🍅【プロ農家向け】2月のハウス・トマト栽培管理:春の増収へ向けた「アクセル」への切り替え
こんにちは。農業経営サポーターの小川隆宏です。
年間で最も過酷な12月・1月、本当にお疲れ様でした。加温コストの増大や低日射による樹勢低下に神経を削りながら、今日まで樹を守り抜いた皆様の努力が報われる時期がやってきます。2月初旬~中旬はまだまだ寒いですが2月は、「春の爆発的な増収に向けた準備期間」です。
1月に比べて日照時間が目に見えて長くなり、日射量も回復してきます。しかし、空気は依然として冷たく、地温の回復は気温に比べて遅れるという「ギャップ」が生じる時期でもあります。
今回は、環境制御を駆使するプロ農家の皆様へ、2月の栽培管理で意識すべき「攻めへの転換点」を解説します。

1. 🌡️ 日射量に合わせた「積極的な温度・湿度制御」
2月は「光があるのに気温が低い」という状況が生まれます。1月までの「守り」の設定を少しずつ「光合成優先」へシフトさせます。
1-1. 日中の最高温度の引き上げ
日射が強くなる日は、午前中のハウス内温度を1月より1〜2℃高め(25℃〜26℃目安)に管理し、光合成を促進させます。
積極的な換気: 日射により温度が上がる際、結露を恐れて換気を遅らせると、今度はハウス内が高温・多湿になりすぎ、「徒長」や「病害」を招きます。天窓や側窓を段階的に開け、「新鮮な空気とCO2」を取り込む管理へ移行しましょう。
CO2施用の延長: 日射量が増えるため、光合成の「原料」であるCO2の要求量も増えます。換気開始ギリギリまで、あるいは換気中も低濃度(400〜600ppm程度)で施用を継続し、光合成量を稼ぎます。

1-2. 「地温」と「気温」のギャップに注意
2月は日中の気温が上がっても、土壌や培地の温度(地温)はまだ低いままです。
生長の不一致: 気温だけを上げすぎると、地上部(茎葉)の生長に対して根の吸水・吸肥が追いつかず、日中に植物が萎(しお)れる原因になります。昼夜温格差(DIF)を意識しつつ、夕方の早めの閉込みで地温を温存する工夫をしましょう。
2. 💧 蒸散量に合わせた「潅水・施肥のボリュームアップ」
日射の回復に伴い、トマトの蒸散(水分を吐き出す力)が急激に高まります。1月の「極限の少量潅水」から卒業する時期です。
2-1. 潅水量の段階的な増加
・「光センサー」の活用: 積算日射量に基づいた自動潅水を行っている場合は、設定値を2月仕様に見直します。1月よりも総潅水量を20〜30%程度増やし、根域の水分不足を防ぎます。
排液確認の徹底: 養液栽培の場合、日中の蒸散が活発になるため、排液量と排液ECを毎日チェックしてください。排液ECが急上昇している場合は、水分が足りず肥料成分が濃縮されているサインです。

2-2. 肥料バランスの「生殖から栄養」への微調整
1月までは着色を優先したカリ(K)重視の管理でしたが、2月からは春の旺盛な生長を支えるため、窒素(N)成分を少しずつ標準的なバランスに戻し、新しい葉や茎をしっかり作らせます。
3. ✂️ 「春のピーク」を作るための整枝・摘果
2月の管理が、3月〜4月の収穫量に直結します。ここで樹を「春仕様」に作り変えます。
3-1. 葉面積(LAI)の確保
冬の間に「守り」のために葉を少なくしていた方は、2月からは少し多めに残すようにします。
目標: 展開葉を15枚〜18枚程度まで増やし、強くなった日射を余さずキャッチできる「ソーラーパネル」を構築します。ただし、株元の風通しが悪くならないよう、古い下葉の除去は継続してください。
3-2. 収穫のテンポアップに伴う摘果の緩和
12月・1月は厳しく着果制限(摘果)をしてきましたが、日射が回復する2月以降に開花する花房については、制限を少し緩め(1果房あたり4〜5個目安)、収穫量を上向かせていきます。
果実の肥大スピード: 気温の上昇とともに、開花から収穫までの日数が短縮されます。遅れずに収穫し、樹への負担(着果負荷)をコントロールすることが、春以降の「なり疲れ」を防ぐコツです。

💡 まとめ:2月のキーワードは「順応」と「加速」
2月は、植物が冬眠から目覚め、春に向けてギヤを上げる月です。
光合成を最大化: 日射を無駄にせず、温度とCO2を積極的に管理する。
根の活動をサポート: 増える蒸散量に合わせて、水と肥料を段階的に増やす。
春の土台作り: 葉を十分に確保し、次の収穫ピークに備えた樹勢を作る。
環境制御装置のデータを1月と比較してみてください。確実にトマトの「食欲(吸水・吸肥量)」が増しているはずです。その変化に敏感に「順応」し、管理を「加速」させていくことが、春の豊作を手にする唯一の道です。
春はもうすぐそこです。共に頑張りましょう!
【問い合わせ】
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