【詩的で宗教的な調べ関連】フランツ・リストのピアノ曲紹介
この記事では「詩的で宗教的な調べ S.173」に関連する曲を上から時系列で紹介します。
詩的で宗教的な調べ S.154
リストの「詩的で宗教的な調べ」といえば曲集を指すことが多いが、これは単独曲。「死者の追憶 S.173/4」の初稿。ラマルティーヌへ献呈。若きリストの天性が爆発したような特異性をもち、前半は調記号も拍子記号も無くテンポ設定も自由。動機の変容により成り立っている。1834年の作品だが、後期作品を予見している。
演奏はカールマン・ドラフィ。
眠りから覚めた御子への祈り S.171c
「眠りから覚めた御子への讃歌 S.173/6」の初稿。1840年作。この曲の時点では「子」というのはリストの子ダニエルを示している。我が子への子守歌。
演奏はロマン・コシャコフ。
詩的で宗教的な前奏と調べ S.171d
ワイマールのゲーテ=シラー・アルヒーフに所蔵されている「スケッチブックN5」に草稿が残されている作品群。1845年から1846年頃に作られた。リスト本人は「詩的で宗教的な調べ (詩的で宗教的な前奏と調べ)」という風に書いていて、ハワードはそのカッコ内をタイトルとして採用している。演奏ができない未完成な作品もある。曲集タイトルを見るとS.173の曲集「詩的で宗教的な調べ」と関連があるように見えるが、実際直接的な関連があるのは第1曲のみ。そもそもリストがこの曲集をこの時点でどのような形(収録曲、曲数など)にしようとしていたかなどの詳細不明。
演奏はロマン・コシャコフ。
第1番 前奏曲 S.171d/1
後に「孤独の中の神の祝福 S.173/3」へと発展する作品。本来は無題。草稿には「ナンシー、1845年11月16日」と書かれている。
第2番 "倦怠?" S.171d/2
タイトルらしいものとして自筆で「Langueur?」と書かれている(クエスチョンマークも込みで)。日付は「1845年11月20日」。
第3番 S.171d/3
無題。日付は「1845年12月4日」。
第4番 "- 最後の幻影(?)" S.171d/4
後に「バラード 第1番 S.170」「コンソレーション 第6番 S.172/6」に主題が転用される。タイトルに付いているクエスチョンマークもリスト自身によるもの。終結部が無く、ハワードが補筆している。
第5番 S.171d/5
無題。日付は「1845年12月6日」。リストが宗教的、天上的作品を書く際の典型的な書法が見える。
第6番 "心せよ" S.171d/6
「心せよ」というタイトルが付けられている。この「心せよ」というタイトルは第4番にも下書きとして書かれている。終結部が無く、ハワードがリスト自身による他の似たような音素材を使用して補筆している。
第7番 "代わり" S.171d/7
「代わり」と書かれているが、第6番の代わりとして書かれた可能性もあるが詳細は不明。旋律は後に歌曲「我死せり S.308」の旋律に使用される。つまりピアノ独奏曲「愛の夢 第2番 S.541/2」と同じ旋律を持つ。
第8番 "M.K." S.171d/8
「M.K.」とはリストの友人であったマリア・カレルギスのこと。ごく一部の下書きが残されているだけで、大部分をハワードが補筆した。
マリアの連梼 〔第1稿〕 S.171e
曲集「詩的で宗教的な調べ」の直接的な前身となる「1847年稿 (S.172a)」に含まれる「マリアの連祷」の初稿。1846年から1847年にかけて作られた。
演奏はヴォイチェフ・ヴァレチェク。
詩的で宗教的な調べ S.172a
曲集「詩的で宗教的な調べ S.173」の直接的な前身。1981年に新リスト全集にて初めて世に出る。作品カタログによっては「詩的で宗教的な調べ〔1847年稿〕」と呼ばれる。
第1番 喚起 (祈り) S.172a/1
「祈り S.173/1」の第1稿。
演奏はジャン=エフラム・バヴゼ。
第2番 夜の讃歌 S.172a/2
後の曲集には含まれず。
演奏はジャン=エフラム・バヴゼ。
第3番 朝の讃歌 S.172a/3
後の曲集には含まれず。
演奏はジャン=エフラム・バヴゼ。
第4番 マリアの連梼 〔第2稿〕 S.172a/4
主題のリズムは天使祝詞「サンクタ・マリア、オラ・プロ・ノビス」のリズムであろうとのこと。「祈り」との共通動機も見られる。この曲の原題は「Litanies de Marie」だが、ハワードはこの曲が曲集の最終稿から省かれたことに対し、リストが若い時期に「マリー(・ダグー)への愛」と「聖母マリアへの畏敬の念」を自分の中で区別できなくなっていたことが関連しているかもしれないという考察をしている(この曲集の最終稿は後の恋人カロリーネへ献呈されている)。
演奏はヴォイチェフ・ヴァレチェク。
第5番 ミゼレーレ S.172a/5
「パレストリーナによるミゼレーレ」の初稿。
演奏はヴォイチェフ・ヴァレチェク。
第6番 主の祈り (教会プサルモディアによる) S.172a/6
「主の祈り」の前身。1846年に作曲した男声合唱曲のトランスクリプション。
演奏はヴォイチェフ・ヴァレチェク。
第7番 眠りから覚めた御子への讃歌 S.172a/7
「眠りから覚めた御子への祈り S.171c」の改訂稿。そしてさらに改訂され、曲集の最終稿に含まれる。この「御子」とはイエス・キリストのこと。
演奏はヴォイチェフ・ヴァレチェク。
第8番 死者の言葉 - 深き淵より S.172a/8
単独曲「詩的で宗教的な調べS.154」の改訂稿。グレゴリオ聖歌「深き淵より」が織り交ざっている。最終的に「死者の追憶 S.173/4」となる作品。
演奏はヴォイチェフ・ヴァレチェク。
第9番 寺院の灯火 - アンダンテ・ラクリモーソ S.172a/9
「アンダンテ・ラクリモーソ」の前身。「アンダンテ~」では序文としてラマルティーヌの詩「涙、または慰め」が掲げられているが、この曲では「寺院の灯火、または神へ示す魂」が掲げられている。
演奏はヴォイチェフ・ヴァレチェク。
第10番 讃歌 S.172a/10
後の曲集には含まれず。
演奏はヴォイチェフ・ヴァレチェク。
第11番 祝福 S.172a/11
「孤独の中の神の祝福」の前身。
演奏はヴォイチェフ・ヴァレチェク。
【関連作品】
アルバムの綴り "アンダンテ・レリジオーソ" S.166h
単独曲「詩的で宗教的な調べ S.154」の旋律を使用した小品。およそ1846年頃作られた。
演奏はロマン・コシャコフ。
アルバムの綴り "アンダンテ・レリジョサメンテ" (詩的で宗教的な調べ) S.166j
リストが他人のために書き留め贈呈した、ちょっとした譜面。単独曲「詩的で宗教的な調べ S.154」の旋律を引用している。1846年作。
● 楽譜紹介
新リスト全集の楽譜では今回ご紹介した楽曲は以下のものに収録されています
・詩的で宗教的な調べ S.173
・詩的で宗教的な調べ S.154
・喚起 (祈り) S.172a/1
・夜の讃歌 S.172a/2
・朝の讃歌 S.172a/3
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・眠りから覚めた御子への祈り S.171c
・詩的で宗教的な前奏と調べ S.171d
・詩的で宗教的な調べ〔1847年稿〕 S.172a
・マリアの連梼 〔第1稿〕 S.171e
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それではみなさま良い一日を
