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押入れタイムカプセル(020)

おこめ市況<1895年(明治28年)5月15日>

明治時代のお米の市況記事『深川正米市場』です。読めるのですが、分からない…。【】や〇の部分は読めなかった文字です。(もう少し頑張れば読めるというか解読できるはずですが、頑張れなかった…。)

1895年(明治28年)5月15日 開花新聞の正米市場の記事

「米況ハ本日モ市場矢張來客少く真に當用ロの撰買ふすぎざるが如し尤も目下天候好順にして麦作は概ね好況の聞えあり近々北國米纏物の入津あるがゆゑ買人は自然下直を唱え益々手【抑】ゆる【模〇】なるが何様此所は定期適切の成行如何に注目しつつある折柄なれば荷主も無碍〇乗出し賣急げる容子なし左れば本日朝來先ず昨同様より品に〇り五勺安に取組みたり併し強弱区々の見のみに依り價位も頗ぶる不同にて中には一合安に売買したる分もあり要するに人気は至って沈静にて薄商内閑散たるを免れざる現状成りき」

こんな具合です。文字起こしは9割できたけど、今度は内容が伝わってこない…。日本語とは思えない…。

ここでAIにも助けてもらって現代語訳を作りました。

◆明治28年5月15日『深川正米市場』欄

米況は本日も、市場にやはり来客少なく、実需(当用口)の選別買いがわずかに見られる程度。もっとも、目下の天候は順調で、麦作はおおむね好況との声あり。さらに近々、北国米のまとまった荷の入津(入港)が予想されているため、買い手としては自然と値下げを唱え、いっそう手控える様子である。とはいえ、この市場は定期的に取引が行われる場であり、今後の成行きに注目が集まっている時期でもあるから、荷主側もあえて無理に乗り出して、売り急ぐ様子は見られない。このため、本日朝からはおおむね前日同様の水準に品を加減して、五勺(ごしゃく)安に取引が始まった。
しかしながら、売り手・買い手の見方(強弱)がまちまちであるため、価格は大きくばらつき、中には一合(いちごう)安での売買が成立したものもある。要するに、市場の人気(にんき)は極めて沈静で、取引は薄く、内部は閑散たる状況を免れなかった──というのが本日の様子であった。

◆補足読み解き

  • 當用ロの撰買ふすぎざるが如し
     → 実需分を買うための選別買い(撰買=よりぬき買い)にすぎない様子。

  • 五勺安・一合安
     → 明治の米取引でよく用いられた単位。
     五勺=0.5合、つまり価格がやや下がったことを意味します。

  • 強弱区々の見に依り價位も頗ぶる不同
     → 強気・弱気の見通しが人によって分かれており、価格が大きくばらついている。

  • 荷主も無碍〇乗出し賣急げる容子なし
     → 荷主(売り手)側も強引に売り出すような素振りは見られない。


最近も米価が高騰しても誰がどこで手を引いているか、なぜ買い手がつかないのか、ニュースを見てもはっきりは分からない感じですが、その意味では少し今と似ているのかな、と思います。いずれにせよ、現代語訳を作るとそれこそしっかり情報を読み取れて、記事の役割を果たしているのが分かりますが、読めないと何も分からない。そこに我ながら驚きました。

そもそも 正米(しょうまい)とは何か?

「精選・精米された標準的な白米のこと」。市場で基準とされる“正規品”の白米ということになります。これも調べてみると興味深く、以下:

◉ 元々の米流通は「混米(ごちゃまぜ)」が基本

江戸時代〜明治初期までは、

  • 地域や農家ごとに精米の程度や粒の揃い方に差があり、

  • そのまま「くず米」「不揃い米」「混米(こんまい)」として売買されることも多かった。

◉ そこに登場したのが「正米」

  • 特定の精米基準を満たした、

  • 雑物や未熟米が混じっていない、

  • 規格として市場に出せる米。

それが「正米」です。
つまり、「ちゃんとした商品として通用する品質」のこと。


◆正米市場とは?

正米の売買を専門に扱う市場(いわば「一等米だけの取引所」)

例えば深川・鰍沢の「正米市場」とは、粗雑な地元消費米ではなく、流通に回すべき“良質な米”を扱う場でした。

  • 規格に基づいて取引されるため、価格が市場の指標になりやすい

  • 出荷先(都市・軍・官公庁・大口商社)も多かった

つまり、「米の価格はここで決まる」と見なされるような中心的市場だったわけです。


◆ちなみに「等級」制度は?

明治期はまだ全国統一の等級制度が確立していない時代で、
市場ごとに「何を正米と見なすか」の基準はややローカルなものでした。

が、それでも「正米」と「その他の米(不選・並米)」の区別は非常に明確でした。


「正米市場」が新聞記事になる理由

  • 米は「物価の中核」であり、政治と直結した物資

  • 消費者も小売も仲買も、皆が価格を注視していた

  • 明治28年頃には、軍需・学校給食・官公需にも米が大量に流れていた

つまり、「正米市場の記事」は、“消費者物価指数”に相当する感覚だったわけです。

正米:精選・精米され規格に合った白米。市場取引用の“標準米”。
正米市場:正米のみを扱う公的または準公的な取引所。価格が指標として重視された。取引対象主に都市部・官公需・軍需・学校などへの供給ルートを持つ“良質な米”。


この背景を知ると、この市況記事の存在に納得がいきます。
「米価が上がった」「買い手がいない」
これは単なる取引の話ではなく「社会の温度」を伝えているのです。

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