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トランサーフィンのはじまり――“タフティ以前”のインタビューから紐解く〈現実〉の読み方①

つい先日、日本では長らく入手困難だった『リアリティ・トランサーフィン 第1巻』が、新装版として再版されました。
小麦スプラウトを食べながら執筆していたというやつですね。)

最近ベストセラーになっている『タフティ(タフティ・ザ・プリーステス 世界が変わる現実創造のメソッド)』をすでに読んだ方の中には、

  • 「気づきの中心点」「意図の三つ編み」…用語が独特で、少し戸惑った

  • 前提となる考え方が分からず、「何をどう実践すればいいのか」掴みにくい

  • トランサーフィンとタフティの関係が、いまひとつ見えない

そんな感覚を持っている人も、きっと少なくないのではないでしょうか。

私自身、タフティを入口にしてトランサーフィンを知り、『Трансерфинг себя(じぶんトランサーフィン)』の原書を読みながら、時々『Трансерфинг реальности(リアリティ・トランサーフィン)』に立ち戻る、というプロセスを通して、その思想が腑に落ちる瞬間を何度も経験してきました。

今回から数回に分けて紹介するのは、2009〜2010年にロシアの雑誌『Страна Faberlic(ストラナ・ファベルリック)』に掲載されたヴァヂム・ゼランド氏へのインタビューです。

※『Страна Faberlic』は、ロシア国内最大級の直販型化粧品メーカーFaberlic社が発行していた会員誌で、製品紹介のほか、著名人へのインタビューなども掲載されていました(現在、紙媒体は発行されていないようです)。

このインタビューは、数ヶ月前に偶然みつけたものですが、現在、ネット上では非公開になっています。

読んでみると、トランサーフィンの基本的な考え方が、とてもシンプルな言葉で語られていると感じます。

リアリティ・トランサーフィンが復刊したこのタイミングで、

  • “タフティ以前”のゼランドが何を語っていたのか

  • そもそもトランサーフィンとは何なのか

  • ヴァヂム・ゼランドとは、どんな人物なのか

    そしてそれは、

  • 『Тафти(タフティ)』や『Трансерфинг себя(じぶんトランサーフィン)』へ、どのようにつながっていったのか。

著者自身の言葉を手がかりに、
基本的な概念から少しずつ紐解いていきたいと思います。

タフティをすでに読んだ人が、
リアリティ・トランサーフィンを読んでさらに理解を深めていくとき、
そしてその先で「実践」という感覚を掴んでいく過程で、

現実の読み方を整理するためのヒント
として、この連載を使ってもらえたら嬉しいです。

1回目となる今回は、トランサーフィン誕生の背景と、著者ヴァヂム・ゼランド氏の人物像を辿っていきます。

серия «Трансерфинг реальности»

まずは、インタビューの導入部分の要約をご紹介します。

≪奇跡のテクノロジー≫

私たちの世界は、巨大な鏡である(Наш мир — огромное зеркало)。
そこには、私たちのあらゆる思考や願望が、きわめて忠実に映し出されている。人は、広大な「選択肢の空間(バリアント空間/пространство вариантов)」の中から、魂の望むものを選ぶだけで、自らの現実を自分で操ることができるという。なんとも大胆な仮説だ。
そこで私たちは、その驚くべきシステムを本人の口から直接聞こうと、ヴァヂム・ゼランドのもとを訪ねることにした。

氏が提唱する「リアリティ・トランサーフィン」は、信じる・信じないというものではなく、「機能するシステム」であると言う。このシステムによれば、人は自分の人生のラインを、居心地の悪いものから居心地の良いものへと自ら移行することができるのだ。

かつて物理学者で、当時はプログラマーとして働いていたヴァヂム・ゼランド氏がこのシステムについて書き始めたのは、2001年に現れた「管理人」と名乗る存在との出会いがきっかけだ。ゼランド氏は、2003年に『リアリティ・トランサーフィン(Трансерфинг реальности)』を執筆し、宇宙における自身の世界層を操る原理を提示した。この本はすぐにベストセラーとなり、その後、17言語に翻訳され、現在(2009)では大手企業の経営者やトップマネージャーにも熱心に学ばれている。

Журнал «Страна Faberlic» №19, декабрь-январь 2009-2010.

インタビューの背景となる2009年

『リアリティ・トランサーフィン』の最初の5巻は2004~2005年にかけて出版されています。このインタビューが雑誌に掲載された2009年は、初版から4~5年後。
トランサーフィンが既に人気が出てきており、派生書・関連書も増えて、やや「流行のジャンル」として読まれていた時期になります。上の引用にも「ベストセラー」となり、既に「17言語に翻訳」とありますね。

一般大衆向けというより特定読者層(自己啓発・美容健康・生活改善系)に人気という側面が強かったようです。2009年の時点で、ゼランドとトランサーフィンは 単なる流行スピリチュアル本という枠を越え、当時の生活・自己改善系読者の世間的な関心領域のかなめになっていたとも言える状況でした。

