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お墓にも、栄枯盛衰があるらしい

深夜1時。
私はパソコンの前で、
栄枯盛衰について
考えていました。

原因は、AIです。
いや。正確には、
tapitapiさんの記事です。

tapitapiさんの
お盆の記事を読んで、
私は吹き出し、
ホロリとしました。

うちの実家に来てくださる
オッさまは、
禅宗の由緒あるお寺で
長く厳しい修行を
されていた方です。

お経は、低く、深く、
朗々としている。

よどみなく流れます。

ところが。
戒名のところに
差し掛かると、
事情が変わります。

オッさまの顔が、
ご位牌へ近づく。
目を細める。
眼鏡を額の位置に上げる。

凝視。

お経は、止まりそうで
止まらない。

絶妙です。

吹き出しそうになる私は、
下を向いて必死に拝んでいる
フリをします。

どれだけ修行を積んでも、
小さい字は、小さい。
人間には、
超えられないものがあります。

そして明日から、
私の会社はお盆休みです。

母からは、すでに
お墓参りの指令が
出ています。

うちの実家は、
お盆をかなり
きちんとやります。

迎え火。
送り火。

ご先祖様には、
専用車両もあります。

早く帰ってきてほしい。
行きは、キュウリの馬。

名残惜しい。
帰りは、ナスの牛。

ご先祖様の移動にも、
こちら側の都合が
かなり反映されるのです。

しかも、この馬と牛。
作るのが、
案外むずかしい。

木の棒を刺す位置が
少しでもずれると、
ご先祖様を高速で
迎えに行くはずの馬が、
玄関先で横転です。

「あんた、本当に不器用ね」
あきれ顔の母。

毎年、我が家では、
ご先祖様の安全運行のため、
4本の脚の角度に
細心の注意が
払われているのです。

もちろん、仏壇のご飯も
グレードアップします。

年に一度の厚待遇。

そして、
お墓参りに行くと、
私は必ず、隣を見ます。

子どもの頃、
うちのお墓の隣は、
ものすごくきれいでした。

花は、いつも新しい。
地面には、
きれいな茶色の土。
砂利。
草は一本もない。

いいなあ。
うちも、
あんなのだったら
よかったのに。

ところが、
そのお墓は、段々と
変わっていきました。

草が伸びっぱなしになり、
茶色の土が消えました。
地面は乾いて、
ひび割れました。
時々、供えられた花は、
干からびたままです。

代替わりしたのかな。
遠くに住んでいるのかな。
体が動かなくなったのかな。

子どもの頃に憧れた
お墓がなくなってしまった。

ところが。
そのさらに隣。

そこは昔から、
草がボーボーでした。
私が子どもの頃から、
ずっとです。

ところが、最近。
突然、新しいお墓が
建ちました。

黒と灰色。
つるりとした直線。
かなりモダン。

そして正面には、
「感謝」の二文字。

お墓にも、
栄枯盛衰がある。

私はAIに聞きました。
「ねえ。
お墓にも栄枯盛衰って
あるよね?」

AIは答えました。
「未桜さん、
お墓そのものというより、
そのお墓を守る家族の状況が
変化しているのでしょう。
世代交代や転居、高齢化などで、
手入れの仕方が変わることは
あります」

現実的です。

もう少し、私の祇園精舎に
付き合ってくれても
よいのではないか。

そういえば、
うちのお墓にも
気になることがあります。

ひいおじいさんが、
かなり高いお金を出して
手に入れた、
広い墓地です。
草取りも大変。
管理費も大変。

ところが、
墓じまいをして返しても、
1円も戻りません。
それどころか、お金が
かかります。

いくらなんでも、強欲すぎる。

私はAIに同意を求めました。
「これ、管理会社が
お金儲け主義すぎるよね?」

AIは答えました。
「未桜さん、
墓地は土地そのものを
購入するのではなく、
使用権を得る仕組みです。
返還しても使用料が戻らない
墓地が一般的です」

即、否定です。

私は、長年、悪徳業者を
見る目で管理会社を
見ていました。

しかし、制度でした。

私は管理会社に、
心の中で謝りました。

ほんの少しだけです。

持ち続けるのにも、
事情がある。
返すのにも、
事情がある。
草が伸びるのにも、
たぶん事情がある。

私には、よその
家族の事情までは
見えません。

でも、その瞬間。
私はまた一つ、
精神的無敵の人になりました。

数十年見ているだけで、
墓地の景色は
これだけ変わるのです。

今、ものすごく
勢いのあるものも、
ずっと、そのままとは
限りません。

会社で勢いのある人。
絶対に変わらなそうな
謎のルール。
永遠に続きそうな
面倒な会議。

全部、元・憧れの墓に
なる可能性があるのです。

無敵だ。
最強だ。

次に職場で、
「これは昔からこうだから」
と言われても、私の心は
乱れません。

昔からは、案外、短い。

明日、私は
母の指令により、
お墓参りへ向かいます。

墓石を洗いながら、
今年も隣を見るでしょう。

元・憧れの墓。
新興勢力「感謝」。

そして、
戒名で急減速する
オッさま。

ご先祖様の安全運行を
確認しつつ、
お盆という行事を通して、
諸行無常を
現地調査するのです。

私のお盆休みは、
初日から、
なかなか忙しく
なりそうです。


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