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【超絶技巧練習曲】フランツ・リストのピアノ曲紹介

この記事では超絶技巧練習曲を紹介します。タイトルは直訳すると「超越的な演奏の練習曲」となります。この「超越的(transcendante)」という言葉は神学や哲学の世界でよく使われる言葉とのこと。 


超絶技巧練習曲 S.139

1852年出版。「大練習曲 S.137」を改訂したもの。大練習曲同様にツェルニーへ献呈。リストのピアノ作品の代表作の一つ。

第1番 前奏曲 S.139/1

ウォーミングアップ的な性格のもの。
演奏はスヴャトスラフ・リヒテル。


第2番 S.139/2

タイトルなし。パガニーニ風のヴィルトゥオジティ(技巧性)を意識した作品。
演奏はスヴャトスラフ・リヒテル。


第3番 風景 S.139/3

音で綴った穏やかな絵画。タイトルはヴィクトル・ユーゴーの詩より。
演奏はクラウディオ・アラウ。


第4番 マゼッパ S.139/4

大練習曲第4番を元に「マゼッパ S.138」という単独作品を作り、さらにそれを改訂したもの。ヴィクトル・ユーゴーの詩「マゼッパ」による。同じテーマによる交響詩もあり。
演奏はセルジオ・フィオレンティーノ。


第5番 鬼火 S.139/5

重音の練習曲。極めて難度が高い。
演奏はヴラディミール・アシュケナージ。


第6番 幻影 S.139/6

アルペジオとトレモロの語法が印象的な堂々たる作品。タイトルはヴィクトル・ユーゴーの詩より
演奏はラザール・ベルマン。


第7番 英雄 S.139/7

オクターブが印象的な英雄的行進曲。
演奏はラザール・ベルマン。


第8番 野蛮な狩 S.139/8

曲集中でタイトルが唯一ドイツ語で付けられたもの。タイトルは荒ぶる猟犬を連れ、唸り声を上げる悪霊が大群で空を移動するというヨーロッパの神話を示しているとされている。ちなみにその狩人の神話はヨーロッパ各地で解釈が異なり、時には魔物化した北欧神話の神オーディンであったり、アーサー王であることもある。
演奏はエフゲニー・キーシン。


第9番 回想 S.139/9

ブゾーニ曰く「黄色く変色したラブレターの束のようだ」。
演奏はクラウディオ・アラウ。


第10番 S.139/10

タイトルなし。ソナタ形式。まれにこの曲が「熱情」と呼ばれることがあるが、それはブゾーニが付けたタイトル。
演奏はイーヴォ・ポゴレリチ。


第11番 夕べの調べ S.139/11

静かな情景と遠くから聴こえる鐘の音。オーケストラに匹敵する音響効果。雄大な作品。
演奏はスヴャトスラフ・リヒテル。


第12番 雪嵐 S.139/12

トレモロによる寂しさの表現。ぺダリングと半音階でぼかされたある種の印象主義的技法
演奏はクラウディオ・アラウ。




【関連作品】

マゼッパ - 交響詩 第6番 S.511c

リストの交響詩「マゼッパ」を音楽家テオフィル・フォーシュハマーがピアノ独奏編曲し、リスト本人がその編曲を手直ししたもの。1870年代に作られた。このフォーシュハンマー版は未出版で、この自筆譜(リストによる訂正付き)はブダペストのリスト・リサーチセンターに所蔵されている。ちなみに交響詩マゼッパのピアノ独奏編曲は、他にルートヴィヒ・シュタルクによるものもある。マゼッパという題材は超絶技巧練習曲でも使用されている。


ロッシーニとスポンティーニの主題による華麗なる即興曲 S.150

およそ1824年に作られたショウピース。主題はロッシーニの「湖上の美人」、「アルミーダ」とスポンティーニの「オリンピア」、「フェルナンド・コルテス」より。導入部のスタイルは後に超絶技巧練習曲の第7番「英雄」に転用される。
演奏はプラクセディス・ジュヌヴィエーヴ・フグ。


アルバムの綴り "オムニトニック前奏曲" S.166e

およそ1844年作。半音階の全12音を使用し、和音の最低音は全音音階で進行する音列。解決なし。この音列は「超絶技巧練習曲 第10番 S.139/10」で使用される。オムニトニックというのはフランソワ=ジョゼフ・フェティスが「調性の進化の最終段階」と定義付けたもので、中心音が定まらず調性が安定しない技法(「調性の無いバガテル S.216a」もそのような技法が使われている)。
演奏はロマン・コシャコフ。


野蛮な狩 - スケルツォ S.176a

「スケルツォと行進曲 S.177」の初稿。この自筆譜は1851年1月に書かれ2009年にイギリス・リスト協会の機関誌にて初版された。この時点でのタイトル「野蛮な狩」は後に超絶技巧練習曲の第8番へ付け替えられた。


アルバムの綴り "ラングザム" (夕べの調べ) S.166o

リストが他人のために書き留め贈呈した、ちょっとした譜面。1876年作。「夕べの調べ」の旋律を引用している。




【その他】

アレグロ・マエストーソ "嬰ヘ長調の練習曲?" S.692c

音楽学者ウィリアム・ライトが発見した断片。後に超絶技巧練習曲となる曲集「12の練習曲 S.136」は当初48曲完成させる予定だった。この断片は嬰ヘ長調の練習曲の冒頭部分となるものだった可能性がある。およそ1826年頃の作品と推測される。




【歴史的録音】

ペトリのマゼッパ

ハロルド・ショーンバーグに「20世紀最大のリスト弾き」と称されたエゴン・ペトリの1935年の録音。


フリードハイムの鬼火

リストの弟子アルトゥール・フリードハイムの1912年の録音。


ザウアーの回想

リストの弟子エミール・フォン・ザウアーの1941年の録音


アラウの夕べの調べ

リストの孫弟子クラウディオ・アラウの1937年の録音。




● 楽譜紹介

新リスト全集の楽譜では今回ご紹介した楽曲は以下のものに収録されています

・超絶技巧練習曲 S.139



それではみなさま良い一日を



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