ぶった斬るシリーズ第111弾「なぜ国際問題になると、人は人間関係の感覚を忘れるのか?」― 国際社会を中学校に置き換えてみた ―
♦️前書き
最近、「友好」や「関係改善」という言葉をよく耳にする。
ニュースでも、SNSでも、政治家の会見でもだ。
もちろん、それ自体は悪いことではない。
国同士が喧嘩をせず、平和に付き合えるなら、それに越したことはないだろう。
でもミリムは、ずっと不思議に思っていた。
どうして国際問題になると、人は急に人間関係の感覚を忘れてしまうんだろう。
友好とは何なのか。
協力とは何なのか。
そして、本当に仲良くする必要があるのだろうか。
そんなことを考えていたら、ふと学校のことを思い出した。
学校にはたくさんのクラスがある。
気が合う人もいるし、合わない人もいる。
それでも学校は毎日ちゃんと回っている。
今日は少しだけ、国際社会を学校に置き換えて考えてみたい。
♦️登場人物紹介
▪️ミリム
レガリア所属の観測者。
日常や社会の中にある「なんか変じゃない?」を見つけるのが得意。
難しい話でも、身近な例に置き換えて考える癖がある。
▪️レオ
レガリアの新人観測員。
素直で真面目。
ニュースを見ては「どういうことですか?」と疑問を持ち込み、読者と同じ目線で話を聞く役。
▪️ガストン
レガリアの古参観測員。
豪快で気さくな性格。
「難しい話は分からん!」と言いながらも、一般人が感じる疑問や違和感を代弁する。
▪️アルベルト
レガリアの参謀。
冷静沈着な分析家。
感情論ではなく、仕組みや構造から物事を整理して説明する役割を担う。
♦️第1章 友好って何だろう?
レオ
「ミリムさん、最近ニュースで『友好』とか『関係改善』って言葉をよく聞くんですけど、あれってそんなに大事なことなんですか?」
ミリム
「うーん、もちろん悪いことじゃないと思うよ。でもミリムね、その言葉を聞くたびに少し不思議だったんだ。」
ガストン
「がはははは!!また変なところに引っかかったな!友好なんだから仲良しってことだろ?」
アルベルト
「その『仲良し』という部分が今回のポイントかもしれませんね。」
レオ
「違うんですか?」
ミリム
「レオは学校の隣のクラス全員と仲良しだった?」
レオ
「いや、そんなことないです。話したこともない人だっていましたし。」
ガストン
「俺もだな。同じ学年でも名前すら知らん奴なんて山ほどいたぞ。」
アルベルト
「ですが、それで学校生活に問題はありませんでした。」
レオ
「確かにそうですね。」
ミリム
「そうなんだよ。学校って別に全員が親友じゃなくても回るんだ。」
ガストン
「まぁ、喧嘩ばかりしてたら困るがな。」
アルベルト
「先生が求めているのもそこです。全員が親友になることではなく、喧嘩をしないこと、相手を貶めないこと、そして必要な時に協力することです。」
レオ
「言われてみれば、その通りですね。」
ミリム
「そこでミリムね、国際社会も学校みたいなものなんじゃないかなって思ったんだ。」
ガストン
「学校?」
ミリム
「例えば白組があるとするでしょ。3年1組にはアメリカ先輩、2年1組には日本、2年2組には韓国、1年1組にはフィリピン、1年2組にはオーストラリアがいるんだ。」
レオ
「みんな同じ白組ですね。」
アルベルト
「ええ。しかし同じ白組でも、全員が同じクラスではありません。」
ガストン
「当たり前だな。」
ミリム
「体育祭になったらアメリカ先輩が『お前たち白組なんだから協力しろ』って言うと思うんだ。」
レオ
「それは言いそうです。」
ガストン
「白組なんだから協力するだろ。」
ミリム
「うん、ミリムもそう思う。でもさ、それって親友になれって意味じゃないよね?」
レオ
「あっ……。」
アルベルト
「協力と友情は別の話ですからね。」
ミリム
「そうなんだよ。なのに国際問題になると、不思議とそこが一緒になっちゃうことがあるんだ。」
ガストン
「どういうことだ?」
ミリム
「協力しろまでは分かるんだ。でも気がつくと『もっと仲良くしろ』になって、その先には『好きになれ』みたいな話まで出てくることがある。」
レオ
「確かに、それは別の話かもしれません。」
アルベルト
「まず必要なのは協力です。信頼はその後に積み重なるものであって、最初から存在するものではありません。」
ミリム
「そう。だからミリムね、『友好』って言葉を聞くたびに考えちゃうんだ。本当にそれって親友のことなのかなって。」
♦️第2章 友好と協力は同じじゃない
ガストン
