『最後から二番目の恋』鎌倉ロケ地巡礼で見つけた、FIRA60世代の「終わらない希望」
ドラマ『続・続・最後から二番目の恋』の終了による喪失感を抱え、鎌倉のロケ地を巡ったFIRA60世代の記録。現実には存在しない登場人物たちを「パラレルワールドの住人」と位置づけることで、エンディング曲「ダンスには間に合う」に込められた「諦めなければ希望はある」という真理に辿り着く構造的エッセイ。
ドラマが終わった喪失感と「いざ、鎌倉」への衝動
春ドラマ「続・続・最後から二番目の恋」が、6月末で最終回を迎えてしまった。
鎌倉という場所は、古都の風情と海の香りが交わるとても素敵な街だ。
そこで暮らす吉野千明(小泉今日子)と長倉和平(中井貴一)とその家族たちが織り成す暮らしが、とても優しくて、とても切なくて、時にほっこりして、笑えて、自分事として深く考えさせられる、すごく素敵な物語となっている。
特に3期目となる今シーズンは、吉野千明(小泉今日子)が還暦直前の設定で、定年を間近に控えてその先の人生をどう生きていこうかと模索している世代にグサグサと刺さりまくるエピソードに溢れていた。
自分は一足先に、FIRA60をした身であるが、とても共感を覚えて、毎週欠かさずに観ていた。
その「続・続・最後から二番目の恋」が終わってしまったのだ。
ちょっとしたロスである…。
ボーっと感慨に耽っていたら、吉野千明(小泉今日子)や長倉和平(中井貴一)が住んでいる鎌倉を、無性に訪れてみたくなった。
「もしかしたら、彼女らに会えるかもしれない」
もちろん、そんな筈がないことはわかっているが、心が鎌倉に行きたいと訴えてくる。
平日でも、思いつきだけでフラッと出かけてしまえるのは、無職FIRA60をした身の特権であろう。
てなわけで、「いざ、鎌倉へ!」出発だ。
現実とフィクションの境界を歩く:鎌倉散策録
グリーン車で向かうアラ還のリアル
鎌倉は15年ぶりだろうか?家族4人で何度も訪れている。
最初に妻と2人で行ったのは確か結婚前に付き合っていた頃だから、もう30年以上前のことか?ホエ?(シロ目…)
車で訪れたこともあるが、このインバウンド全盛のご時世に渋滞が怖いから、迷いなく電車でGOだ。
調べてみたら、新宿から湘南新宿ライン直通で1時間ほどで鎌倉に着くみたいだ。意外と近いもんだ。
しかし、こんな時にもグリーン車を利用するのがアラ還夫婦だ。
昔は「グリーン車などという座席は誰が利用するんだ?もったいなくね?」と疑問に思っていたが、この歳になると利用したい気持ちがよくわかる。
体力が落ちた分、行き帰りの移動では、なるべく体力を温存しておきたいのだ。
けっきょく、「乗車料金:945円+グーリーン券:1,000円」を支払い、湘南新宿ラインに乗った。
在京テレビ局に勤める吉野千明(小泉今日子)もこの電車で通勤していたのだろうか?
毎日乗ることを考えたらグリーン車はちとお高いが、ゼネラルプロデューサーの独り身なら何てことないか?
そんな妄想に耽っていたら、あっと言う間に鎌倉駅に到着した。
鶴岡八幡宮〜長谷寺:観光と妄想の交差点
人でごった返す小町通を抜けたら、早めのお昼。
予約もなしにふらっと立ち寄った店の十割蕎麦がとても美味しかった。
中庭の紫陽花も風情がある。
吉野千明(小泉今日子)と長倉和平(中井貴一)も、こんな店で蕎麦を食すのだろうか?
幸せな時間だ。
鎌倉に来たら、まずはここにお参り。
武運を祈る(何の?笑)。

江ノ電に揺られて、長谷駅で降車。
相変わらず観光客が多い。
長谷寺の観音様にお参りした後は、寺の紫陽花園を散策。
トップ画像の紫陽花はここで撮影。
スマホのレンズも進化したものだ。腕を選ばない(笑)
高台から望む鎌倉の景色もいい。

暑さに負けないように、お寺の茶店で涼む。
冷たい飲み物が喉に心地よい。

ロケ地の真実とパラレルワールドの受容
長谷寺からちょっと歩くと、ドラマの舞台に到着。
左がカフェナガクラで右奥が吉野千明(小泉今日子)の家。
現実世界では、別の名前の店になっていた…。
ここには、千明(小泉今日子)と長倉和平(中井貴一)は居ないらしい…。

