【KK60】小泉今日子 還暦ライブ2026徹底レポ:“アイドルを終わらせたアイドル”は今も輝いていた
小泉今日子の還暦ライブ「KK60」を通じ、80年代アイドル史の分岐点「なんてったってアイドル」の歴史的意味と現在の彼女の表現活動を構造的に解剖する。かつて虚像を破壊した彼女が、生身の人間としていかに「アイドル」を更新し続けているかを検証し、その変わらぬ輝きとメッセージ性が放つ熱量の正体を提示する。
note公式の「今日の注目記事」に選出。
「KK60 〜コイズミ記念館〜 KYOKO KOIZUMI TOUR 2026」に参加した。
※ネタバレにご注意ください! #ネタバレ
KYON²とは?
KYON²とは、小泉今日子を表す愛称で、キョンキョンと読む。
KYON² = 小泉今日子 = キョンキョン
「花の82年組」と称されるアイドル当たり年にデビューしたが、世間に広く名が知られたのは「渚のはいから人魚」がヒットした1984年のことだろう。聖子ちゃんカットが大流行した時代に、アンチテーゼのようなショートカット姿が鮮烈なインパクトと伴に心に刻まれている。
「花の82年組」とは、1982年(昭和57年)にデビューしたアイドルの中でも、特に人気・実力・個性が突出していたメンバーを指す呼び名。80年代アイドル黄金期を象徴する“当たり年”として語り継がれている。
中森明菜、 小泉今日子、 松本伊代、 堀ちえみ、 早見優、 三田寛子、 石川秀美、 シブがき隊がいた。
その後、「ヤマトナデシコ七変化」「The Stardust Memory」と続けざまにヒットを飛ばしていく。
そして1985年、遂に昭和のアイドル史に燦然と輝く伝説の曲「なんてったってアイドル」がリリースされた。
恋をするにはするけど
スキャンダルなら ノーサンキュー
イメージが大切よ
清く 正しく 美しく
なんてったって アイドル
私は アイドル
それまでのアイドルは、「手の届かない憧れの存在」として「清く、正しく、美しく」あり続けていた。
誰も本当には信じていなかったけど、アイドルはトイレに行かないし、オナラもしない。邪悪な心を持つこともなく、純真無垢な心で、いつも完璧な天使のような笑顔で、画面の向こう側からこちら側のボクに向かって微笑んでいてくれる存在だった。
そんなアイドル世界が「なんてったってアイドル」によって変貌を遂げたのだ。
「なんてったってアイドル」はアイドルの「中の人」の目線で歌われている。それまで人形のように理想像として存在していたアイドルが、(歌の中とは言え)赤裸々にその心情を語り始めたのだ。
急に生身の人間の声が(歌の中とは言え)世に漏れ出てしまい、初めて聴いた時には衝撃であった…。
西暦がキリストの生まれる前と生まれた後で区分されているように、昭和のアイドル史はKYON²前とKYON²後で、はっきりと分かれている気がする。
KYON²前には「手の届かない憧れの存在」だったアイドルが、KYON²後には「身近で応援したくなる存在」へと変わったのだ。
事実、その後の出てきたアイドルたちは「人形としての存在」ではなく、「生身の人間」として本音を語るようになったと、同時代を生きてきた自分は実感している。
大げさに言えば、アイドルは「消費される存在」から「表現する存在」へと変身したのだ。
その分岐点に、KYON²は立っている。
もしかして「なんてったってアイドル」は「アイドルの人間宣言」だったのかもしれない。もう40年も前の出来事であるが、初めてその曲を聴いたときにそう感じた。
確かに、KYON²がアイドルを終わらせたのだ。
さほどに、KYON²の「なんてったってアイドル」は、アイドル界においてエポックメイキングな出来事だったように思う。
ちなみに、「なんてったってアイドル」の作詞者は秋元康だ。さすが時代の変革者だけある。その後も、時代の節目節目に関わっている。
KYON²が「なんてったってアイドル」を歌ったのはもちろん事務所のプロモーション戦略であったとは思うが、後年の彼女の言動を加味すると、時代を見据えた本人の意思だった可能性もある。
その後は「夜明けのMEW」「木枯しに抱かれて」などのバラードが続く。フィンガー5のカバー曲である「学園天国」などノリのいい曲も好きだが、バラードもいい。
ドラマ出演も積極的にこなした。中でも田村正和と共演した「パパとなっちゃん」はよく覚えている。ミリオンセラーを記録した主題歌の「あなたに会えてよかった」は作詞も手掛けいて、多才なところを魅せている。
昨年はドラマ「続・続・最後から二番目の恋」にも出演していて、等身大のアラカン女性を見事に演じていた。
いい感じに歳を重ねているようだ。女性ファンが増えているのも納得だ。
そんなKYON²も、今年還暦を迎えた。ライブツアーもやってる。
同時代を生きてきたKYON²に会ってみたい。生歌を聴いてみたい。そんな思いで、KYON²の誕生日のその日にNHKホールに出かけたのだった。
コンサート
ステージとバンド
