健康でいられる時間を伸ばすために ~ 厚生労働省が進める「攻めの予防医療」とは

厚生労働省が進める「攻めの予防医療」とはどのような取り組みなのでしょうか。従来の予防医療と何が違い、私たちの生活にどのような変化をもたらすのか知っておきたいと思います。

近年、厚生労働省が掲げる「攻めの予防医療」という言葉を耳にする機会が増えてきました。
従来の予防医療と何が違うのか、なぜ今この考え方が重要なのか、そして私たちの生活にどのような変化をもたらすのか。
そうした疑問を考えていくと、健康づくりは「自己管理」だけでなく、社会全体で支える時代へ変わりつつあることがみえてきます。
※厚生労働省「U.E.N.O.Plan~攻めの予防医療厚生労働省関係施策~ : Understand, Exercise, Nourish and Optimize for Better Health」を公表します」

1 従来の予防医療と「攻めの予防医療」の違い
(1)従来の予防医療は「守り」
これまでの予防医療は、どちらかというと「受け身」の取り組みでした。
健康教育
健康リテラシー向上
生活習慣改善の啓発
そうした取り組みはもちろん重要です。
しかし、
「知っているけれど行動できない」
「わかっているけれど続かない」
という課題がつねにつきまといます。
つまり、行動変容が起きにくいという弱点がありました。
(2)攻めの予防医療は「能動的な行動を促す」
そこで厚生労働省が打ち出したのが「攻めの予防医療」です。
それは「行政や保険者が積極的に介入し、国民が能動的に予防医療に取り組めるよう支援する仕組み」を指します。
重要なのは、「強制ではなく、行動しやすい環境を整えること」です。
行政が「やりなさい」と義務付けるのではありません。
「やりやすくする」「やりたくなるようにする」という方向性で支援を行います。

2 攻めの予防医療が重視する6つの重点領域
厚生労働省は、とくに効果が大きいとされる6つの領域を重点的に進めるとしています。


3 行政が積極的に介入する理由
(1)行動変容を起こすための「環境整備」
攻めの予防医療では、行政や保険者がつぎのような支援を行います。

すべて「国民が受動的ではなく能動的に健康づくりに参加できるようにするための仕組み」です。
(2)強制ではなく「促す」
行政が積極的に関わると聞くと、「義務化されるのでは?」と心配する人もいるかもしれません。
しかし、厚生労働省の方針はあくまで「行動しやすい環境を整える」ことが目的であり、強制ではありません。

4 攻めの予防医療がもたらす社会的メリット
攻めの予防医療は、個人だけでなく社会全体に大きなメリットをもたらします。
(1)健康寿命が延びる
予防医療が進むことで、自立して生活できる期間が長くなります。
その結果、人生の充実度が高まります。
趣味や旅行を楽しめる時間が増える
地域活動や社会参加がしやすくなる
仕事を続けられる期間が延びる など
(2)個人の医療費・介護費が減る
生活習慣病や重症化を防ぐことで、個人が支払う医療費や介護費の負担が軽くなります。
健康でいることは、経済的にも大きなメリットがあります。
(3)社会全体の医療費が中長期的に適正化
予防医療は短期的には費用がかかります。
しかし、中長期的には生活習慣病・重症化・要介護化を防ぐことで、社会保障費の増加ペースを抑える効果が期待されます。
それは社会保障制度の持続性を高めるうえで非常に重要です。

5 攻めの予防医療は「個人の幸福」と「社会の持続性」を両立する政策
攻めの予防医療は健康政策にとどまりません。
その本質は、つぎの2つを同時に実現することにあります。

つまり、「個人の幸せ」と「社会の安定」を同時に高めるための政策」といえるのです。

攻めの予防医療は「健康は個人任せではなく、社会全体で支える」という新しい考え方にもとづいています。
行政や保険者が積極的に支援することで、私たち一人ひとりが健康づくりに取り組みやすくなります。
その結果として人生の充実度が高まり、社会全体の負担も軽くなります。
予防医療は、これからますます重要になるテーマです。
自分自身の健康を守ることが、社会全体の未来を支えることにもつながります。
