【ベートーヴェンの交響曲2】フランツ・リストのピアノ曲紹介
この記事ではベートーヴェンの交響曲の第6番から第9番までのトランスクリプションを紹介します。第1番から第5番までは次の記事を参照してください。
ベートーヴェンの交響曲を普及させるために作ったピアノスコア*(ピアノトランスクリプション)。リストはこれらピアノスコアに楽器編成を注釈として書きこんでいるが、それは弾き手にベートーヴェンのオリジナルをよりよく学ばせる目的と、ピアノの音色をどのように工夫するかのアイデアを与える目的のため。全9曲ともに弟子のビューローへ献呈されている。これらピアノスコアの過去の出版譜は誤記が多かったが、それら誤記を可能な限り訂正した新リスト全集版をハワードは高く評価している。
*一般的にピアノスコア(英:Piano score、仏:Partition de piano、独:Klavierpartitur)とピアノトランスクリプションという言葉はほぼ同義ですが、リストがピアノスコアという言葉を使うときは、「オーケストラの音色をより深く考慮に入れてもらうこと、ピアノという限られた音色の中で別のソノリティやニュアンスを創造すること、という奏者への指示を意図している」とリストは言っています。
交響曲 第6番 "田園" 〔最終稿〕 (ベートーヴェン) S.464/6
ベートーヴェンの「交響曲 第6番 "田園" Op.68」のトランスクリプション。第5番の編曲同様この第6番もリストは1837年頃編曲している。その後1840年にブライトコプフ・ウント・ヘルテル版に収録される際に第5楽章だけ若干変更された。ここに収録されている最終稿はそれをさらに改訂したもの。よって第1~第4楽章は第2稿だけども、第5楽章のみ第3稿となる。
演奏はグレン・グールド。
第1楽章 田舎に到着したときの晴れやかな気分
第2楽章 小川のほとりの情景
第3楽章 農民たちの楽しい集い
第4楽章 雷雨 - 嵐
第5楽章 牧人の歌 "嵐の後の喜ばしく感謝に満ちた気分"
交響曲 第7番 〔第2稿〕 (ベートーヴェン) S.464/7
ベートーヴェンの「交響曲 第7番 Op.92」のトランスクリプション。リストは1838年にもこの交響曲を編曲しているが、これはその初稿を1863年に改訂したもの。その第1稿から第2稿への改訂の際に、技巧的に複雑で楽想が不明瞭になる部分は技巧的に簡素化した。ちなみにベートーヴェン自身もこの曲をピアノ独奏編曲しようと試みたが、途中で断念してしまった。
演奏はコンスタンティン・シチェルバコフ。
第1楽章
第2楽章
第3楽章
第4楽章
交響曲 第8番 (ベートーヴェン) S.464/8
ベートーヴェンの「交響曲 第8番 Op.93」のトランスクリプション。1863年作。
演奏はアラン・プラネス。
第1楽章
第2楽章
第3楽章
第4楽章
交響曲 第9番 "合唱" (ベートーヴェン) S.464/9
ベートーヴェンの「交響曲 第9番 Op.125」のトランスクリプション。国内では「第九」「合唱付き」などの愛称で親しまれ、英語圏では「コーラル・シンフォニー」とも呼ばれることもある(いずれも正式名称ではない)。1864年に完成。リストはこのピアノ独奏編曲の前に2台ピアノ稿を作っている。このピアノ独奏稿に関しては、最初第1~第3楽章まで編曲したが、ピアノ独奏編曲する難しさから第4楽章を編曲することを躊躇した。その後出版社に説得され第4楽章も編曲した。
奏者のシプリアン・カツァリスは音をさらに補強して演奏している。
第1楽章
第2楽章
第3楽章
第4楽章 "歓喜の歌"
【初期稿】
交響曲 第6番 "田園" 〔第1稿〕 (ベートーヴェン) S.463b
ベートーヴェンの「交響曲 第6番 "田園" Op. 68」のトランスクリプションの初稿。おそらくベートーヴェンの交響曲編曲でリストが一番最初に取り掛かったもの。1837年作。リストがベルリオーズに語ったところによると第3楽章の「第9小節から第16小節までは最初の8小節に比べ若干ゆっくりめに演奏する。最初の8小節は若い農民の集いだが、その次の8小節は年老いた農民の集いだから」とのこと。
第1楽章 田舎に到着したときの晴れやかな気分
第2楽章 小川のほとりの情景
第3楽章 (農民たちの楽しい集い)
第4楽章 大嵐
第5楽章 嵐の後の喜ばしく感謝に満ちた気分
交響曲 第6番 "田園" (ベートーヴェン) 第5楽章 牧人の歌 "嵐の後の喜ばしく感謝に満ちた気分" 〔第2稿〕 S.463c
ベートーヴェンの「交響曲 第6番 "田園"」のリストによるピアノトランスクリプションの初版(リショー版)のすぐ後に、ブライトコプフ版が発売されたが、その版では第5楽章に変更が加えられていた。およそ1840年作。終盤に簡素なオッシアがある。
交響曲 第7番 〔第1稿〕 (ベートーヴェン) S.463d
ベートーヴェンの「交響曲 第7番 Op.92」のトランスクリプションの初稿。1838年に作り、1843年にリショー社により初めて出版される。第2稿より技巧的に難しい。
第1楽章
第2楽章
第3楽章
第4楽章
● 楽譜紹介
新リスト全集の楽譜では今回ご紹介した楽曲は以下のものに収録されています
・交響曲 第1番~第4番 (ベートーヴェン)
※ 楽天リンクはこちら
・交響曲 第5番~第7番 (ベートーヴェン)
※ 楽天リンクはこちら
交響曲 第8番~第9番 (ベートーヴェン)
※ 楽天リンクはこちら

・交響曲 第5番~第7番 〔初稿〕 (ベートーヴェン)
・英雄交響曲の葬送行進曲 (ベートーヴェン)
それではみなさま良い一日を