「でもよ、同じ白組なんだったら仲良くした方がいいんじゃねぇのか?その方が体育祭も勝てそうだしな。」
ミリム
「もちろん仲が良いなら、それはそれで良いことだと思うよ。」
レオ
「じゃあ何が違うんですか?」
アルベルト
「仲が良いことと、協力することを同じに考えてしまうことです。」
ガストン
「同じじゃねぇのか?」
アルベルト
「例えば委員会です。同じ委員会に所属していても、全員が親友というわけではありません。しかし仕事は進みます。」
レオ
「確かにそうですね。」
ミリム
「文化祭も同じだよね。準備の時は協力するけど、終わったらそれぞれ自分の友達のところへ戻る。」
ガストン
「言われてみれば普通のことだな。」
アルベルト
「むしろ、それが健全な距離感です。」
レオ
「健全な距離感ですか?」
アルベルト
「ええ。人間関係は近ければ良いというものではありません。相手との距離を理解しているからこそ、長く付き合えるのです。」
ミリム
「友達でもそうだよね。」
ガストン
「がはははは!!確かにな!毎日ベッタリだったら疲れちまう!」
レオ
「それは分かる気がします。」
ミリム
「気を使うことと、仲良くすることも違うと思うんだ。」
ガストン
「どう違うんだ?」
ミリム
「例えば隣のクラスにちょっと苦手な人がいたとしても、わざわざ喧嘩はしないでしょ?」
レオ
「しないですね。」
ミリム
「悪口を言いふらしたりもしない。」
ガストン
「面倒事になるからな。」
アルベルト
「そして必要な時は協力する。それで十分なのです。」
レオ
「それって、友達じゃなくてもできますよね。」
アルベルト
「その通りです。」
ミリム
「だからミリムね、『友好』って言葉が出てくると少し違和感があるんだ。」
ガストン
「まだ引っかかってるのか。」
ミリム
「だって、友好って聞くと親友みたいなイメージを持つ人がいるでしょ?」
レオ
「確かにあります。」
ミリム
「でも学校で考えたら、隣のクラスと親友になる必要なんてないんだよ。」
アルベルト
「重要なのは、円滑に共存できることです。」
ガストン
「つまり喧嘩せず、必要な時は協力しろってことか。」
アルベルト
「それが社会の基本ですね。」
ミリム
「うん。そして学校で習うのも、本当はそこなんだと思う。」
♦️第3章 なぜ国際問題になると距離感を忘れるのか
レオ
「でもミリムさん、隣のクラスから嫌われていたら、もっと仲良くしようと努力するべきじゃないんですか?」
ミリム
「うーん、それも場合によると思うな。」
ガストン
「場合による?」
アルベルト
「例えば2年2組に、ずっと1組の悪口を言っている有力者がいるとしましょう。」
レオ
「いますね、そういう人。」
ガストン
「がはははは!!どこの学校にも1人はいるな!」
アルベルト
「では質問です。その時、1組はどうするべきでしょうか。」
レオ
「もっと仲良くしようと頑張る……とか?」
ガストン
「いや、普通は様子を見るだろ。」
ミリム
「ミリムもそう思うな。」
レオ
「え?」
ミリム
「だって、相手が変わる気もないのに、こっちだけ必死になるのって変じゃない?」
ガストン
「まぁ確かにな。」
アルベルト
「人間関係ではよくある話です。相手の課題と、自分の課題を分けて考える必要があります。」
レオ
「相手の課題?」
アルベルト
「ええ。2組が1組を嫌っているなら、それはまず2組側の問題です。」
ガストン
「1組の責任じゃねぇな。」
ミリム
「そうなんだよ。」
レオ
「じゃあ1組は何もしなくていいんですか?」
ミリム
「そんなことはないよ。」
ガストン
「ほう。」
ミリム
「挨拶はする。」
レオ
「はい。」
ミリム
「必要な話もする。」
ガストン
「当然だな。」
ミリム
「体育祭や委員会なら協力もする。」
アルベルト
「それが集団生活の基本です。」
レオ
「でも無理に仲良くなろうとはしない?」
ミリム
「うん。」
ガストン
「がはははは!!それが普通の距離感だな!」
アルベルト
「むしろ成熟した関係と言えるでしょう。」
レオ
「成熟した関係?」
アルベルト
「相手に合わせて自分を変えるのではなく、自分の立場を持ちながら共存することです。」
ミリム
「ミリムね、ここが大事だと思うんだ。」
ガストン
「何がだ?」
ミリム
「国際問題になると、自分の立場を忘れてしまう人がいるんだよ。」
レオ
「あ……。」
ミリム
「相手がどう思うかばかり気にして、自分たちがどうしたいのかを考えなくなる。」
アルベルト
「それでは健全な関係は築けません。」