ステージは、舞台中央に半円状に設けられた舞台と、両脇に設けられた階段で繋がった一段高いもうひとつの舞台とで構成されている。主にこの2つがKYON²の定位置となっていた。
上方背面にはLEDパネルが3面設置されて、曲に合わせたデザインが表示されていた。曲によっては、ステージから客席に向けてサーチライトが縦横無尽に照らされて会場の雰囲気を盛り上げていた。
バックバンドのメンバーは、ドラムス、打楽器、ベース、ギター、キーボード、サックス、コーラスの7名だったと思う。
ステージ前では半透明のスクリーンが上下し、オープニングや幕間で映像が投影されて、観客を飽きさせない工夫がなされていた。
オープニングの映像はAIとの会話。本当にAIとの会話を再現しているのか、会話してる体で構成した内容を映しているのかは不明であるが、AIへの問いかけには少し自虐も入っていて会場から笑いと拍手が沸き起こっていた。
「かつて虚像を破壊した生身の人間であるKYON²」と、「現代における究極の虚像である生成AI」が、向き合って対話している構図は、シュールであった。
お笑い芸人・麒麟の川島によるKYON²の過去写真を観てひとことを言う「写真大喜利」が映されたり、AIの提案で「まだ途中」とKYON²が言うだけの新曲「まだ途中」を披露することになったり(AIのせいでちょっとすべった?)、何だか楽し気な時間であった。
ビジュアル
ちなみに幕間はKYON²のお着換え時間でもある。女子にしてはKYON²の着換え時間は短めだったように思う(笑)
合計4回衣装を変えていたが、最初はギンギラギンの衣装で登場して度肝を抜かれた。何というか、ピンクレディが「UFO」を歌ったときの小さなミラーが無数に付いたド派手な衣装とでも言えばイメージできるだろうか?
この格好で清水次郎長ばりに「へぇ、ちょいとお立会い…生まれは神奈川、所は厚木…上の名は小泉、下の名は今日子、人呼んでキョンキョンと申しやす…お見知りおきのほどを…」(こんなかんじ)の口上はイカシテタなぁ(笑)
その後は、白いドレス→紺色のビロード服→白いズボン服と七変化した(←自分の語彙力の無さに脱力)。そして、アンコールではお決まりのTシャツ姿かと思いきや、襟付きの黒のコートスカート?に黒のハイヒールで再登場。髪は後ろでお団子結び。手には真っ赤なマイクを持っている。
これが、ビシッと決まっていて、とてつもなくカッコいいのだ。
「ムチャクチャ似合ってる…」思わず口から洩れてしまった。
もちろん赤いマイクは還暦の印。赤いチャンチャンコよろしく赤い衣装で身を固めないのも彼女流なのだろう。
MC
MCは終盤にまとめて入れていた。
前半はまったく喋らなかったので、「えっ!喋らないスタイル?」って思ってたが、ちゃんと喋ってくれてよかった。
軽妙に客席のプラカードに突っ込む姿は、40年以上も芸能界を生き抜いてきた余裕が感じられた。
「『還暦おめでとう』はい、ありがとう」
「え?ロンドンから来たの?なんでー?」
「長倉和平?はい、来てないですー」
2階席から「キョンキョン!こっちも見てー」と声が上がると、
「見てるよー。最近、近くも遠くもよく見えないけどー」
ドッと笑いを誘っていた。
年齢アンケートで「10歳以下の人?居ないかな?」に
おっさんの声で「はーい」が会場に響き渡ったときには
間髪入れずに「ウソつけ!」と突っ込んでた。
真相はお子さんを連れてきたお父さんの声であった(笑)
ちなみに観客のメイン層は圧倒的に50代であった。男女比はやや女性が多めの感じだ。
KYON²が喋っているときの会場からの不規則発言に対しては、
「ちょっと待っててね。今喋ってるから。何を言っていい時間じゃないのよ」と姉御キャラで応えてくれる。
この日一番の出来事は、客席で誰かが突然「ハッピバースデーツーユー!」と歌いだし、それに従って会場全体で大合唱が自然発生的に起こったことかもしれない。
「ハッピバースデーツーユー!ハッピバースデー ディア キョンキョーン! ハッピバースデーツーユー!おめでとう!!」の声が会場にこだました。
今日はちょうどKYON²の還暦の誕生日。みんなきっと歌いたかったんだな…。
KYON²の愛されキャラが端的に表れていたように思う。
曲
曲順は、出だしから「ヤマトナデシコ七変化」「艶姿ナミダ娘」「The Stardust Memory」「木枯しに抱かれて」とメジャーな曲が続いて、会場が一気に熱くなる。
1曲目から立ち上がって、幕間を除いてほとんど立ちっぱなしで、アラカンには足がきつかった(笑)
「The Stardust Memory」は、サビでの手の振りをYouTubeで予習して行ってよかった(笑)
「木枯しに抱かれて」は、冷たい風と片思いの心情を巧みに表現した前奏の物悲し気なメロディーが大好きだ。そういえば若いころはカラオケでよく歌っていたっけ…(遠い目)
幕間が開けてからの「なんてったってアイドル」はジーンときて、少し涙が浮かんでしまった。
「学園天国」はやっぱり盛り上がる曲だ。
「Hey hey hey hey hey!」のKYON²と会場との応酬がとても楽しい。
KYON²のキャラを一番体現している曲ではないか?
