒鷲隊の撤退の第一陣が始まっている。
三好「よし! 負傷者と駐屯地から出向した自衛官から、先に車輌に乗れ! 」
MMCV型、73式大型トラック、高機動車に隊員達が載る。
英汰、清原、筧田達も銃を構えて、警備に当たる。
布川「英汰! 」
英汰に駆け寄る。
英汰「フッさん! 駐屯地に戻るんですね」
布川を見て言う。
布川「24式装輪装甲戦闘車の弾薬が切れたら、納輿駐屯地に返す約束だからな」
24式装輪装甲戦闘車のアップ。
布川「英汰! もし、陸上自衛隊の援軍が来なかったら、俺も、第7臨時基地で戦う! 」
サラッと言う。
英汰「了解しました! 」
敬礼する。
布川「あまり、固くなんな! では、第一陣撤退します!」
笑顔で敬礼。
各種車輌が出発。
三好「坊主、行ったな」
英汰と、各種車輌を見送る。
英汰「でも、三好一曹、此処までに、多くの死傷者を出ました」
下を向く。三好は、上を向いている。
三好「嗚呼、由比、宍戸、根本や他の獅子隊の隊員達が逝ってしまった。皆、優秀な自衛官達だった」
二人の脳裏に、由比、宍戸、根本、戦死した隊員達の顔が思い浮かぶ。
三好「おっと、落ち込んでいられん! あと、十数分後には、第二陣が出発するぞ! 」
気持ちを切り替えして、腕時計を見る。時計の針が、14時35分前後を指している。
N 「第二陣で、撤退が終了だ。残った自衛官は最期まで戦う」
三好の横顔のアップ。
筧田「三好一曹! 大変です! 」
双眼鏡を、見ながら叫んでいる。
三好「筧田! どうした!? 」
駆け寄る。
筧田「帝国の新しい刺客が来ます! 」
魔法兵士の亡骸が消滅。
そして、北側の横断歩道の前に、大きなゲートが発生。ゲートから、大兜を持った戦闘形態のスタイケルが現れる。
英汰「此奴は!? 」
銃剣付きの小銃を構える。

(第11話に続く)