ガストン
「友達でも同じだな。」
ミリム
「そうなんだよ。」
レオ
「確かに、友達でも一方だけが我慢していたら長続きしません。」
アルベルト
「関係とは双方で作るものですからね。」
ミリム
「だからミリムは思うんだ。」
ガストン
「おう。」
ミリム
「相手を必要以上に敵視する必要もない。」
レオ
「はい。」
ミリム
「でも、相手に好かれるために媚びる必要もない。」
ガストン
「その間が大事ってことか。」
ミリム
「うん。」
アルベルト
「礼儀を守る。約束を守る。必要な時は協力する。」
レオ
「それで十分なんですね。」
ミリム
「ミリムは、それが学校で教わる普通の人間関係だと思うんだ。」
ガストン
「がはははは!!確かに学校で考えると妙に分かりやすいな!」
ミリム
「そして国際社会も、案外そこから考えた方が分かりやすいのかもしれないね。」
♦️第4章 先生が本当に教えたかったこと
ガストン
「しかしよ、結局先生が言いたかったことって何なんだ?」
レオ
「確かに気になります。『みんな仲良くしましょう』って、よく聞きましたし。」
アルベルト
「では質問です。先生は本当に『全員親友になれ』と言っていたのでしょうか。」
ガストン
「無理だろ。38人いたら気の合う奴も合わない奴もいる。」
レオ
「僕もそう思います。」
ミリム
「ミリムもそう思うな。」
アルベルト
「先生が止めるのは何でしょう。」
ガストン
「喧嘩だな。」
レオ
「いじめもですね。」
ミリム
「悪口とか仲間外れとかもだよね。」
アルベルト
「その通りです。つまり先生が守ろうとしているのは友情ではなく秩序です。」
ガストン
「秩序か。」
レオ
「言われてみると、確かにそうですね。」
ミリム
「学校ってさ、みんなが親友だから成り立ってるわけじゃないんだよね。」
ガストン
「がはははは!!そんな学校があったら逆に怖ぇよ!」
レオ
「確かにそうですね。」
ミリム
「喧嘩しない。相手を貶めない。余計な波風を立てない。必要な時は協力する。それで学校は回るんだ。」
アルベルト
「社会も同じです。」
ガストン
「なるほどな。」
レオ
「じゃあ国際社会も……。」
アルベルト
「もちろん学校ほど単純ではありません。しかし人間が集まっている以上、根本は共通しています。」
ミリム
「だからミリムね、『友好』って言葉が先に歩きすぎてる気がするんだ。」
ガストン
「どういうことだ?」
ミリム
「友好って聞くと、みんな親友を想像しちゃうでしょ。でも先生が教えたかったのは、そこじゃないと思うんだ。」
レオ
「じゃあ何だったんですか?」
アルベルト
「苦手な相手とも、同じ社会で生きていく方法です。」
ガストン
「なるほどな。」
ミリム
「そうなんだよ。」
レオ
「……。」
ミリム
「先生が教えていたのは、友達の作り方じゃない。」
ガストン
「ほう。」
ミリム
「苦手な相手とも、同じ場所でやっていく方法だった。」
レオ
「だから学校は回るんですね。」
アルベルト
「そして社会も回ります。」
ガストン
「国同士も同じってことか。」
ミリム
「うん。だからミリムは思うんだ。」
レオ
「何をですか?」
ミリム
「日本と韓国は、親友である必要はない。」
ガストン
「おう。」
ミリム
「同じ白組として、必要な時は協力する。」
アルベルト
「ええ。」
ミリム
「でも無理に好きになる必要もない。」
レオ
「確かに……。」
ミリム
「礼儀を守る。」
ガストン
「約束も守る。」
ミリム
「そして自分の立場も守る。」
アルベルト
「それが健全な関係です。」
ミリム
「先生が教えてくれていたのは、案外そういう当たり前のことなんじゃないかなって。」
♦️後書き
学校で学ぶことは、勉強だけじゃない。
人との距離感。
協力の仕方。
そして、喧嘩をしない方法だ。
「みんな仲良くしましょう」という言葉は、全員と親友になれという意味ではなかったのだと思う。
気が合う人もいる。
苦手な人もいる。
それでも同じ場所で生きていく。
そのために、相手を貶めない。
余計な波風を立てない。
必要な時は協力する。
そして、自分の立場も大切にする。
国際社会は学校ほど単純ではない。
歴史もある。
経済もある。
安全保障もある。
それでも、人間が集まっている以上、根っこの部分は案外変わらないのかもしれない。
もし国際問題を見て迷ったら、一度だけ中学校を思い出してみてほしい。
案外そこに、先生がずっと前に教えてくれていた答えが残っているのかもしれない。
Fin