御霊神社の通りを海沿いに下っていくと、ドラマでもよく映る店がポツリ。

由比ヶ浜は静かな海だ。
目を閉じて耳をすませば、兵どもの雄たけびが聞こえてくる気がする。
ゴミを拾い集めるえりな(白本彩奈)の姿は、見つからなかった…。

降車時にPASMOの在処がわからずに探す千明(小泉今日子)と、それをすぐに言い当ててしまう長倉和平(中井貴一)のお馴染みのやりとりが繰り広げられるいつもの改札口。
極楽寺駅は、とても雰囲気のある駅だ。
ナガクラカフェに帰るなら、隣の長谷駅の方がずっと近いし、坂道が無くて便利なことは、現地に行かないとわからないこと。
長谷駅は乗降客が多く、車の通行量も多くて撮影に適さないのは、大人の事情だ。

JR鎌倉駅からひと駅戻ると、駅前に円覚寺が現れる。
禅宗の寺である。
成瀬先生(三浦友和)と千明(小泉今日子)も、この紫陽花の道を歩いたのだろうか?

本来なら座禅を組む修行の場所であるが、俗人は食に走りたくなる。
庵に設けられた茶店で涼をとる。
紫陽花に彩られた庭を眺めながら、しばし小休止すると、煩悩も溶けていくようだ。


帰りは、北鎌倉駅から再び湘南新宿ラインに乗って新宿へGO。
グリーン車の席で「やっぱり、鎌倉に行っても千明(小泉今日子)や長倉和平(中井貴一)は居なかったな…。」そんな当たり前の感慨に耽りながら、家路に向かう。
ドラマはドラマ。現実とは違う。
だから、鎌倉に行っても、千明(小泉今日子)や長倉和平(中井貴一)には会えない。
彼女たちは、同じ鎌倉という街の別の世界線、つまりパラレルワールドに住む住人たちなのだ。
そう考えることにした。
パラレルワールドでは、我々が日々感じているが、なかなか口には出しづらい切なさや迷いなどの感情がクローズアップされ、白日の下に晒されていく。
登場人物たちが、我々に成り代わって、悩み、泣いて、笑ってくれるから、疑似体験ができ、我々にとって深い学びとなるのだ。
良質なドラマとはそういうものだ。
その当たり前のことを再認識できた聖地巡礼であった。
「ダンスには間に合う」が提示する人生の希望
ドラマのエンディングテーマは、「今夜ダンスに間に合う」だった。
今夜ダンスには間に合う
散々な日でも ひどい気分でも
今夜ダンスには間に合う
分かり合えなくても 離れ離れでも
今夜ダンスには間に合う
何も持ってなくても
無くしてばかりでも
今夜ダンスには間に合う
Ah 諦めなければ
とても素敵な歌詞だ。
「散々な日でも ひどい気分でも」「分かり合えなくても 離れ離れでも」「何も持ってなくても 無くしてばかりでも」、「諦めなければ」「ダンスには間に合う」と歌ってくれている。
とても希望を感じさせてくれる歌詞だ。
しかし、このダンスとは、いったい何を指しているのだろうか?
2人ともバブル世代だから、そのままディスコでの踊りの意味か?
それとも、家族団らんのメタファーか?
どんなに離れ離れでも、2人は分かり合えるという意味か?
その意味も確かにあると思う。
でも、本当のところは「希望」なんじゃないか?
「ダンスには間に合う」=「希望はある」
どんなにうまくいってなくても、諦めさえしなければ、
「大丈夫!希望はあるから」
そういうメッセージなんじゃないかな?
このドラマのテーマにピッタリのエンディングテーマだと思う。
ちなみに、些細な違いであるが、歌の題名は「今夜ダンスに間に合う」だが、歌詞では「今夜ダンスには間に合う」と少し変えている。「は」が入ることで、「(他はしらんけど)ダンスだけには間に合う」と強調されているようにも思える。
そう考えると、本当の意味は、諦めさえしなければ、
「大丈夫!希望だけはあるから」
というメッセージなのかもしれない。
「今夜ダンスには間に合う」そんなメロディーを口ずさみながら、残りの人生を諦めずに生きてゆきたい。
そう強く思った。
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