オリジナルを超えて、今や完全にKYON²の曲になっている。
「T字路」「ダンスに間に合う」はドラマ「最後から二番目の恋」シリーズの主題歌だ。そういえば、吉野千明(KYON²が演じたドラマの主人公)を求めて、昨年は鎌倉のロケ地巡りをしたっけ…。
最後の曲は、「ビューティフル・ネーム」だ(ゴダイゴの歌)。
今日も子どもたちは 小さな手を広げて
光と そよ風と 友達を呼んでる
だれかがどこかで答えてる
その子の名前を叫ぶ
名前 それは燃える生命
ひとつの地球にひとりずつひとつ
KYON²は、野生生物が豊かに暮らせる山を育むことで、人の暮らしと動物たちが共に生きられる関係を目指し、森にどんぐりの植樹を行う寄付プロジェクト「明日の森プロジェクト」を主導している。
MCでも、次のように語っていた。
「どんぐりの木が大きく育つ頃には私はもう生きていないと思います。でも未来の人たちのために今行動を起こしたい」
そのまっすぐな姿を、また応戦したくなった。
コンサートの最後の曲に「ビューティフル・ネーム」を選んだのは、彼女からのメッセージだと受け取った。
そしてアンコールは、「あなたに会えてよかった」と「100%」で締めた。
本当に、KYON²に会えてよかった。
今でもアイドルをしていた
KYON²はアイドルを終わらせたアイドルだと、ずっと思って生きてきた。
確かに、KYON²以降に登場したアイドルたち(ネオ・アイドル)は人間としての本音を話すようになり、アイドルの偶像性は失われた。
しかし、今こうしてKYON²の活動を間近で眺めてみると、やっぱり彼女はアイドルなのだと再認識した。
ドラマで等身大でありながら素敵なアラカン女性を演じたり、上記のような社会活動を行ったり、従来の芸能人の枠を一歩踏み出して政治的な発言をしたり、それらの活動が全部カッコいいのだ。
世の人々が憧れるような生き方を示していてくれる。
これって、やっぱりアイドルってことじゃないか?
「ボクら世代にとって、キョンキョンは永遠のアイドルなのだ!」
セットリスト
※セットリストはネット情報を参考に記載しています。
正確性に欠けるかもしれません。
【開幕】
1. ヤマトナデシコ七変化
2. 艶姿ナミダ娘
3. 迷宮のアンドローラ
4. The Stardust Memory
5. 木枯しに抱かれて
【幕間】
6.なんてったってアイドル
7. 100%男女交際
8. Good Morning-Call
9. 学園天国
【幕間】
10. 丘を越えて
11. 月ひとしずく
12. 水のルージュ
13. Fade Out
【幕間】
[まだ途中(AIが示唆した新曲⁉)]
14. 潮騒のメモリー
15. T字路
16. ダンスに間に合う
【MC】
17. ビューティフル・ネーム
【幕間・アンコール】
【MC】
18. あなたに会えてよかった
【MC】
19. 100%
【閉幕】
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※小泉今日子さん、出演者の皆さん、バンドの皆さん、スタッフの皆さん、ファンクラブの皆さん、素敵なステージをありがとうございました。
※トップ画像は生成AIによるイメージです

