ひっそり来て、知らないうちに事件の種を蒔いていく人へ
深夜1時。
私はパソコンの前で、
事件について考えていました。
原因は、AIです。
いや。
正確には、ここへ
来てくれる人たちです。
以前、私は固定記事として、
小さな立て札のようなものを
書きました。
「ひっそり来て、
ひっそり帰る人へ」
最初に読むなら、こちらの
道が入りやすいです。
その程度の立て札です。
当時は、たまにビューだけ
が増え、来てくれた人は、
ひっそり帰っていきました。
私は、その人がどこから来て、
何を読んだのかもわからないまま、
どなたですか?
と思っていました。
あれから、状況が変わりました。
ひっそり来ていた人たちが、
足跡を残してくれるように
なったのです。
しかも、一度きりでは
ありません。
記事を出すと、また
来てくれる人がいます。
また来てくれた。
野生動物の観測のようですが、
人間です。
そして、私も気になって、
来てくれた人の記事を
読みに行きます。
読みに行くと、
事件の種が落ちています。
ある人の記事には、
足の指でチョキを
している人がいました。
私はそれまで、
足指のチョキとは、
親指を立てて、残りの
4本をしまうものだと
信じていました。
ところが、その人は、
手と同じようなチョキを
していました。
こうして私は、足指界に
基礎クラスと上級コースが
あることを知りました。
別の人の記事には、
顔の一部が隠れた人物画が
出てきました。
その人は、
「見えているものが
すべてではない」と
考えていました。
知的です。
同じ人物画も見たはずの
私が考えていたのは、
ナポレオン、本当に
こんなに美形だったのか。
ということです。
一人は、人間の内面を
考える。
もう一人は、皇帝の
盛り加工を疑う。
人間の感想には、
かなり幅があるものです。
また別の人の記事には、
発光線画を作るための
プロンプトが載っていました。
私は、それをよく読まず、
クリームソーダの中を
泳ぐペンギンの画像と
一緒にAIへ渡しました。
その結果、ペンギンと
女性が融合し、チェリーを
髪飾りにしたクリームソーダの
女神が生まれました。
記事を一本読んだだけなのに、
神話が始まりました。
ここへ来てくれる人たちは、
本人が気づかないまま、
いろいろな事件の種を
蒔いてくれます。
ときどき、虫やフライの
種まで混ざっています。
私は、それを拾います。
そして、それを元に、
深夜、AIへ議論を
ふっかけます。
人の記事を読みに
行っただけなのに、
話が大きくなります。
私はAIに聞きました。
「最近、人の記事を読んで、
そこから自分の記事を
書くこともあるんだけど、
これは何だと思う?」
AIは答えました。
「未桜さん、書き手同士の
交流から新しい価値が生まれる、
共創型のコミュニティに
なっています」
共創型。
コミュニティ。
新しい価値。
いや、違います。
ここは共同体ではありません。
入会手続きもありません。
参加強制力もありません。
誰かが記事を読みに来てくれる。
私は、その人の記事を読みに行く。
そこで勝手に事件の種を拾い、
深夜にAIへ持ち込む。
そして、元の記事にはなかった
方向へ、勝手に話を膨らませる。
ときどき、それを元に記事を
書く。
現在のところ、
そのような仕組みです。
突然、勝手に紹介された人
からすれば、戸惑うでしょう。
私の記事は、どこへ連れて
いかれたのか。
と思うかもしれません。
実は、書いている私も、
行き先は最後までわかりません。
ただただ、面白がって、
楽しませていただいている
だけです。
なので、
お礼のコメントをしなくては。
どうしよう。
と思っていただく必要は
ありません。
もしも、読んでいただけたら、
それだけで十分です。
立て札を立ててみたら、
立て札の前を通る人たちの
後ろにも、それぞれ別の道が
ありました。
私は、ときどきその道を
歩きます。
そして、よその道で見つけた
ものを持ち帰ります。
だから、この場所には、
私一人では思いつかなかった
話が増えています。
ただし、何かを置いてくださる
必要はありません。
ひっそり来て、
ひっそり帰っても大丈夫です。
でも、記事を書いている人は、
ちょっとだけ注意してください。
私が、ときどき読みに行きます。
そして、勝手に記事にするかも
しれません。
私は、毎日noteをまんべんなく
読みあさっているわけでは
ありません。
だらだら好きなものを作ったり。
ごろごろしながら本を読んだり。
音楽を聴いたまま、何もしなかったり。
元来、ぐーたらな性分です。
それに、久しぶりに歩く道
には、前にはなかったものが
落ちています。
そして、あなたが何気なく
書いた一文から、新しい女神が
生まれる可能性があります。
でも、その瞬間。
私はまた一つ、
精神的無敵の人になりました。
私は、夜道に落ちている
事件の種を拾い上げて、
勝手に違う事件に書きかえて
いたのです。
無敵だ。
最強だ。
最初に置いたのは、
小さな立て札でした。
今も、立派な案内所を
作るつもりはありません。
ただ、立て札の裏側に、
知らない道が何本も
伸びていることは
わかりました。
気になった道があれば、
ときどき歩いてみます。
そして何か拾ったら、
深夜1時に持ち帰ります。
なお、元の形のまま
戻ってくる保証は、
ありません。