ただし、「タフティ」はまだ登場していません。


ゼランドの転機、トランサーフィンのはじまり

インタビューの中で、ゼランドは自分の過去をかなり率直に語っています。

  • もともとは物理学者でかつて(ソ連時代)は軍需産業に従事していた。軍縮の影響で組織が資金難に陥り、IT 技術の専門家へと転向。

  • どの分野でも高いスキルを身につけ、「必死に働き、自分を磨き続ければ、山をも動かせる」と信じて疑わなかった。

  • 目の前の問題を解決することばかり考え、目的ではなく手段に意識を向けていた。

  • 典型的なワーカホリックだった。

彼はこれを
「アンチ・トランサーフィン的な生き方だった」
「トランサーフィンの原則という原則を、すべて踏み外していた」
と表現しています。

そして、私のあらゆる試みが崩れ去り、希望はすべて燃え尽き、完全な行き詰まりの中に放り出されたとき――どう生きればいいのか、これから何をすればいいのかも分からなくなった。
そのときに、「管理人(Смотритель)」が現れたのです。

Журнал «Страна Faberlic» №19, декабрь-январь 2009-2010.

ここで重要なのは、彼が自分を「直感的にうまく生きてきた人」として描いていない点です。むしろ、多くの読者が陥りがちな「行き詰まり」の側に、はっきりと身を置いています。この立ち位置は、トランサーフィンというシステムを「できる人のための理論」にしないための重要な前提になっていると感じます。


「空っぽの器」という自己規定

インタビューの中で、ゼランドはとても印象的な言い方をしています。

―― なぜ、「管理人」から知識を受け取るという出来事が、あなたに起こったのだと思いますか?

(・・・)何らかの知識を伝えるためには、愚か者――つまり、空っぽの器である必要があるのだと思います。あまりに賢い人間だと、余計な自己流の解釈を加え始めてしまう。けれども、完全な愚か者であれば、知識をそのまま、何一つ変えずに伝えることができる。私はまさに、その「際立って愚かな者」だったのです。

Журнал «Страна Faberlic» №19, декабрь-январь 2009-2010.

彼は自分を「愚か者」「空っぽの器」と表現します。もちろん学歴や知能の話ではありません(その点では、ゼランドはむしろ理系エリートであったわけですから)。

ここには、自分を特別な賢者や指導者として位置づけない姿勢がはっきり表れています。アンチ・トランサーフィンの道を疑いなく突っ走ってきた「愚か者の極み」だったからこそ、トランサーフィンを「私が考え出した理論」として提示するのではなく、受け取った知識を、余計な装飾をせず、そのまま渡すことができる、そのような態度が、この発言からも読み取れます。

пустой сосуд

「科学」でも「スピリチュアル」でもない

日本では、トランサーフィンやタフティの理論が「量子力学的」と説明されることがよくあります。一方で、スピリチュアルな文脈で語られることも少なくないと思います。

しかし、この初期インタビューに限って言えば、ゼランド自身は、そのどちらの立場も、意図的に取っていないように見えます。

ゼランドは、「物理法則のように働く」とは述べていますが、それを科学理論として説明しようとはしていません。数式や専門用語を使わず、「鏡」や「映画」といった比喩だけで語る態度からも、「科学である」と主張する意図がないことが分かります。

一方で、いわゆるスピリチュアルな語りにも、彼は距離を取っています。カルマや前世の因果を否定し、生や死の意味についても「わからない」と言います。霊的な真理や教義を提示する姿勢は見られないわけです。

ゼランドが差し出しているのは、信じるべき理論ではなく、現実との関わり方を考えるための一つのモデルです。
説明できないことは説明しきらず、「わからない」を「わからない」ままに置く、使える範囲だけを言葉にする。

その慎重さこそが、トランサーフィンを科学でもスピリチュアルでもない、その絶妙な中間に立たせ、「現実をどう見るか」という問いを一層、際立たせているように見えます。


まとめ

このインタビューから浮かび上がってくるヴァヂム・ゼランドの姿は、「教祖」でも「指南者」でもなく、「観察者」や「記録者」あるいは「解説員」のような存在に近いです。

次回は、この立ち位置から語られるトランサーフィンの基本的な考え方──「現実は鏡である」「目標とは何か」「スライドとは何か」などについて、インタビューの言葉を手がかりに、もう少し具体的に見ていきたいと思います。


インタビュー全文翻訳のご案内(ニュースレター)

今回の連載では、膨大なインタビューの中からエッセンスを抽出し、「読み解くための解説」を中心にお伝えしてきましたが、ゼランドの語りには、この記事だけでは紹介しきれなかった深い洞察と、独特の空気感(エネルギー)がまだまだ詰まっています。

読んでくださった方の中には、

  • ゼランド自身の語り口を、最初から最後まで通して読みたい

  • 編集を介さない文脈で、言葉の流れを追いたい

  • 解説抜きで、まずは自分の感覚で受け取りたい

という方も、きっといらっしゃると思います(はい!私です!)。

そこで、このインタビューの全文翻訳を、noteではなく、メールマガジン(ニュースレター)という形で配信することにしました。

  • 要約・解説では拾いきれなかった、ゼランドのより踏み込んだ哲学

  • インタビュアーとのやり取りの中に垣間見える、彼の「実践者」としての体温

  • トランサーフィンを日常に落とし込むためのさらなるヒント

など、
「読む」というより、静かに話を聞くような感覚で、ゼランドの言葉そのものに触れてもらえたらと思っています。

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